夜な夜なシネマ

映画と本と音楽と、猫が好き。駄作にも愛を。

今年観た映画50音順〈や行〉

2023年12月30日 | 映画(や行)
《や》
『屋根裏のアーネスト』(原題:We Have a Gohst)
2023年のアメリカ作品。Netflixにて配信。
これ、邦題が『屋根裏のアーネスト』なのか『ウィー・ハブ・ア・ゴースト!』なのか不明。
後者の場合は「や行」ではなくて「あ行」の作品になってしまいます(笑)。
Netflixのオリジナル映画一覧では前者になっているので、そっち採用ということで。
夫婦と息子2人、4人家族のプレスリー家は、歴史的建造物だという一軒家に引っ越し。
そのわりに安価なのを訝るが、不動産屋は顔をひきつらせながらながら事故物件ではないと言う。
しかしそれは真っ赤な嘘で、この家の屋根裏にはアーネストという幽霊が住み着いていた。
最初にアーネストと遭遇したのは、次男の高校生ケヴィン。
これまでの住人と同じように脅せば出て行くだろうとアーネストは思っていたのに、
儲け話にすぐに乗っては失敗する父親フランクのせいで引っ越しばかり強いられたケヴィンは、
幽霊などまるで怖くない、自分の今までの人生のほうが千倍怖かったのだからと言う。
アーネストは姿を見せることができても声を発することができない。
しかも記憶障害を起こしており、生前の自分が何者で何が起きたのかさっぱりわからないらしい。
成仏できないのは何か理由があるからにちがいないと、ケヴィンはアーネストに協力を申し出る。
隣家の変わり者女子ジョイも一緒に調べてくれることになり……。
アンソニー・マッキー演じるフランクが終盤まではどうしようもない(最後に挽回するけれども)親父。
長男のフルトンと共にアーネストを利用して金を稼ぐことしか考えていません。
母親のメラニーも夫と長男の行動を黙認しているところはありますが、最後はやっぱりケヴィンの味方。
コメディ色が強い作品を期待していたらそうでもなくて、その代わりにミステリー色が強い。
アーネストがとどまっていた理由が想像以上に悲しいものでした。
なんといってもアーネスト役がデヴィッド・ハーバーですもの。台詞はなくても表情だけで泣かせる。
 
《ゆ》
『赦し』
2022年の日本作品。TSUTAYA DISCASにてDVDレンタル。
監督は、インド出身で日本を拠点に活動するアンシュル・チョウハン。
17歳の女子高生だったときに、同級生を殺害した福田夏奈(松浦りょう)は、
20年の刑を言い渡されて7年服役したところ。
弁護団は殺人の事実は認めつつも、未成年の犯罪で20年の刑は重すぎるとして再審請求
事件をきっかけに別れた被害者の両親(尚玄MEGUMI)は再び過去と対峙することを余儀なくされる。
やがて、夏奈は被害者・樋口恵未(鳴海花音)から凄絶ないじめを受けていたことがわかり……。
少年犯罪の加害者と被害者遺族を描いたドラマですね。
こういうテーマの作品を観るとどちらかに肩入れしたくなるものですが、
松浦りょうの容貌は決して美人とか可愛いとかいったタイプではないし、
見た目から同情するようなことにはなりません。
それを監督は狙ってキャスティングしたのかと思うほど。
肩入れはできないけれど、尚玄演じる被害者の父親が、
若気の至りでいじめたら、殺されてもいいというのか」という台詞はすごく嫌でした。
若気の至りならいじめてもいいのかっちゅう話です。そんな言葉で済まさないでほしい。
 
《よ》
『夜明けまでバス停で』
2022年の日本作品。TSUTAYA DISCASにてDVDレンタル。
実在のホームレス女性殺人事件をモチーフにした作品で、監督は高橋伴明
居酒屋に長年アルバイトとして勤務する北林三知子(板谷由夏)。
アクセサリー作家でもあり、如月マリ(筒井真理子)が経営するカフェで教室も開いているが、
コロナの煽りを受けてどちらもしばらく休業に追い込まれてしまう。
その結果、三知子は同僚の小泉純子(片岡礼子)や石川マリア(ルビー・モレノ)と共にクビに。
介護施設での住み込み職員にオンライン面接で採用されて安心したのも束の間、
出勤してみるとコロナ禍で雇えないと言われて途方に暮れる。
住むところも金もなく、それを誰にも言えず、インターネットカフェまでもが休業中。
致し方なく長距離バスが出払った後のバス停で過ごす日々が続くのだが……。
居酒屋チェーンの社長の息子を演じるのが三浦貴大
役だということを忘れるぐらい嫌な奴で、しばらく彼の顔を見たくない(笑)。
同類かと思われた店長の寺島千春(大西礼芳)を途中から大いに応援しました。
「元気なんてありません。ランチするお金なんてありません」、そう言えたら。
でも言えたからって、誰が助けてくれるのでしょう。
そりゃ爆弾のひとつも作って何もかも吹っ飛ばしたくなるわ。
根岸季衣柄本明など、公園に集うホームレスに励まされるけど、現実はこんなもんじゃ済まないのかな。

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今年観た映画50音順〈ま行〉

2023年12月30日 | 映画(ま行)
《ま》
『マジック・マイク ラストダンス』(原題:Magic Mike's Last Dance)
2023年のアメリカ作品。TSUTAYA DISCASにてDVDレンタル。
チャニング・テイタムが自身の体験をモチーフにした“マジック・マイク”シリーズ最終章。
シリーズ第1作を撮ったスティーヴン・ソダーバーグが監督に返り咲き。
男性ストリッパーとして大人気を博しながら破産してすべてを失ったマイクは、
資産家女性マックスの豪邸で催されるパーティーにバーテンダーとして雇われる。
マイクの過去を聞きつけたマックスは、試しに踊らせたマイクに魅了され、
元夫から権利をもぎとったロンドンの劇場でストリップダンスショーを興行したいと考える。
由緒正しい劇場でこのようなショーを成功させようとするとさまざまな横やりが入るものだが、
マイクとマックスは協力してなんとか話を進めて行き……。
ソダーバーグ監督復帰ということで期待して観ましたが、第2作同様にぐだぐだ。
それでもやはりストリップダンスショーというのは楽しいもので、
そのパフォーマンスは結構見応えがあります。
確か昔は整形しないことを公言していたはずですが、絶対やってるでしょ。
これ、サルマ・ハエックかなぁと確信を持てないまま最後まで。触ってないならすみません。(^^;
 
《み》
『ミッドナイト・マーダー・ライブ』(原題:On the Line)
2022年のアメリカ作品。TSUTAYA DISCASにてDVDレンタル。
2023年1月に開催された“未体験ゾーンの映画たち 2023”にて上映されました。
エルヴィスは、生放送でリスナーからの相談を受ける深夜ラジオ番組のDJ。
女性アシスタントのメアリーと長らくコンビを組んできたが、
ある日、青年ディランが新アシスタントとして加わることに。
リスナー男性からの電話をディランがエルヴィスへと取り次ぐと、様子がおかしい。
その男性はゲイリーと名乗り、メアリーの前任者ローレンの恋人だったと言う。
エルヴィスのせいでローレンは仕事を辞めたあと自殺したとの言い分で、
エルヴィスの自宅に侵入したゲイリーは、妻子を人質に取ってラジオ局へと向かい、
建物のあちこちに爆弾を仕掛ける。ゲイリーを探すエルヴィスとディランは……。
丸ごと全部、新人イジメのドッキリでした。
と思いきや、実は騙されていたのはエルヴィスのほうだということが最後にわかります。
ここまでのドッキリ悪趣味すぎる。
人もいっぱい死んで(ないけど)、退屈はしないけど、とても嫌な感じが残ります。
何をやっているんだか、メル・ギブソン
 
《む》
『ムーンシャーク』(原題:Shark Side of the Moon)
2022年のアメリカ作品。TSUTAYA DISCASにてDVDレンタル。
1984年にソ連は冷戦の対米兵器として“ハイブリッドシャーク”を開発。
それはサメに足のついた鮫人間で、兵士として出動させる予定だった。
戦闘能力はもちろんのこと、知的能力も信じられないほど向上し、
ロシア語の読み書きもできるまでになった鮫人間がある日暴走。
何十頭という鮫人間を海に逃がしては大変なことになると、
セルゲイ博士はロケットに鮫人間を誘導して月へと飛び立つ
それから40年が経ち、女船長のトレスが率いるNASA宇宙船が月へと向かう。
ところが途中で何者かによって航路を妨害されて月の裏側へと不時着
そこでは鮫人間たちが文化を築き上げ、町を生成していたが、そんなことをトレスたちが知る由もない。
鮫人間に襲われて命を落としそうになったところを救ってくれたのがセルゲイとその養女アクラで……。
まったくもってバカバカしい。観る前からC級臭が漂っていましたが、まぁ、嫌いじゃない。
こんなアホくさい作品でよくも真面目に演技できるよなぁと思わずにはいられません。
鮫人間に足を食いちぎられようとも冷静な船員ヘンリーには度肝を抜かれました(笑)。
原題の“Shark Side of the Moon”ってなんだかシャレてますよね~。
 
《め》
『女神の継承』(英題:The Medeium)
2021年のタイ/韓国作品。TSUTAYA DISCASにてDVDレンタル。
タイ東北部イサーン地方の村を訪れたドキュメンタリーチームという設定のモキュメンタリー
村人が崇拝する地元の神バヤンの精霊の霊媒であるとされる女性ニムに取材する。
あるとき、ニムの姪ミンに変調が見られたことから、
ミンの母親ノイ(=ニムの姉)は霊媒の代替わりの時期が来たと考える。
ところが、ニムによれば、ミンはバヤンではなく悪霊に取り憑かれていると言い……。
原案と製作を務めたのは、『チェイサー』(2008)、『哀しき獣』(2010)、
『哭声/コクソン』(2016)のナ・ホンジンだけあって、さすがに怖い。
画面を凝視したら絶対眠れなくなるので、しばしば目線をずらしながら観ました。
何の悪霊かと思ったら、昔、ノイの夫の先祖が村人の首をはねまくっているのですと。
それで、人間のみならず動物や虫までもが一族を恨み、末代まで祟ると決めた。
バヤンの霊媒となり得るノイは夫の先祖のことを知らずに嫁ぎ、
霊媒となることを拒んでキリスト教信者となった過去がある。
それもこれも、祟りの一環でノイが霊媒となるのを阻止されたのでしょうか。
祟られたノイの夫がまず死んで、息子は妹との近親相姦に苦しんで自殺。
こうして一族が次々と不審死を遂げ、残った娘が取り憑かれる。ラストは阿鼻叫喚。
お祓いは成功せずにみんな悪霊にやられちゃいますよん。
悪いことをしたら祟られる。怖っ。凄まじいバッドエンド。(T_T)
 
《も》
『森の中のレストラン』
2022年の日本作品。TSUTAYA DISCASにてDVDレンタル。
訳あって、森の中で首を吊って自ら命を絶とうとしていた京一(船ヶ山哲)は、
通りかかった猟師・欣二(小宮孝泰)に救われる。
欣二をオーナーとする森の中のレストランでシェフを務めることになった京一。
フランスの三つ星料理店に在籍した経歴を持つ彼の料理を食べに遠方から客が来るほどの賑わい。
一方で、夜に訪れる一人客はここで好きなものを食べてから自殺するつもりで、
「最後の晩餐」にありつくための店としてひそかに有名。
ある日やってきたのは、母親と共に父親から虐待を受けている少女・紗耶(畑芽育)。
死にきれずにいたところを京一と欣二に拾われ、このレストランで働き始めるのだが……。
京一が死のうとしていたのは、愛娘を喪ったからでした。
しかも愛娘は飛び降り自殺者の巻き添えを食らって亡くなっています。
本作で長編映画デビューを果たした泉原航一監督は、
ゲートキーパー(自殺の危険を示すサインに気づいて必要な支援につなげる人)という言葉があることを知り、
映画を撮るテーマとしてそれを選んだとのこと。
ラストで京一が愛娘を喪う原因となった青年の親をレストランに招待するシーンにちょっと考えさせられました。
そうですよね、子どもを喪って悲しいのはこっちだけじゃない。
向こうも同じように子どもを喪っているのに、謝ることしかできないのですから。

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