夜な夜なシネマ

映画と本と音楽と、猫が好き。駄作にも愛を。

『朽ちないサクラ』

2024年07月08日 | 映画(か行)
『朽ちないサクラ』
監督:原廣利
出演:杉咲花,萩原利久,森田想,坂東巳之助,駿河太郎,遠藤雄弥,
   和田聰宏,篠原悠伸,藤田朋子,豊原功補,安田顕他
 
TOHOシネマズ西宮にて、前述の『数分間のエールを』の次に。
 
原作は柚月裕子の同名ベストセラー小説。まだ読んでいません。こりゃ絶対読みたいやつですね。
監督はなんと『帰ってきたあぶない刑事』の原廣利と知ってビックリ。
あんなのからこんなのまでお撮りになる人とは。
 
愛知県平井市に住む女子大生がストーカー被害に遭ったうえに殺害される事件が発生する。
被害者からストーカーについて届け出があったにもかかわらず、
担当の米崎県警平井中央署生活安全課が署員の慰安旅行を優先して受理を先延ばしにしていたと、地元の米崎新聞がスクープ
不満をあらわにする市民県民たちから米崎県警本部にも苦情の電話が殺到し、署員たちはその対応に追われる。
 
いったい誰が慰安旅行のことを米崎新聞にたれ込んだのかと署員らが訝しむ様子を見て、
県警本部広報課の職員・森口泉(杉咲花)は気が気ではない。
というのも、泉に気があるらしい平井中央署生活安全課の巡査・磯川俊一(萩原利久)が、
慰安旅行の土産をくれた話を親友の津村千佳(森田想)に話したことがあったから。千佳は米崎新聞の記者。
女子大生殺人事件が起きる前の話で、まさかこんなことになるとは思わずに話してしまったのだ。
 
きっと千佳は喉から手が出るほどスクープがほしかっただろう。
本人は親友を裏切るようなことはしないと憤る素振りを見せていたが、実際のところはわからない。
泉が信じられないと言うと、ならば記事の出どころを突き止めてその疑いを晴らしてみせる、
もし自分でないとはっきりしたときは謝ってほしいと言って千佳は立ち去る。
 
ところがその1週間後、今度は千佳が変死体となって発見される。
泉が信じなかったせいで千佳が死んでしまうことになったのではないか。
身の潔白を証明しようとした千佳は真相に近づいて殺されたのではないだろうか。
自責の念に駆られる泉は、俊一の協力を得て独自に調査を始めるのだが……。
 
杉咲花が良いのはもちろんのこと、彼女の上司で広報課の課長・ 富樫隆幸を演じる安田顕と、
県警本部捜査一課の課長・梶山浩介を演じる豊原功補が素晴らしい。
きつい仕事の中にあって、こんなに人間味のある上司に囲まれていたら、などと思っていました。
 
ここからは超ネタバレです。
 
いちばん怪しくない人が本当は怪しいというのはミステリーの定番なので、
もしかしたらと思ってはいたものの、それこそ信じたくはない(笑)。
えーっ、そんな展開ってありですか。
 
「サクラ」とは公安のことなのですね。
すべて公安が仕組んだことで、多くの命を救うためならば、何人かの犠牲が出るのはなんともない。
誰かに罪を着せ、真実にたどりつきそうな人間はいとも簡単に消す。
 
だから「私は警察官になる」、正せないかもしれないけれど、泉の姿が力強い。
後味は良くないけれど、面白かった。
 
正義って何でしょう。

  • X
  • Facebookでシェアする
  • はてなブックマークに追加する
  • LINEでシェアする