『ワンス・アポン・ア・タイム・イン・ハリウッド』
監督:クエンティン・タランティーノ
出演:レオナルド・ディカプリオ,ブラッド・ピット,マーゴット・ロビー,エミール・ハーシュ,
マーガレット・クアリー,ティモシー・オリファント,オースティン・バトラー,
ダコタ・ファニング,ブルース・ダーン,アル・パチーノ他
前述の『JKエレジー』を観てから本作を観るまでに他に7本観たのですが、
話題性の高いこれを先にUPします。
TOHOシネマズ伊丹にて。
何なの、いっぱい客が入ってる。この状況に明らかにテンションが上がる私。
だってさぁ、クエンティン・タランティーノ、名前だけは有名だけど、多作ってわけじゃない。
若い子の間で知名度が高いとも思えない。
レオナルド・ディカプリオもブラッド・ピットもそう。
もう彼らの全盛期や美しかった頃を知らない人が多いんじゃないかと思うから、
こんなに客が入っていると嬉しくなってしまうでしょ。
タランティーノ監督作品にはそれぞれ出演経験のあるディカプとブラピ。
ディカプは『ジャンゴ 繋がれざる者』(2012)、ブラピは『イングロリアス・バスターズ』(2009)に。
だけどこのふたりの共演は初めてです。そらもうウキウキ。
本作を観ようという人にはほとんど常識なのでしょうが、
鑑賞前に知っておいたほうがいいことがいろいろとあります。
それより先にあらすじを書くとして。
1969年。
落ち目のTV俳優リック・ダルトンにこのところ回ってくるのは悪役ばかり。
売り出し中の若手俳優の敵役を当てがわれている。
彼のスタントマンを長年にわたって務めるのはクリフ・ブース。
そもそもリックに仕事がないのだから、クリフだってもちろんあぶれる。
それでもクリフはリックのそばを離れることなく、
運転手に雑用係とリックの身の回りのことを引き受けて支え続けている。
今は高級住宅地の豪邸に暮らすリックだが、このままでは手放さねばならなくなりそう。
そんな事実からは目を逸らしながら過ごしていたある日、
隣家に時代の寵児ロマン・ポランスキー監督とその新妻の女優シャロン・テートが越してくる。
一方、クリフはこのところしばしば見かけるヒッピーの少女が
ヒッチハイクしているところに出くわす。
行き先を聞くと、かつて映画の撮影に使われていた牧場だと少女が答え、
懐かしさもあってクリフは彼女を車に乗せるのだが……。
で、映画を鑑賞する前に知っておくほうが良いことは。
ブルース・リーが実在の人だと知らん人はおらんでしょう(笑)。
でももしかするとロマン・ポランスキー監督のことは知らん人がおるかな。
本作でディカプリオ演じるリック・ダルトンのお隣に引っ越してくる夫婦は、
夫がポランスキー、若い美貌の妻は女優のシャロン・テート。
彼女の映画出演に際し、アクション指導をしたのがブルース・リー。
1969年、ポランスキーの留守中に押し入った集団に妻シャロンが殺害されました。
犯人は、チャールズ・マンソン率いるヒッピーのカルト教団。
一時、ポランスキーはブルース・リーが犯人ではないかと疑っていたのですよね。
また、クリント・イーストウッドは、本作のリックのように、
イタリアの西部劇作品に出演して名を上げています。
アル・パチーノ演じるプロデューサーが「カウボーイを演じきれる役者」として
リックを推薦した流れなど、まんまイーストウッドの実際の話のとおり。
こういった事実を知らなくても楽しめるとは思いますが、知っていたほうが断然楽しい。
実際の事件と同じエンディングを予想していたら、そう来ますか。
さすがタランティーノ。やりすぎの感はあるものの、なんと痛快。笑った笑った。
ネオナチとか、ブルース・リーの遺族とか、ヒッピーとか、
怒る人いっぱいいるんじゃないかとちょっぴり心配ですが、(^^;
ポランスキー監督は「こうなってほしかった」と思っているかも。
古田さんって、幼い頃からクラシックバレエなども習っていたとのこと。
彼にクレシックバレエのイメージはまったくなかったのでビックリ。
昔から役者になりたくていろんなものを習ったとか。
客を笑わす演技、たとえば舞台の上ですっ転ぶようなときも、
一回転してから転ぶほうがオモロイな、
それならばそれができるように体を鍛えて技術を学ぶのがいいと。
この古田新太の話とタランティーノと、何が関係あるねんとお思いでしょうが(笑)、
作品に史実を盛り込みつつ、あっと驚く展開で楽しませてくれるのは、
史実をよく理解していないとできないことだと思うのです。
中途半端に知っていることを盛り込むと、失敗したり、下品になったり、
時には悪意に満ちてしまったりもする。
タランティーノはちゃんと理解して敬意を払いつつ盛り込んでいるから楽しいんだなぁ、きっと。
もう1回観たい。