夜な夜なシネマ

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『ブルーノのしあわせガイド』

2013年05月10日 | 映画(は行)
『ブルーノのしあわせガイド』(原題:Scialla!)
監督:フランチェスコ・ブルーニ
出演:ファブリッツィオ・ベンティヴォリオ,フィリッポ・シッキターノ,
   バルボラ・ボブローヴァ,アリアンナ・スコンメニャ他

2012年のイタリア映画祭で上映された2011年の作品。
そのときは原題の“Scialla!”そのままに、
『シャッラ/いいから!』として上映されましたが、
邦題も新たに先週末から梅田ガーデンシネマにて公開中。

ローマで気ままな独身生活を謳歌する元教師の中年男ブルーノ。
有名人のゴーストライターとして生計を立て、
自宅で家庭教師のアルバイトもしているが、
真面目に教える気は皆無で、金さえ貰えれば何でもかまわない。

そんな彼の生徒の一人、高校生のルカは、万事適当なブルーノとウマが合う。
宿題さえ済ませてしまえば、あとは好き勝手しようがうるさく言われない。
友だちにもオススメの家庭教師だ。

ある日、ブルーノのもとをルカの母親マリーナが訪れ、
仕事で海外へ行く間、ルカを預かってほしいと言う。
他人の息子をなぜ半年間も預からなければならないのだと断るブルーノに、
マリーノは衝撃の事実を打ち明ける。
なんとマリーノは、ブルーノが15年前にしばし交際した相手で、
ルカはそのときにできた子、つまりはブルーノの息子だというのだ。

ブルーノは驚き困惑するが、父親だという事実は伏せたまま、ルカを預かることに。
こうしてブルーノとルカの共同生活がはじまるのだが……。

中年と言うよりはすでに老年に差しかかっているブルーノですが、
彼は実に反社会的で、そこがルカとウマの合うところでもありました。
けれども自分が父親だと知らされて、少し変化が見え始めます。
落第しそうだと聞けば息子の勉強が気になり、門限も厳しく。

老眼にぎっくり腰、同年代の人であれば身につまされる状態で奮闘し、
急に父性を発揮するのも楽しいところ。
ルカにしてみればワケがわからず、話のわかるオッサンのはずが
いきなり父親面してウザイということになるのですけれども。

ポルノ女優の自伝のためのインタビューや、ヤクザとのトラブルなど、
穏やかな日常に盛り込まれるちょっと平和でない話。
上手い具合にスパイスが効いていて、特にヤクザの“詩人”の話は最高。
どんな仕事に就いていようと、知識欲はあったほうがいい。

原題の“Scialla!”はスラングだそうで、
落ち着け、安心しろ、ほっとけ、なんとかなるさ、そんな感じ。
くよくよ気にしても仕方ない。いろいろあるけど人生は楽しい。
そんな気がする、愛すべき作品です。

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