『TOVE/トーベ』(原題:Tove)
監督:ザイダ・バリルート
出演:アルマ・ポウスティ,クリスタ・コソネン,シャンティ・ローニー,ヨアンナ・ハールッティ,
カイサ・エルンスト,ロベルト・エンケル,ヤーコプ・エールマン,エーヴァ・プトロ他
文化の日、オリックス劇場にて劇団☆新感線の『狐晴明九尾狩(きつねせいめいきゅうびがり)』を観て、
ご一緒した人と軽く昼飲みした後、余韻もそのままにシネ・リーブル梅田へ。これはひとりで。
夕方から無謀と思われる映画3本ハシゴを敢行。もうへろへろよ(笑)。
あの“ムーミン”の生みの親として知られるトーベ・ヤンソンの半生を映画化。
監督のザイダ・バリルート、主演のアルマ・ポウスティ、共にフィンランド人です。
ヘルシンキに暮らすトーベは彫刻家の父親と挿絵画家の母親の間に生まれた。
芸術家として身を立てることを特に父親から求められ、絵を描くことに勤しむが、
そのかたわらで彼女が楽しみを見いだしていたのは、
不思議な生き物“ムーミントロール”を主人公にした物語を作ること。
彼女の絵画は、保守的な美術界にあっては高い評価を受けられず、
その鬱憤もあってか、自由奔放に生きるように。
既婚者である男性とも逢瀬を重ね、恋愛を謳歌する。
そんな彼女が舞台演出家ヴィヴィカ・バンドラーと出会って……。
ムーミンみたいな絵を描いてお話を作る人って、
イメージとしては人の好さそうなおばあちゃんだったりしませんか。
全然そうではないことにひたすら驚かされます。
不倫しているときも彼女には暗さのかけらもない。
どちらかといえば相手の男性のほうに余裕がなくて、
彼女はただただ楽しんでいるように見えます。
父親からのプレッシャーたるや凄まじいものだったでしょうが、
生活のために描かねばならぬこともトーベは理解しているようで、
ひどく反抗的になることはありません。
ぼちぼちとムーミンの絵を描き、それを父親に蔑まれてもスルー。
時代が近くて国が同じだからか、『トム・オブ・フィンランド』(2017)を思い出します。
トウコ・ラクソネンがつらい人生を送ってきたのは明らか。
同性愛が法律で禁じられていたのですから、トウコにとっては茨の道。
バイセクシュアルのトーベもその道を歩いてきたかもしれないけれど、奔放さに救われる。
今もいてくれてありがとう、ムーミン。