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『ダーク・ウォーターズ 巨大企業が恐れた男』

2021年12月22日 | 映画(た行)
『ダーク・ウォーターズ 巨大企業が恐れた男』(原題:Dark Waters)
監督:トッド・ヘインズ
出演:マーク・ラファロ,アン・ハサウェイ,ティム・ロビンス,ビル・キャンプ,ヴィクター・ガーバー,
   メア・ウィニンガム,ウィリアム・ジャクソン・ハーパー,ビル・プルマン他
 
大阪ステーションシティシネマにて。
 
みんな観てっと言いたくなる面白さ。実話に基づく。
 
ロブは主に化学企業を顧客とするオハイオ州の大手法律事務所弁護士
ある日、どう見てもこの事務所にふさわしいとは思えない中年男ウィルバーがロブを訪ねてやってくる。
追い返そうとすると、ウィルバーはロブの祖母の紹介でここへ来たと言う。
 
大切な祖母の紹介ならば、断るにしても丁寧に応対しなくては。
故郷のウェストバージニア州へと向かったロブは、ウィルバーの農場を訪れて愕然とする。
 
ウィルバーの話では、巨大企業デュポン社の工場から排出される廃液のせいで、
彼の農場はことごとく汚染され、死んだ牛の数は200頭近く。
もちろんデュポン社に連絡したが、ウィルバーの管理が悪いと言われただけ。
しかも政府の機関が調査した結果がそれだと言う。
 
納得の行かないウィルバーはデュポン社を訴えるべく、地元の弁護士に相談。
しかしあのデュポン社が相手。すべての弁護士に断られたらしい。
 
立場上、ロブはこんな仕事は引き受けられないと思いながらも、
ウィルバーの話を真剣に聴くべきだと考え、法律事務所の代表トムに掛け合う。
デュポン社を怒らせないよう、慎重に話を進めることにするのだが……。
 
これを観たら、テフロン加工の鍋やフライパンは使えなくなるかもしれません。(^^;
デュポン社のほかにも化学企業の名前がちらほら出ますが、
これって『モンサントの不自然な食べもの』(2008)で見かけた会社ばかり。
 
人間の生活に便利なものを発明する。これは決して悪いことではありません。
だけど、その中に人の命をおびやかすほど危険な物質が含まれていたら。
そしてそれを企業は承知のうえで使っていて、かつ、隠していたら。
 
隠す理由はただひとつ。儲からなくなるから。
時には社員にわからぬように社員たちを使って人体実験に近いことをおこなっている。
なんと恐ろしいことでしょう。
 
巨大企業がある町では大きな雇用が生まれ、住民はデュポン社に感謝している。
環境汚染があったとしても自分の土地のことじゃないからいいと思っているふしすらある。
だから、その企業を訴えたウィルバーは白い目で見られ、
彼以外に原告に加わった人も家に火を放たれたりします。難しいですね。
 
ウィルバーがロブのもとを初めて訪れたのは1998年。
それから20年以上の月日が経ちますが、ロブはまだ戦い続けているそうです。
 
危険であることをひたすら隠して安全だという会社の偉いさんたち。
あなたたちの家では自社製品を愛用していますか。

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