『抓娃娃(じゅあわわ) 後継者養成計画』(原題:抓娃娃)
監督:イェン・フェイ,ポン・ダーモー
出演:シェン・トン,マー・リー,シー・ポンユァン,サ・リナ,シャオ・ボーチェン他
シネマート心斎橋にて、前述の『DEADMAN 消された男』の次に。
本国中国で大ヒットしたコメディ作品なのだそうです。
平日の昼間、8割程度の客入りで、中国人とおぼしき家族連れも結構いました。
シアタス心斎橋で『インサイド・ヘッド2』を観たとき、客にインバウンドが多いことに驚きましたが、
こちらシネマート心斎橋の客はおそらく観光客ではなくて、日本在住の方々なのではないでしょうか。
ジーイェは貧しい家庭に生まれて同級生たちにからかわれるも、
両親の言いつけを守って勉学に励み、ばあちゃんの面倒を見る素直な子ども。
ペットボトルを拾っては金に換えるなど、しっかりと働いている。
勉強も運動もできるジーイェが貧困のせいでより能力を高める機会を逸していると、
担任教諭は彼を支援したいと言う富裕な人物を紹介するが、ジーイェの両親から断られる。
というのも、ジーイェの親は本当は会社を持つ大金持ち。
父親は自分が赤貧で苦労したのちに会社を築いて成功したことから、息子にもその苦労を知ってほしいと考えたのだ。
ジーイェがまだ記憶もおぼつかない幼児だった頃にそう思い立ってボロ家に引っ越し。
しかしジーイェを北京大学に入学させるため、周囲に近所の住人のふりをして教育者たちを住まわせ、
ジーイェが危ない目に遭わないように多くの見張りもつけて逐一息子の行動を連絡させてきた。
周到な用意ゆえジーイェ本人はそれに気づくことなく成長してゆくのだが……。
劇場内にたびたび笑いが起きてとても良い雰囲気。
でも、ちょっとやりすぎでしつこい感があって、途中で辟易としました。
ボロ家の地下には監視カメラが設置され、ジーイェがどこに居ようがわかるようになっています。
英語、数学、歴史、すべての教科の担当者が雇われていて、偶然を装ってジーイェに英語で道を尋ねたりも。
バレそうになると担当者が死んだことにして葬儀まで演出。
こんなことをしていつか息子が感謝するとでも思っているのでしょうか。
大学入試を前に違和感をおぼえたジーイェはついに真相解明に乗り出します。
そこまではしつこいと思ってきた数々のシーンも、その後はなくてならないシーンだったと思えました。
やりすぎだったからこそ、ジーイェが真実を知ったあとが良い。
英語タイトルは“Successor”。
学歴がすべての社会では良い大学に入れるのが親の務め。
後継ぎは何でもできる賢い成功者でなければならないのですね。
父親からまるで期待されていないジーイェの歳の離れた異母兄の存在が良かった。
大ヒットも納得の作品でした。
だけど、本作を観る限り、中国の笑いより韓国の笑いのほうが日本の笑いに近い気がしなくもない。