『ヤジと民主主義 劇場拡大版』
監督:山崎裕侍
ナレーション:落合恵子
3連休の中日、伏見稲荷大社にお詣りに行く前に、十三・第七藝術劇場にて1本。
観た順にUPしていると、3連休っていったいいつでしたかって感じですけど。(^^;
その最中にヤジを飛ばした人たちが北海道警の警察官に排除される騒動が起きました。
本作はその「ヤジ排除問題」を北海道放送報道部の取材班が追ったドキュメンタリーです。
お詣りの前に1本観たかっただけで、この問題に興味を持っていたわけではありませんでした。
前日も映画をハシゴして疲れていましたし、観ながら寝てもいいかな、ぐらいのつもりで。
そうしたら、面白くて眠くならず。
ヤジを飛ばしたりプラカードを持ち上げようしたりして警察官に取り囲まれた、
あるいは腕などを掴まれてその場から移動を強要された人は少なくとも10人はいたそうですが、
本作では主に2名、ソーシャルワーカーの男性と大学生だった女性に焦点を当てています。
裁判を起こしたのもこのふたりだからということもあるのでしょうかね。
2名は特定の政治団体に所属しているわけではなく、無党派の一般人です。
もしも私がこの場にいたら、あぁ、なんかおかしい人だと思ってしまったかもしれません。
しかしこうしてインタビューを見ると、私なんかよりよほど社会を知っている、
少なくとも知ろうとしている人でしょう。
2名は共にヤジを飛ばしたのではなくて、先の男性が叫ぶのを聞いて、
後の女性も声を上げなければ後悔すると思ったそうです。
安倍政権を批判するヤジだったから排除されたのか。そりゃそうでしょう。でもそうは言わない。
北海道県警の言い訳はとても苦しく聞こえます。
「表現の自由を侵害された」とふたりが訴えた裁判。
一審では原告の2名が勝訴しましたが、二審では女性のみが勝訴。
北海道県警の何十名も動員して作成したという再現イメージ映像は少し笑ってしまいました。
茶番にしか見えないのですけれど。
演説中のヤジに私は賛成とは言えません。でも私は何にもしないから。
何にもしない、声を上げない私にヤジを非難する権利はありません。
どうせ何を言ったって何も変わらないと思うけれど、何もしなければ絶対に何も変わらないのですよね。
こういう裁判があったことを今まで気にも留めずに来ました。
せめてもう少し興味を持たなければいけない。
ヤジだけで、誰かに危害を加える可能性などなかったこのふたりを排除して、
安倍首相を殺しにやってきた人を止められなかったとは、なんという皮肉。