『エスター ファースト・キル』(原題:Orphan: First Kill)
監督:ウィリアム・ブレント・ベル
出演:イザベル・ファーマン,ジュリア・スタイルズ,ロッシフ・サザーランド,
マシュー・アーロン・フィンラン,ヒロ・カナガワ,サマンサ・ウォークス他
上映劇場のなかで仕事帰りにいちばん寄りやすいのはイオンシネマ茨木。
しかし茨木では21:30からの上映しかない。そんな遅い時間に観たら怖いやん。
で、18:35からの上映回があるTOHOシネマズ伊丹へ。
忘れたくても忘れられないほど怖くて面白かった『エスター』(2009)。
思えばあれ以降、私はジャウマ・コレット=セラ監督を追いかけています。
13年経って、このように続編というのか前日譚誕生。
ウィリアム・ブレント・ベル監督はどんなふうに料理するのか。
『エスター』でコールマン一家に引き取られる以前のこと。
リーナは行方不明者のリストを調べ、自分に最も似た女児エスター・オルブライトになりすますと決める。
彼女がでっちあげたストーリーは、エスターはアメリカ・コネチカット州で誘拐され、
ロシアに連れて行かれて4年、隙を見てようやく逃げ出してきたという話。
エスターの失踪事件を担当していた刑事ドナンからオルブライト家に連絡が入る。
エスターが姿を消してからすっかり元気をなくしていた父親のアレンは大喜び。
母親のトリシア、兄のガナーも戻ってきたエスターを受け入れるのだが……。
極寒のエストニアの精神病院の様子が映し出される冒頭は、恐怖しかありません。
患者たちに美術を教えることになった教師アナは意気揚々として場に臨んだのに、
ここで最も危険な人物とされるリーナに会って怖じ気づく。
リーナを図らずも逃がすことになってしまい、その殺され方といったら無残このうえなし。
低身長症のために外見は9歳、中身は30歳を過ぎているリーナ改めエスター。
そりゃもう不気味ったらない。演じているのは『エスター』から引き続きイザベル・ファーマン。
この女優の他の出演作も観ているはずなのですが、まったく記憶になくて、
『エスター』でしか覚えられない彼女のことが気の毒になるほど。
途中まではエスターのことが怖くて怖くて、
こいつとっとと死ねぇ!などと思っていたのですが(とっとと死んだら話も終わってまうがな)、
中盤以降、彼女を応援する側に回ってしまいましたよ、私。(^^;
だってね、ネタバレになりますが、ジュリア・スタイルズ演じるトリシアがえげつない。
実はガナーが妹のエスターをはずみで殺してしまっていたという真相。
息子かわいさにガナーをかばい、娘は行方不明になったという筋書きを作り上げたトリシア。
だから、トリシアもガナーもこの世にエスターがいないことを知っていてエスターを受け入れたんですねぇ。
トリシアとエスターの取り引きが成立して、駆け引きも始まるわけです。
何も知らないのはアレンだけ。そんなアレンに恋心を抱くエスター。
めらめらと嫉妬心をあらわにするトリシア。こんな三角関係みたないわっ(笑)。
トリシアが怖すぎて、ガナーも嫌な奴すぎて、エスターがんばれ!と思ってしまった。
マイケル・センベロの“マニアック”がいい感じにかかって楽しかった。
前作『エスター』にはまったく敵わないけれど、これはこれで普通のホラーとして面白かったです。