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『法廷遊戯』

2023年11月16日 | 映画(は行)
『法廷遊戯』
監督:深川栄洋
出演:永瀬廉,杉咲花,北村匠海,戸塚純貴,黒沢あすか,やべけんじ,
   柄本明,生瀬勝久,潮田玲子,筒井道隆,大森南朋他
 
TOHOシネマズ伊丹にて、2本ハシゴの2本目。
 
原作は五十嵐律人の同名小説。ベストセラーなのだそうですが、未読。
監督が深川栄洋というのが私にはひっかかる(笑)。
売れっ子監督ではありますが、なんだかその売れようとしているところが。
でも若手人気俳優を使うのは上手い人ですよね。
この監督も、映画は売れてなんぼという人なのかなと思います。
 
久我清義(永瀬廉)は幼なじみの織本美鈴(杉咲花)と共に弁護士を目指している。
ふたりが通うロースクールで、唯一現役で司法試験に合格した超優等生が結城馨(北村匠海)。
馨主催で学生の間でおこなわれているのが“無辜(むこ)ゲーム”。
これは、学生たちが自分たちの間で起きた事件の当事者となっておこなう模擬裁判。
 
あるとき、清義が自席を離れたわずかな隙に、
施設育ちの清義が施設長殺害未遂事件を起こした過去を暴露するチラシをばらまいた者がいた。
清義はこの犯人を裁くために無辜ゲームの開催を提案。
その結果、同じロースクール生の犯人(戸塚純貴)を罰して追放することに成功はしたものの、
清義や美鈴が悪質な嫌がらせに遭うようになったうえに、なぜか馨まで脅迫を受けていることを知る。
 
時が経ち、司法試験に合格して弁護士となった清義のもとへ馨から連絡が入る。
久々に無辜ゲームを開催するとのこと。
懐かしの場所を訪れた清義だったが、そこには誰もいないどころか馨の姿すらない。
と思ったところへ清義の目に飛び込んできたのは、胸を刺されて死んでいる馨の姿と、
手にナイフを持ち、返り血を浴びて呆然としている美鈴の姿。
「私は殺していない」という美鈴を清義が弁護することになるのだが……。
 
話が進むにつれて不愉快になってきました。
杉咲花の怪演で、その気持ちがどんどん募ってゆきます。
 
ネタバレですけど。
 
少年時代の清義が事件を起こしたのは、施設長が美鈴を性的虐待していたから。
ことがおこなわれている部屋に飛び込んで施設長を刺した清義。
救われた美鈴は、このとき今後自分のほうが清義のことを守ると心に決めます。
 
施設を出てからも必死で生きてきたふたりは、あるとき美鈴が電車内で痴漢にあったのをきっかけに、
犯人から金銭を巻き上げることができると知る。
家庭のあるサラリーマンは、痴漢がバレるととんでもないことになるから、いくらでも金を払う。
美鈴が痴漢に遭ったふりをして、清義と一緒に犯人にでっちあげた相手から金を巻き上げる。
 
そんなことを何度も繰り返しているうちに次の獲物に定めたのがなんと警察官でした。
警察官に手口を見破られて逃げる美鈴。追いかける警察官。
清義が警察官の鞄をちょっと引っ張ったら、警察官は階段から転げ落ちてしまった。
あくまで被害を訴える美鈴に世間は騙され、職を失い、自殺した警察官。
それが実は馨の父親(筒井道隆)だったというわけで。
 
復讐というのか、ふたりに罪を償わせて父が捕らえられたのは冤罪であることを訴えようとした馨。
でもそんな馨も美鈴に殺されてしまうんですよね。
しかし、殺されるかもしれないことをわかっていた馨。
あくまでも清義を守ろうとした美鈴ですが、馨が予告していた通りの結果が待っている。
 
馨の冤罪および無罪に関する解釈が面白い。
「君はやり直せる」なんて言葉を軽々しく口にしてはいけないこともわかりました。
そこのところはちょっと美鈴に同情。
 
やっぱり深川監督の作品はあんまり好きになれないのですけれど、客を飽きさせません。
私は永瀬廉よりも北村匠海が好きだなぁ。
柄本明生瀬勝久大森南朋といったおじさま方もさすがです。

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