夜な夜なシネマ

映画と本と音楽と、猫が好き。駄作にも愛を。

『犬どろぼう完全計画』

2015年08月05日 | 映画(あ行)
『犬どろぼう完全計画』(英題:How to Steal a Dog)
監督:キム・ソンホ
出演:キム・ヘジャ,イ・レ,チェ・ミンス,カン・ヘジョン,
   イ・チョニ,イ・ホンギ,ホン・ウンテク,イ・ジウォン他

なんばパークスシネマで『人生スイッチ』を11:25に観終わり、
シネマート心斎橋での本作上映開始は11:45で、つまり20分しかありません。
無謀すぎるとは思いましたが、どうしても観たいんだもの。
チャレンジする価値はあると思い、すたこらさっさ。

東心斎橋のコインパーキングから難波へ向かったときは道が空いていましたが、
昼前ともなると戎橋橋筋商店街はもう観光客でいっぱい。
できればアーケードのあるところを歩きたかったけれど、あまりの人の多さに、
心斎橋筋商店街に入るのはあきらめて、戎橋を渡ったところで御堂筋へ。
炎天下を小走りでシネマート心斎橋へと向かいました。

やっぱり無謀でした、このハシゴは。
歩いている間にふくらはぎもすねもパンパン。汗だらだら。息あがるあがる。
でも、なんとか11:45ちょっきしに劇場入り、オンライン予約していた座席券を発券し、
窓口でポイントを加算してもらって、確保していた入口すぐの端っこ席へ。
そう、いつのまにかシネマート心斎橋もテアトル系劇場と同じシステムが導入され、
オンライン予約ができるようになっていますね。
シネ・リーブルやテアトルと異なるのは、以前どおりポイントを付与してくれること。

さて予告編も少しは観て、本編には余裕のセーフ。
米国の作家バーバラ・オコーナーの児童文学『ジョージナの冒険』を映画化。
欧米小説の韓国での映画化はこれが初めてだそうです。
主人公の少女に『ソウォン/願い』(2013)のイ・レ。やっぱり上手いよ、この子。

小学生の女の子、ジソ。
父親はピザ屋を始めるも失敗、家族を残して失踪してしまう。
いつかきっと父親が帰ってくると信じ、母親のジョンヒョン、
幼い弟のジソクとともにピザ販売車内でピザを売ることもできずに寝泊まりしている。

ほとんどホームレスの生活を誰にも打ち明けることができない。
打ち明ければきっと嫌われていじめられる。
ジソはそう思っていたが、ついに仲良しの同級生チェランに知られてしまう。
しかしチェランはジソのことを馬鹿にしたりはしなかった。
誰にも言わず、ふたりだけの秘密とし、これまで以上に親しくなる。

家がない生活なんてもう耐えられない。
なんとか家を手に入れたいと不動産屋の前にたたずんでいたジソとチェランは、
「坪当たり500万ウォン」という素敵な売り家の広告を見て、
てっきり500万ウォン(=約35万円)で家が買えると思い込む。
ちょうどそのとき見つけた、500万ウォンの懸賞金が掛けられた犬の捜索願のチラシ。
残念ながらその犬はもう見つかったらしいが、
そこそこ金持ちの家で飼われている犬を盗んで懸賞金を貰えばいいのではないか。
そう考えたジソは、レストランの女性オーナーの飼い犬に目をつけるのだが……。

犬より猫派の私ではありますが、これはめちゃめちゃ良かった。
ジソたちが盗むのはジャックラッセルテリアで、小首をかしげるのが可愛い。
だけど、犬が可愛かったからよかったわけではなく、
子どもの想い、親の想い、いろんな想いが詰まった作品で、
ニッコリさせられることも泣かされることも。

ふてくされた表情が大半のジソ役のイ・レも可愛ければ、
彼女に協力するチェラン役のイ・ジウォンはいい脇役になれそうな可笑しさ。
鼻くそをほじる姿がさまになるジソク役のホン・ウンテクもケッサクです。
ジソたちに好きなように使われるピザ屋の兄ちゃんにイ・ホンギ
三本指のホームレス役チェ・ミンスも泣かせる役どころ。

無謀なハシゴを計画してよかったと思わせてくれる1本でした。
先月劇場で観た20数本のなかでこれがいちばん好きだったかも。
素直な気持ちになれます。

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