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『ガーンジー島の読書会の秘密』

2019年09月14日 | 映画(か行)
『ガーンジー島の読書会の秘密』(原題:The Guernsey Literary and Potato Peel Pie Society)
監督:マイク・ニューウェル
出演:リリー・ジェームズ,ミキール・ハースマン,グレン・パウエル,ジェシカ・ブラウン・フィンドレイ,
   キャサリン・パーキンソン,マシュー・グード,トム・コートネイ,ペネロープ・ウィルトン他
 
TOHOシネマズ西宮にて。
 
特に観たかったわけではありません。
ただ、本屋だとか読書会だとかいう言葉がタイトルに含まれていると素通りはできません。
とはいうものの、なんとなく読書会は苦手(参加したことはないけれど)、
ひとりで読書するほうがいいです。
てなことを思いながら、ほとんど期待せずに観に行ったらかなりよかった。
 
原作はメアリー・アン・シェイファー&アニー・バロウズの同名ベストセラー。
監督はマイク・ニューウェル。『フォー・ウェディング』(1994)からもう25年かぁ。
 
第二次世界大戦中の1941年、英国で唯一ドイツに占領されていたガーンジー島。
夜間の外出禁止が言い渡されるなか、
ちょっとした宴会を開いてご機嫌になりながら帰途に就いた老若男女何人か。
運悪くドイツ軍兵士に見つかり、外出の理由を問い質される。
素直に答えれば殺されかねず、機転を利かした内の一人が読書会だと答える。
咄嗟に口に出した読書会の名前は“The Guernsey Literary and Potato Peel Pie Society”。
以来、本当に読書会を開かざるをえなくなる。
 
大戦が終わって1年が経過した頃、1946年のロンドン
女流作家のジュリエットは、ガーンジー島の面識のない男性ドーシーから1通の手紙を受け取る。
ドーシーがたまたま入手した本にジュリエットの住所と名前が書いてあったと言う。
どうやらかつてジュリエットが処分した古本がドーシーに行き着いたらしい。
ドーシーの手紙によれば、ガーンジー島には本屋がない。
シェイクスピアを読みたいが、誰にも頼む術がなく、
古本に名前が書かれていたジュリエットに思いきって依頼することにしたと。
ジュリエットは直ちにシェイクスピアを贈り、こうしてふたりの文通が始まる。
 
手紙の中で読書会の存在を知ったジュリエットは、取材したいと考える。
そこで、あらかじめ連絡もせずにガーンジー島へ。
作家の到着に最初は喜ぶ読書会のメンバーだったが、
ジュリエットが「あなたたちのことを書いて記事にしたい」と言った途端、
最年長の女性アメリアが態度を一転させてしまい……。

古本が男女を結ぶきっかけだということで思い出すのは『セレンディピティ』(2001)。
しかし本作とは時代背景が違うから、重みも変わってきます。
 
読書会の名前の由来は、毎日の食料にも事欠く苦しい生活の中で、
親しい仲間とささやかな宴会をするためにメンバーのひとりが持参したパイ。
ポテトピールパイですからね、ポテトパイじゃなくて。じゃがいもの皮。
不味いなぁと大笑いしながらみんなで食べる、その楽しさ。
 妙な理由で生まれた読書会であっても、みんなが本を読むように。
その光景がすごく楽しくて惹かれました。
 
ラブストーリーとしては展開が読めるけど、王道のハッピーエンドが嬉しい。
とはいうものの、軽い作品ではなく、戦争がもたらした悲劇に心が痛みます。
親を亡くした子どもを全身全霊で守ろうとする赤の他人たち。
閉鎖的な島ではあることないこと言う人もいて、こういうときの人間性が問われる。
 
本を読むために集まることで癒される人の心。
ひとりで読むほうがいいと思ってきたけれど、読書会もいいかも。

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