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2023年5月に読んだ本まとめ

2023年06月01日 | 映画(番外編:映画と読み物)
2023年5月の読書メーター
読んだ本の数:10冊
読んだページ数:2545ページ
ナイス数:779ナイス

■逆転美人 (双葉文庫 ふ 31-03)
これだけ帯で煽られたら誰でも身構えて読むから、書き手は彼女ではないのだろうというのは、多くの人が想像できたことだと思います。その通りだとわかったときには「けっ、この程度かよ」と悪態つきそうになったけれど(笑)、そこから先は確かに「紙の本でしかできない驚きの仕掛け」。果たして少女がどのように告発するのかを見守ることになりました。種明かしに至るまでの間、美人の悩みなんて知る由もない私は、それはそれで大変だなぁと夢中で読みましたが、結局これでは「美人は性格が悪くてバカ」になっちゃって、私たちには胸のすく展開!?
読了日:05月01日 著者:藤崎 翔

■虹にすわる (幻冬舎文庫 た 45-5)
昨年6月に弟が亡くなりました。その5カ月後、弟よりひとつ下の私の友達も同じように癌で亡くなりました。20年以上前に弟と彼は面識があり、亡くなるひと月前に「向こうで弟さんに会えるとおもいます」と連絡をくれました。そんな彼が木工職人で、遺作となった椅子が展示されている今、木工の話だなんて知らずにこれを読んだものだから、思わず涙。「虹にすわる」とは良いタイトル。彼の遺作は曲線が虹っぽいベンチシートで、ふたり並んで座っているところを想像します。瀬尾まいこが好きな人なら瀧羽麻子もきっと好きですよね。心が温かくなる。
読了日:05月05日 著者:瀧羽 麻子

■ロスト・ケア (光文社文庫)
映画鑑賞後に読み、原作との相違点にいろいろと戸惑いました。検察官の性別が異なるのは驚くようなことではないにしても、介護士の職場と検察官の親が入居する老人ホームの母体が同じだったり、そもそも検察官の父親は孤独死していなかったり、映画化に当たってかなりの改編を必要とするほど難しい作品だったのだろうと思います。検察官の言うことは確かに正論だけど、映画版を観たときに特に心に残ったのは、家族の絆とは何なのかということでした。時には断ち切ったほうが皆が楽になれる場合もある。介護保険制度について考える機会になりました。
読了日:05月08日 著者:葉真中 顕

■思わず考えちゃう
ちょっとだけ何か読んでから就寝したいなぁと思ったとき、気軽に手に取れるのがヨシタケさん。しかし手に取ったが最後、読むのをやめられなくなる。ヨシタケさんの著作中、これは私のいちばんではない。「生きるヒントに。」と謳われている時点で説教くさい気がしてしまうから。最終章はその気配が若干強いけど、前の2章は笑いました。ヨーグルトの台座もストローの袋も、私はヨシタケさんとピッタリすぎて、逆に合わないですよね、きっと(笑)。心配事を吸わせる紙、ほしい。明日やるよ。すごくやるよ。って、しっかり生きるヒントにしている私。
読了日:05月09日 著者:ヨシタケシンスケ

■最後のページをめくるまで (双葉文庫)
どんな本かを説明するに当たり、本作中の作品タイトルをひとつ借りるなら、「読み勝手のいい本」です。1編50頁程度の短編が5つ。連作ではないのでどこから読んでもいいし、どこでやめてもいい。これほど読み勝手がよいにもかかわらず読了に時間がかかったのは、読みやすそうだと思って毎度飲酒してから本を開いていたからです(笑)。酔っぱらって読んでは絶対アカンやつで、全然意味がわからなくなり、翌日戻って読むことを繰り返していたら、10日もかかってしまいました。飲むなら読むな、読むなら飲むな。悪いことはでけん。それに尽きる。
読了日:05月19日 著者:水生 大海

■おんなの女房
武家の娘・志乃が嫁いだ相手は歌舞伎役者。しかも大人気の女形・燕弥。芝居好きの娘ならともかく、これまで芝居をまったく知らなかった娘は芝居を学ぼうとするわけではありません。けれども、家でも女として振る舞う燕弥を支える志乃は健気でもあり、逞しくもあります。病に罹ったと知って役者を辞めようとする燕弥。役者でなくなれば男になる。そうしたら夫婦として普通に穏やかな家庭を築くことができたでしょうに、彼は死ぬまで女形でいるべきだと感じた志乃が一発かますシーンにはシビれました。志乃に惚れてしまいそう。大変だな、役者の女房。
読了日:05月21日 著者:蝉谷 めぐ実

■ニート・ニート・ニート (角川文庫)
一時ハマって大人買いした著者です。どうしようもないニート3人プラス不機嫌女子1人で向かうことになった北海道。きっかけを作った奴は逃亡者の身なのに要らんことばかりするから、あちこちでぶっ殺されそうな目に遭います。「ちょっとテンポの悪い木下半太」みたいな印象がなくもないけれど、それはまたしても私が酒を飲みながら読んだせいなのか。いずれにせよ、もっと評価されても良い作家だという思いは変わりません。序盤は好きになれなかった登場人物たちのこともだんだん愛おしく思えてくる。ダ・カーポの『宗谷岬』が頭の中を巡るよ~。
読了日:05月26日 著者:三羽 省吾

■婚活中毒 (実業之日本社文庫)
嬉しくなるほどの読みやすさ。飲み会に向かう前とその帰りの電車の中、片道小一時間。往路と復路できっちり2話ずつ、駅に帰着するときには読了できてスッキリ。この著者の嫌ミスはどれも面白いですねぇ。婚活にまつわる皮肉に満ちた話4つ。結婚に対する執念にゾッとします。どんでん返しは「どっひゃー」と驚くほどではないけれど、ニヤリと笑ってしまう加減が好き。ここまでして結婚相手を手に入れたとして、果たして幸せになれるものですか。最終話は、この親父がもっと痛い目に遭ってもいいのにと残念に思った私は性格が歪んでいるでしょうか。
読了日:05月27日 著者:秋吉 理香子

■結局できずじまい
はいはーい、最近の月に一度のお約束、「月末が近づくと冊数を稼ぐためにヨシタケさんを読む」。ヨシタケさんの著作があまりに多くて、どれも読みたいけれども、続けて同じ著者の作品を読むのを避けている私としてはちょうどいい案配かもしれません。買った本を読むことができないのは私も同じ。あくまで「なかなか」できないだけですが、買うまでの瞬間が楽しい気持ちはよくわかる。そしてまた積読が増えてゆく。あぐらをかけないヨシタケさんの後ろ姿が可愛らしすぎて笑いました。人それぞれに違ったできないことがあるからこそ許し合い助け合う。
読了日:05月29日 著者:ヨシタケ シンスケ

■赤い魚の夫婦
メキシコ在住経験のある友達が貸してくれました。彼女のメキシコへの想いは相当なもので、WBCのときは日本じゃなくてメキシコを応援して家族の顰蹙を買ったというぐらい、メヒコ大好き!なのだそうです。独特の雰囲気漂う短編5つ。ゴ○○リ(書きたくない(笑))だったり、爪の中の菌だったり、ぞわぞわするものばかりが出てくるのに、目を背けることができないばかりか、ちょっとクセになりそう。ギレルモ・デル・トロとかアレハンドロ・ホドロフスキーとか、メキシコ人監督の映画に惹かれる私はとても気に入りました。奇才か鬼才か、変態か。
読了日:05月31日 著者:グアダルーペ・ネッテル

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