『鬼太郎誕生 ゲゲゲの謎』
監督:古賀豪
声の出演:関俊彦,木内秀信,種崎敦美,小林由美子,白鳥哲,飛田展男,中井和哉,沢海陽子,山路和弘,
皆口裕子,釘宮理恵,石田彰,古川登志夫,沢城みゆき,庄司宇芽香,松風雅也,野沢雅子他
封切り日にイオンシネマ茨木のレイトショーにて。
21時過ぎからの回だというのに、結構な客入り。“ゲゲゲの鬼太郎”人気の証か。
“ゲゲゲの鬼太郎”の作者で漫画家の水木しげるは、2015(平成27)年に93歳で他界。
今年が生誕100周年に当たる年ということで、それを記念して制作されたのが本作。
のちに目玉おやじとなる鬼太郎の父親(本作ではゲゲ郎と呼ばれる)を主人公として、
水木との出会いからゲゲゲの鬼太郎がこの世に生まれるまでの物語です。
アニメのわりにグロいシーンが多く、PG12指定となっています。
1956(昭和31)年。帝国血液銀行に勤める水木は、野望にあふれる社員。
あるとき、彼が担当する龍賀製薬の当主・龍賀時貞が亡くなったとの報せが届く。
龍賀といえば、日本の財界を牛耳る一族。
龍賀製薬では秘密の薬が開発されているという噂があり、その秘密を解き明かせば出世確実。
お悔やみを言いに行く役目を自分が果たしたいと、帝国血液銀行社長たちに名乗り出る水木。
龍賀一族が暮らす哭倉村へと到着した水木は、時貞の遺言状が開封される場に同席。
てっきり時貞の次男・孝三が龍賀製薬を継ぐものと思われていたのに、
明らかにアタマが弱い長男・時麿に何もかも遺すという内容だった。
しかも時麿に何かがあったときには、時貞の三女・長田庚子の息子・時弥に引き継がれるという。
孝三にとっては晴天の霹靂。どうにも納得できない思いが募る。
ところが翌朝、時麿が何者かに殺される。
容疑者として引っ捕らえられたのはよそ者で名乗ろうともしない。
即刻首を刎ねられそうになったところを、それはアンマリだと水木が留める。
そのせいで水木は投獄された謎の男を監視する役目を仰せつかってしまう。
謎の男のことを“ゲゲ郎”と呼びはじめた水木は、彼が幽霊族であり、
いなくなった妻を探して哭倉村へやってきたことを知るのだが……。
遺言がらみだから、なかなかにドロドロしています。
横溝正史なんかの雰囲気も漂っていて、目が離せません。
龍賀一族が幽霊族を拉致していた理由がとてもおそろしく、おぞましい。
自分にとって損か得かしか考えていないと思われた水木が、
途中からはゲゲ郎の良き相棒となり、決して彼を見捨てない。カッコイイ。
ゲゲゲの鬼太郎が本当にこんなふうに誕生したのかは私は知らなくて、
なんだかちょっと読みあさってみたい気持ちに駆られています。
きっと今後も読み継がれる漫画に違いない。
ひとつだけ、まったく関係ないとも言える話を。
本作を観る数日前に“水曜日のダウンタウン”の「名探偵津田」を観ていたせいで、
次々と殺される龍賀一族の人たちが、あの村人たちとかぶって困りました(笑)。