夜な夜なシネマ

映画と本と音楽と、猫が好き。駄作にも愛を。

今年観た映画50音順〈た行〉

2023年12月28日 | 映画(た行)
《た》
『タイムボム 爆弾解除、ミスしたら即死。』(原題:Deflagrations)
2021年のフランス作品。TSUTAYA DISCASにてDVDレンタル。
日本では劇場未公開で、WOWOWにて放映された模様。
フレッドは自宅の地下駐車場に子どもふたりと車に乗り込むが、エンジンがかからない。
電話で呼び出されたパートナーのソニアは運転席からフレッドを降ろして交代し、
いとも簡単にエンジンをかけてみせるが、と同時に車のディスプレイに時刻の表示が現れ、カウントダウンが始まる。
地雷処理専門家のソニアは、この車に時限爆弾の仕掛けられていると判断し、
車に鍵をかけると子どもたちにできるだけ動かないように指示し、
車外のフレッドにも危険を知らせて近づかないように伝える。
同僚で同じく爆弾の専門家イゴールとカミーユを呼び、爆弾の解除に努めるのだが……。
この邦題ですから、まったく期待せずに観はじめたら意外と面白い。
フレッドとソニアは夫婦ではなく、しかも男児ノアはソニアの息子、
女児ゾエはフレッドの娘ということをこちらはずいぶん経ってから知ることになり、
こんなにもややこしい関係にする必要があるのかと笑ってしまいましたけれど。
重量感知式の対戦車地雷なるものらしく、大変です。
ソニアとイゴールが関わるウクライナの地雷撤去と絡んでいて、なかなかにタイムリー。
地雷に守られている学校もあり、撤去が必ずしもいいことではないと知って驚愕。
 
《ち》
『ちひろさん』
2022年の日本作品。Netflixにて配信。
安田弘之の同名漫画を今泉力哉監督が実写映画化。
海辺の小さな町にある弁当店“のこのこ弁当”の売り子・ちひろ(有村架純)は、
かつて風俗嬢だったことを隠しもせず、誰もから愛されている。
風俗嬢だったとは知らずに彼女に憧れている女子高生・オカジ(豊嶋花)は、時折盗撮
勇気を出して弁当を買いに行くと、自分の行動がちひろにバレていると知って焦る。
少年たちにいじめられていたホームレスのおじさん(鈴木慶一)を助けたちひろは、
おじさんから教えられた廃墟で別の女子高生・べっちん(長澤樹)と知り合い、漫画友達に。
また、あきらかにかまってちゃんの少年・マコト(嶋田鉄太)と公園で出会い、
水商売の母親・ヒトミ(佐久間由衣)の帰りが遅いせいで毎日腹を空かせていることを知る。
こんなふうにちひろが関わる人々を描く優しさいっぱいの作品。
2時間超のそこそこ長尺ではありますが、退屈はしません。
今泉監督の作品って、やっぱり好きだなぁと思う今日この頃。
 
《つ》
『ツーリスト・ガイド・トゥ・ラブ 恋のツアーガイド』(原題:A Tourist's Guide to Love)
2023年のアメリカ作品。Netflixにて配信。
ロサンゼルスのツアー会社に勤める極めて有能な社員アマンダは、
今日こそ5年同棲中の恋人ジョンからプロポーズされると信じていた日、
仕事のためにオハイオへ引っ越すと言われる。これはフラれたも同じこと。
上司のモナは、傷を癒やしがてらベトナムへ行ってきてほしいと言う。
ベトナムでも事業を拡大したいと考えていたモナは、現地の観光会社の買収を検討。
サイゴンシルバースターという会社に目をつけており、客のふりをしてアマンダにツアーに参加するよう命じる。
ツアーガイドのシンは好青年で、しかもツアーの内容がとても面白い。
計画好きのアマンダとは違い、客たちの様子を見ながらどんどん変更するシン。
やがて、シンといるときがこれ以上になく幸せであるとアマンダは気づくのだが……。
アマンダ役のレイチェル・リー・クックはもう40代半ば。
かなり若くは見えますが、実年齢を知っていると、こんなロマコメいつまでやるのと思わなくもありません。
しかも展開が読めすぎる。いい仲に発展してから買収話が暴露され、シンは疑心暗鬼に。
けれど結局ハッピーエンドという王道中の王道。ちょっと辟易(笑)。
 
《て》
『ティラノサウルス・キング 白亜紀の恐竜バトル』(原題:我是覇王龙)
2022年の中国作品。日本では劇場未公開。TSUTAYA DISCASにてDVDレンタル。
“緑の森”の王に君臨するティラノサウルス・レックスのローグは、森の秩序を守ろうと細心の注意を払っている。
と同時に、自らの息子ディーを育て上げようと心を砕いているが、
まだまだ子どもで弱虫のディーは、とても父親のように強くなれそうにない。
あるとき、デイノニクス3人組が弱いものいじめをしているのを見てローグが恫喝。
ところが3人組のボスであるスカーズが現れ、縄張り争いで揉めるうち、ローグは崖から落ちて死んでしまう。
悲しみに暮れるディーは、カルノタウルスのルノーに拾われ、徐々に力をつける。
やがて、ルノーも襲われそうになったとき、ディーは暴君と対決する覚悟を決めて……。
中国のアニメは最近とても面白くて注目していますが、これはどうかなぁ。
恐竜オタクならもっと楽しめたかもしれませんが、私、恐竜を知らんし。(^^;
恐竜じゃなくて動物ならありがちな話。ラストはそれなりに○。
 
《と》
『トゥ・ザ・サミット 絶壁のレース』(原題:Duell am Abgrund)
2023年のドイツ作品。Netflixにて配信。
スイス人の登山家ふたりのスピードクライミングに焦点を当てたドキュメンタリー。
山に登るだけでも凄いのに、とにかく短時間で登頂することを競う。
「スイスマシーン」の異名を取るウーリー・ステックと、
もとは彼が憧れの存在にしか過ぎなかったのにライバルとなったダニー・アーノルド。
普通の登山家が2日ほどかけるだろう山を3時間かからずに登るとは信じられない。
アイガー北壁登頂は2時間半ほど、マッターホルンなら2時間を切る。しかも単独でロープなしとは驚愕。
登山はスポーツだというウーリーが無敵の速さを誇っていたところへ現れたのがダニー。
優れた山岳ガイドだけど、たいして準備もせずにウーリーの記録を抜いてしまった彼は、
ズルをしているような言い方もされて、そのシーンは気の毒でした。
良きライバルになり得るものかと思いきや、そうはならないのも寂しいような。
ウーリーが滑落死したのは、速度争いが加熱したせいだとは思いたくありません。

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今年観た映画50音順〈さ行〉

2023年12月28日 | 映画(さ行)
《さ》
『サイレント・ナイト』(原題:Silent Night)
2021年のイギリス作品。TSUTAYA DISCASにてDVDレンタル。
監督はこれが長編デビュー作となるカミーユ・グリフィン。
明日になれば人類滅亡というクリスマス
サイモン(マシュー・グード)とネル(キーラ・ナイトレイ)夫婦の家に集まった友人たち。
政府によって事態は明らかにされており、謎の猛毒ガスに襲われて死ぬことが確実らしい。
ガスを吸う前に政府から配布された薬を飲めば、苦しまずに死ぬことができる。
誰もがそれを致し方ないこととして受け入れているなか、
サイモンとネルのまだ幼い息子アート(ローマン・グリフィス・デイヴィス)だけは違う。
もしかしたらガスを吸っても死なないかもしれないのに、なぜ死ぬと決めつけるのか、
子どもに死を勧めるなんて親のすることじゃないと泣き叫ぶ。
皆がアートに言い聞かせようとしているというのに、
妊婦のソフィ(リリー=ローズ・デップ)が自分は薬を飲まないとアートに言ったものだから、
飲まない選択肢もあると考えたアートはさらに怒って家から出て行ってしまい……。
前知識なしで観はじめると、単にクリスマスを祝いに集まった家族や友人たちの話かと思います。
ところがこれは世紀末の話なのだと途中でわかる。その割にみんな落ち着きすぎか。
今はコロナ騒ぎも沈静化していますが、もしも人類滅亡が本当に目前に迫ったら、
人はどう決断するでしょう。そんなことも考えたくなる作品でした。
『ザ・ロード』(2001)のような世界で生きるのは絶えられないという台詞には頷く。
 
《し》
『シーフォーミー』(原題:See for Me)
2021年のカナダ作品。TSUTAYA DISCASにてDVDレンタル。
女子スキー滑降のU18でトップテン入りするほどの実力者だったソフィは、
網膜色素変性症のため、今はわずかに光を感じるのみの失明状態
パラリンピックを目指すように協会から言われても、そんな気持ちになれない。
すっかり自暴自棄になり、心配する母親にも冷たい態度を取る。
ある日、ソフィは、富豪女性デボラの留守邸で猫シッターのバイトを引き受ける。
セキュリティシステムを起動した後に喫煙のために表へ出ると、鍵がかかってしまう。
出がけに母親から教えられたアプリ“See for Me”をスマホにインストールしたところ、
ヘルパーのケリーに繋がり、スマホの画面を見せながらなんとか家の中に戻ることに成功。
これで万事OKと思われたが、夜中に邸に侵入者が現れる。
デボラの元夫が、デボラが金庫に隠し持っている金を盗むために人を雇ったのだ。
身動きが取れないソフィは再びケリーに連絡して協力を求めるのだが……。
序盤のソフィはひねくれていて、とても好感の持てる人物ではありません。
富豪の留守番バイトをするのも、金目の物を盗むつもりだから。
視覚障害者が物を盗むわけがないと世間の人々は思い込んでいるからです。
そんなソフィよりもよほど好感度が高いのがケリー。
彼女は元軍人で、今はFPS(シューティングゲーム)の達人。
彼女の的確な指示でソフィが犯人と相対するシーンは手に汗握る。
 
《す》
『スカイブルーな恋の予感』(原題:Love in the Air)
2023年のオーストラリア作品。Netflixにて配信。
デイナ(♀)は小さな航空会社フラートン航空のチーフパイロット
観光客を乗せる傍ら、離島に住む人々に郵便を配達したり病人を運んだり、
困り事を聞けばすぐに駆けつけて支援を第一に考えている。
そんなことだから、フラートン航空の収益は一向に上がらず、
そこに目をつけたロンドンの投資会社がフラートン航空を潰しにかかる。
調査の名目で現地を訪れたのは、投資会社の社長の息子ウィリアム。
潰すこと前提だとは言えずにデイナを含むフラートン航空の社員たちに会うのだが……。
よくもこんなつまらない作品を映画にしたもんだと驚きすら感じます。(^^;
デイナ役のデルタ・グッドレムはジェニファー・ロペスを意識しているのかと思ったけれど、
オーストラリアでは人気のあるシンガーソングライターだと後から知りました。
と言われてもねぇ、もうアラフォーだし、演技も上手いわけじゃなし。
ウィリアム役のジョシュア・ザッセはジャン・デュジャルダンを少し若くしたみたいな風貌。
つまり、どこにでもいそうな俳優が、どこにでもありそうな映画に出ている、それだけ。
この邦題も(原題もだけど)、アラフォー主演だとちょっと恥ずかしくないですか。
 
《せ》
『千夜、一夜』
2022年の日本作品。TSUTAYA DISCASにてDVDレンタル。
離島の海沿い、住民の誰もが知り合いの町。
水産加工工場で働く登美子(田中裕子)は、30年前に蒸発した夫の帰りを待ち続けている。
幼なじみで漁師の春男(ダンカン)は昔から登美子に想いを寄せており、
登美子と所帯を持ちたいと言い募るも断られてばかり。
春男の母親から懇願され、ほかの住民からも登美子は春男との再婚を勧められているが、
登美子は決してうなずかない。
ある日、町長の紹介だと言って登美子を訪ねてきたのは、
2年前に夫が失踪したという看護師の奈美(尾野真千子)。
教師だった夫の洋司(安藤政信)は、ちょっと出かけてくると言ってそのままいなくなった。
拉致された可能性もあるが、待つことに区切りをつけるため、
夫が失踪した理由を求めている奈美は、登美子に相談。
登美子はなんとなく洋司のことを調べはじめるのだが……。
夫婦仲は極めて良くて幸せな日々を送っていると思っていたのは妻だけ。
それでも、妻は自分を待っていてくれるとか、戻れば許してくれるとか思うものらしい。
そんな夫がいると知ったうえで一緒になりたいと言う男たち。幸せになれるといいけれど。
 
《そ》
『“それ”がいる森』
2022年の日本作品。TSUTAYA DISCASにてDVDレンタル。
傲慢な義父のせいで、妻子を残して家を出るよりほかなかった淳一(相葉雅紀)は、
田舎町でオレンジを作り、それなりに穏やかな日々を過ごしていた。
そこへ、妻(江口のりこ)と喧嘩したらしい息子・一也(上原剣心)がひとりでやって来る。
ちょうどその頃、森に入った男女が殺される事件が起こり、のせいだと思われていた。
転入した小学校の同級生に誘われて一也がその森に入ると、
銀色の塊のようなものに襲いかかられ、同級生は連れ去られてしまう。
警察も学校も熊の仕業だと判断し、一也の話には耳を傾けようとしないなか、
淳一と一也の担任・絵里(松本穂香)だけは一也のことを信じ、
この事態をなんとかしようと考えるのだが……。
中田秀夫監督のホラー作品なので公開当時は敬遠しましたが、観てみたら怖くない(笑)。
地球外生命体が子どもを捕食すると個体数が増えていくところがグロいですねぇ。
教頭役の野間口徹が徹底的に嫌な奴で、ここまで嫌な奴の役って、
今までの野間口徹のキャリアの中にありましたか。
同じく、人の話を聞こうとしない警察官役に眞島秀和
オレンジ農家の頼れる親父役が宇野祥平で、バイプレイヤーたちの出演が嬉しかった。

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