『リトル・ダンサー』(原題:Billy Elliot)
監督:スティーヴン・ダルドリー
出演:ジェイミー・ベル,ジュリー・ウォルターズ,ゲイリー・ルイス,ジェイミー・ドレイヴン,
ジーン・ヘイウッド,スチュアート・ウェルズ,ニコラ・ブラックウェル,コリン・マクラクラン他
批評家にも一般人にも高い評価を受けた2000年のイギリス作品。
スティーヴン・ダルドリーの映画監督デビュー作だったにもかかわらず、
興行的にも批評的にも大成功を収めて、彼は一流監督の仲間入り。
そんな作品のデジタルリマスター版が公開中です。
道路が事故でババ混み、間に合わないなぁとあきらめていたけれど、本編開始になんとか滑り込み。
なんばパークスシネマにて。
1984年、イギリス北部、ダーラムにある炭坑町エヴァリントン。
11歳の少年ビリーは母親を亡くし、炭坑夫の父親と歳の離れた兄トニー、祖母と3人暮らし。
炭坑夫たちはストライキの真っ最中で、町自体にぎすぎすした空気が漂っている。
同じ場所を分け合って使用することになった子どもたち。
バレエの先生はビリーの同級生デビーの母親ウィルキンソン夫人で、
こっそり覗き見していたつもりがデビーから「アンタも踊れば?」と言われて飛び入り参加。
ビリーにバレエの素質を見いだしたウィルキンソン夫人は、
ロンドンの名門校ロイヤルバレエスクールのオーディションを受けることを勧めるのだが……。
バレエなんて男がするものじゃないと決めつける父親と兄。
そう言われることがわかっていて、隠れて練習を続けるビリーですが、
それが恥ずかしいことだと思っているわけでもなく、「何が悪いんだ」と言い返す姿が好きです。
ビリーを応援する親友マイケルがカミングアウトしたときのやりとりも好きだなぁ。
2000年当時、ゲイの、しかもまだ少年のカミングアウトシーンがある作品はあまりなかったのでは。
男が踊るなんてと思っていた父親が、目の前のビリーの踊りに魂を奪われる。
なんとか息子の夢を叶えてやりたいと、スト破りして出勤するシーンは涙もの。
ビリー役のジェイミー・ベルは、あの頃のままの顔立ちが可愛いとは言えないものの、今もとても良い役者なのが嬉しい。
特に今年観た『異人たち』の彼は心に強く残っています。少年役だった彼がいまや父親役。
かの有名なコンテンポラリーダンス演出家で振付家のマシュー・ボーンに抜擢され、
“白鳥の湖”で全世界にセンセーションを巻き起こした本物のバレエダンサー、
アダム・クーパーが出演したことも大きな話題となりました。ラストシーン、見物(みもの)です。
何度でも観たい作品。