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『唄う六人の女』

2023年11月07日 | 映画(あ行)
『唄う六人の女』
監督:石橋義正
出演:竹野内豊,山田孝之,水川あさみ,アオイヤマダ,服部樹咲,萩原みのり,
   桃果,武田玲奈,大西信満,津田寛治,白川和子,竹中直人他
 
日本シリーズ第4戦を生観戦する日、気合いを入れて丸一日休みを取りました。
近頃体調があまりよくない母に朝電話したら、「今日は大丈夫」とのこと。
とりあえず安心して、TOHOシネマズ西宮へ車を走らせる。
 
実は本作は『SISU/シス 不死身の男』の前に観るつもりで予約していました。
ところが仕事帰りにイオンシネマ茨木に向かいつつ母に電話を入れたら、
かかりつけの病院で診察を受けていると言うではないですか。
「ひとりで帰れるから大丈夫よ~」と言う母を制し、「迎えに行くから待っててや」。
予約済みの鑑賞料金はもったいないけど、母に何かあれば私が後悔する。
本作のことはあきらめて母を迎えに行ったのでした。
病院から帰って母が落ち着いたのを確認して、21:15からの本作『SISU』だけ観て帰ったのでした。
 
そういえば、の闘病中もこういうことが何度かあったなぁ。
『ハケンアニメ』の途中で病院から電話があってシアターからしばし抜け出たり、
『劇場版 おいしい給食 卒業』は入場直前に病院から「戻ってきてください」と連絡があったり。
 
そんなわけで、本作の鑑賞はリベンジです。
石橋義正監督のオリジナル脚本で、劇画としてコミカライズされているそうな。
プロデューサーとして関わっている人がやたら多く、中にははじめしゃちょーのなんかのお名前も。
そして「六人の女」が着用している着物は、嵯峨美術大学の教員がデザインを担当されている模様。
 
フォトグラファーの萱島森一郎(竹野内豊)のもとへ、父親の山際茂(大西信満)が死亡したとの連絡が入る。
萱島が4歳のときに両親は離婚。それ以後、父親とはまったく連絡を取っていない。
相当の変わり者だった父親は近所づきあいもなく、山奥の一軒家で孤独死したらしい。
その家や土地はひとり息子の萱島に遺されたから、萱島が片付けに行くしかない。
 
地元の不動産屋・松根(竹中直人)を介して宇和島凌(山田孝之)に家と土地を売却することにした萱島。
宇和島は東京の開発業者の下請け業者で、付近一帯の買い取りを進めていたが、
山際だけはどうしても土地を手放そうとしなかったらしい。
山奥での生活にも、父親の思いにも、まったく興味のない萱島はすぐに判をつく。
 
同棲中の恋人・咲洲かすみ(武田玲奈)が待つ部屋へ日帰りするはずだったが、
隣人・杉田(白川和子)の話を聞いて父親の遺品を片付けるうち、どうしても気になることが出てくる。
父親が撮った写真に映る場所はいったいどこなのか。
宇和島の車に乗せてもらい、山の中を走っていた折、突然現れた着物姿の美女。
気を取られていると、目の前には落石の塊があり、萱島と宇和島はそこへ激突。
 
目が覚めると森の中。屋敷の一室に監禁されていて……。
 
最初は気味の悪い話だなぁと思いました。
なにしろ水川あさみ演じる一人目の女性は道端で拾った蝉の死骸をバリバリとかじっているのですから。
目覚めた後に出される汁物にも虫が入っているし、口のまわりを血だらけにして獣にかじりつく女性も二人。
映像的に見たくないグロさもあります。
 
しかし、萱島の父親が何を考えて何を探していたのかがわかる頃から面白い。
明らかに人間ではない彼女たちは森の精なのか何なのか、観終わってもわからないけれど、
人間の都合だけで山や森を破壊してはいけないのだと思わされます。
 
竹野内豊は相変わらずイケメン。しかし脱ぐと思いのほか貧相で、これもまた良いところなのかも。
顔がこれで体も鍛え上げていたら、世の中の男性の夢を潰してしまいそうな気が(笑)。
完璧じゃないからこそ、同性にも人気があるのではないかしら。
 
一方の宇和島役の山田孝之は、どうしようもないゲス野郎。人でなし。
本作を観たら嫌いになりそうなぐらい嫌な奴です。
六人の女はいずれもひと言も発しない。面白いですねぇ。
 
父親の思いが解き明かされ、息子に伝わるとき。
最後はちょっと切ないけれど、親子そろって森を守り、それは萱島の子どもにも伝わるはず。

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