夜な夜なシネマ

映画と本と音楽と、猫が好き。駄作にも愛を。

『メランコリック』

2020年05月07日 | 映画(ま行)
『メランコリック』
監督:田中征爾
出演:皆川暢二,磯崎義知,吉田芽吹,羽田真,矢田政伸,浜谷康幸,
   山下ケイジ,新海ひろ子,大久保裕太,ステファニー・アリエン他
 
以前はTSUTAYA DISCASで月16枚レンタルするプランを契約していましたが、
劇場鑑賞本数がどんどん増えて行くなか、家で16本も観ていられない。
お金もバカにならないし、昨年の途中から4本のプランに変更しました。
で、その4本を主に毎年末の「今年(DVDで)観た映画50音順」に当て、
本作は「め」に書くつもりだったのですけれど。
 
観たらすごく面白くて、いま書かずにはいられなくなっちゃって。
十三の第七藝術劇場で上映していたときにやっぱり観に行けばよかった。
予告編を観てピンと来たやつは、コロナ収束後は観逃すまい。
 
監督はこれが長編デビュー作となる田中征爾。
第31回東京国際映画祭日本映画スプラッシュ部門で監督賞を受賞した作品です。
 
東大を卒業しておきながら、一度も就職したことなし、
実家で両親と暮らす30歳の鍋岡和彦(皆川暢二)。
風呂に入りそびれた晩、近所の銭湯“松の湯”を訪れたところ、
高校の同級生・副島百合(吉田芽吹)と再会する。
 
百合から声をかけられて悪い気のしない和彦は、同窓会にも出席。
高校時代は冴えなかった田村(大久保裕太)が実業家となり、皆ちやほや。
身の置き所がなくて困る和彦にまたしても声をかける百合。
いろいろあって今は無職だと打ち明けると、
松の湯のアルバイトに応募してみればどうかと百合が言う。
 
さっそく松の湯に履歴書を持参する和彦。
もうひとり面接にやってきた松本(磯崎義知)はパツキン、チャラすぎる。
ここは俺が採用されるだろうと思ったら、
松の湯のオーナー・東(羽田真)はふたりとも即採用。えっ。
 
ある夜更け、松の湯の前を通ると明かりが点いている。
まだ何か仕事が残っていたのだろうか。
翌日、その疑問を東にぶつけたところ、
「首を突っ込まないほうがいいこともある」と釘を刺されて余計に気になる。
 
夜中に松の湯に忍び込んだ和彦は、その光景を見て腰を抜かす。
なんとそこでは殺人がおこなわれていたのだ。
 
ベテランアルバイトの小寺(浜谷康幸)は実は凄腕の殺し屋で、
ヤクザの田中(矢田政伸)の指示でターゲットを拉致、松の湯で殺して処分。
翌日の営業までに清掃するという手はず。
和彦もやむをえず深夜の仕事を担当することになるのだが……。
 
和彦はニートだけど、東大卒というプライドは捨てられずにいます。
松本が自分と同等、いや、それ以上に扱われるのが許せません。
深夜のバイトを仰せつかったのが自分だけだと信じている間はホクホクだったけれど、
松本はもともとこの仕事のために雇われたのだと知ると憮然。
昼のバイトリーダーは鍋岡くん、夜のバイトリーダーは松本くんねなどと言われると、
もうムカついて仕方がない。
でも、一緒に仕事するうちに松本の凄さを知り、
固執していたプライドもどんどん消えていくところがいい。
 
「なんで東大出てこんなことしてるんですか」と問われて、
「東大出たら、いい会社に就職して幸せにならなくちゃいけないのか!?
……幸せにはなりたいですけど」というところもよかったなぁ。
 
Amazonプライムビデオでレンタル配信もされていますので、
こんなハチャメチャな設定をいろんな人に楽しんでほしい。
こういう生き方もありだなというハッピーエンドが待っています。
 
しかし、銭湯の番台の引き出し開けたら拳銃というのは怖いな(笑)。

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