『化け猫あんずちゃん』
監督:久野遥子,山下敦弘
声の出演:森山未來,五藤希愛,青木崇高,市川実和子,鈴木慶一,
水澤紳吾,吉岡睦雄,澤部渡,大谷育江,宇野祥平他
TOHOシネマズなんばにて。
平日の仕事帰りに容易に寄れる劇場では上映しておらず、休日になんばまで出向きました。
いましろたかしの同名漫画をアニメ化した日本/フランス作品。
漫画家としても活躍しているという久野遥子監督のほうは申し訳なくも存じ上げませんが、
11歳の少女・かりんは、3年前に大好きだった母親を亡くした。
ろくでなしの父親・哲也はサラ金で借金を重ね、取り立てから逃げるために、
かりんを連れて20年ぶりに疎遠になっていた実家に向かう。
哲也の実家は寺。父親である和尚は哲也が結婚したことすら知らなかったから、
いきなり孫を連れてきた息子にびっくり。
しばらく置いてほしいという哲也の頼みを聞き入れるつもりだったが、
サラ金で首が回らなくなったので金を貸してくれと言われて激怒し、哲也を追い出す。
母親の命日までには借金を綺麗にして戻ってくるという哲也。
嘘としか思えないが、致し方なくかりんはそのまま残ることに。
田舎でつまらない日々を送ることにげんなりするかりんの前に、
二足歩行のデカい猫あんずちゃんが原付に乗って現れる。
和尚の話ではあんずちゃんは化け猫で37歳。
捨て猫だったところを和尚が拾い、当初は普通の猫に見えたのに、
いつしか見た目を除いてまるで人間となり、言葉も普通に喋るように。
そしていつまで経っても死なないのだ。
村の人たちもあんずちゃんのことを受け入れている様子で、
かりんはそれが面白くなくてたまらず……。
傷ついた少女が化け猫と心を通わせるひと夏の物語、と思うじゃないですか。
これが全然ちがって、想像の遥か斜め上をゆく。笑った。
かりんの境遇は確かに可哀想だけど、いい子とは言えません。
あんずちゃんのことも村のことも見下していて、しょっちゅう舌打ちをしている。
これが相当憎たらしい。
大人の前では可哀想な少女になりきってお小遣いをもらおうとするし、
同年代の少年たちには甘えるふりをして言うことを聞かせる。
大人も子どももそれにしっかり騙されてだらしないったら(笑)。
それでも子どもは子どもです。やっぱりあんずちゃんと心を通わせることになる。
そこに至るまでが普通のアニメーションとは違っていて、本当に面白かった。
地獄はまるでホテルのようで、この描写も面白かったなぁ。
めちゃめちゃハマっています。
“すとぷり”とかを観てついて行けずに混乱しているよりも、こっちのほうが私は落ち着きます。
すとぷりファンの方々にはごめんなさい。
この夏、オススメ。