2019年6月の読書メーター
読んだ本の数:10冊
読んだページ数:2726ページ
ナイス数:790ナイス
■校閲ガール トルネード (角川文庫)
暑くてジメジメするからちぃとも本が読めない。とにかく1冊読まなきゃと、薄くて読みやすくて確実に面白いことがわかっている本作を手に取る。なのになんで鼻声やねん悦子。ハダツバッドッタラヨミニグイガナ。幸いにして彼女の鼻づまり、いや鼻水ダダ漏れ状態は序盤で解消。そうしたら今度は校閲部から憧れの編集部へ異動ですと。ほんとだ、彼女はああ見えて人の悪口は言わないんだ。そう努めているわけではなくて興味がないんだ。第3弾まで来て初めてそんな人柄に触れて癒やされる。登場人物の誰も彼もが幸せになってくれることを切に願います。
読了日:06月06日 著者:宮木 あや子
■伊坂幸太郎×斉藤和義 絆のはなし
『アイネクライネナハトムジーク』を読んで、『ベリーベリーストロング』を聴いたなら、素通りはできないタイトル。伊坂幸太郎の小説が映画化されるとなぜに斉藤和義の曲ばかりが使われるのか、これを読めばよくわかる。対談と年表、好きな映画その他。伊坂氏のほうの年表は奥様とのなれそめまで書かれているのに、斉藤氏のほうは「結婚」のみ。オイッ(笑)。10年以上前に出版された本ですが、『アイネクライネ』を読んだ後のほうが楽しめるのでは。出版時点でSMAPに曲を提供したいと言っていた斉藤さん。この数年後に叶った模様でよかった。
読了日:06月06日 著者:伊坂 幸太郎,斉藤 和義
■ともにがんばりましょう (講談社文庫)
おそらくこの作家の代表作であろう『罪の声』は未読ですが、それより前の作品『拳に聞け!』が私の「どストライク」でした。さらに前に戻って『女神のタクト』もかなり好き。で、これに進んだら、私が労組のない職場に勤めているからなのかあまり興味を持てず、中盤は本作の「山下スイミングスクール」状態に。組合と経営側のやりとりがなかなか頭に入ってきません。しかし、無理に教育宣伝部長にされた主人公が、新聞記者になった頃の初心を思い出してスピーチするシーンはいい。敵は倒すためにあるんやない、歩み寄るためやという言葉にもジーン。
読了日:06月09日 著者:塩田 武士
■きみがすべてを忘れる前に 笑わない少女と見えない友達 (宝島社文庫)
自分をかばって死んでしまった親友。幽霊でもいいからまた会いたいという想いを募らせ、霊感の強い人に縋る姿はわからなくもありません。夢でもいいから嘘でもいいから、中島みゆきの曲じゃないけれど(笑)、気づいてと。でもやはり、成仏してほしくないというのは生きている人間のエゴじゃないかなぁ。主人公はまだ高校生とはいえ、これだけ同じ姓の人ばかり周りにいてみんな身内やとわからんかというツッコミはさておき、平易な言葉が用いられているから読みやすい。彼女と同じ年頃の人にはお薦めできそうです。私はもう歳を食いすぎて。(^^;
読了日:06月12日 著者:喜多 南
■恩讐の鎮魂曲 (講談社文庫)
第1弾の読了後にこういう経歴の弁護士が実際にいたと知り、被害者遺族の気持ちを思えば娯楽作として楽しんでいいものかと控えめに第2弾へ。次に実在の弁護士にも取材を試みたノンフィクションを読み、本シリーズでモデルにしたのは経歴のみ、御子柴はそれとは人間性がまったく違うと安心して(?)第3弾。著者は実在の事件や事故を作品中に取り入れるのが本当に巧い。セウォル号事故とどう繋ぐのかと思えばこう来たか。近しい人ばかりが当事者になりすぎですけれど、人と人って、たぐればやっぱりどこかで繋がっているケースが多いのかも。慟哭。
読了日:06月16日 著者:中山 七里
■悪母 (実業之日本社文庫)
「ママ友が、怖い」などという帯の惹き文句に釣られ、嬉々として読み始める自分が嫌だ(笑)。最初の嫌がらせがえげつなすぎて、その先に期待(?)したものの、真梨幸子の仕打ちのほうがよほどえぐいんじゃなかろうかと思えるレベル。それだけに、こんなことは結構ありそうで恐ろしい。ストレスが溜まるばかりの関係の中で描かれる登場人物たち。誰も好きになれません。親同士の関係に左右されることなく無邪気に遊ぶ子どもたちを見れば安心するけれど、いずれ子どもにまで影響が及ぶことは必至。それにしても男性の影が薄すぎる。何しとるねん!?
読了日:06月21日 著者:春口 裕子
■映画ノベライズ 町田くんの世界 (集英社オレンジ文庫)
ノベライズというジャンル自体にあまり良い印象はないのです。でもこの映画がかなり気に入ったので、もう一度その世界に浸るつもりで。果たして映画を観ていない人がこれを読んで面白いと思うのかどうか疑問ですが、映画を観た人なら思い出し笑いできるはず。特に前田敦子演じる栄の「なんだその質問」。なんぼ若手俳優でも高校生を演じるには無理がある面々だから、大コスプレショーと言えなくもないけれど、そこも楽しい。町田くんの周囲もあったかくて、「一生懸命」っていいなぁと思えます。1時間半もあれば読めますから、冊数稼ぎにもどうぞ。
読了日:06月22日 著者:後白河 安寿,安藤 ゆき
■泣ける! ミステリー 父と子の物語 (宝島社文庫)
「泣ける映画」とか「泣けるミステリー」というキャッチコピーは嫌いです。10本映画を観たら6割以上泣く私ですが、それでもそんな煽り文句に乗せられたくない。観るかどうかのポイントは泣けるかどうかじゃないから。泣けるからっていい映画とは限らんし。てなわけで、「泣ける」に「!」まで付いたタイトルってどうよ。「父にまつわる一編」として書かれた5編。一風変わっていてミステリーなのかと訝りながら読んで驚かされたのは友清哲。小路幸也も好きでした。こうなりゃ親子関係そのものがミステリー。泣かなかったけど、どれも良い話です。
読了日:06月25日 著者:冲方 丁,岡崎 琢磨,里見 蘭,小路 幸也,友清 哲
■世界のへんな肉 (新潮文庫)
書店でとにかく薄い本を探していたら、新刊が平積みされるなか、書棚にたった1冊まします令和元年発行のこれ。憂き扱いが果たして納得できるものなのか読んでみましょう。面白い!肉を食べ歩くだけの旅ではありません。むしろ肉はオマケの楽しい旅行記です。食べ物が目の前にあればたとえ人が注文したものでも食っていい国とか、鍋でガチョウを撃退するおばちゃんの姿とか、ワラける。私も食べてみたい肉というのはありません(笑)。「澱んだ川で釣った鯉の味」とか「大味の白子の味」とか、要らんし。正味1時間で楽しい旅をさせてもらった気分。
読了日:06月28日 著者:白石 あづさ
■82年生まれ、キム・ジヨン (単行本)
「キム・ジヨン」が女子の名前かどうかもわからない私は、男性も女性も誰某氏と「氏」を付けて書かれているせいで混乱。両親祖父母兄弟姉妹恋人友人と、出てくる人が多すぎる(^^;。それはさておき、韓国がこんなにも男尊女卑の国だとは知りませんでした。キム・ジヨンの具体的な容貌が全然思い浮かばないから、余計にこれって一般的な韓国人女性の問題なのだとわかります。長く根付いた考え方は簡単には変わらない。でも、アメリカ合衆国最高裁判所の女性判事ルース・ベイダー・ギンズバーグやその夫のような考えを普通に持てるようになれたら。
読了日:06月29日 著者:チョ・ナムジュ