夜な夜なシネマ

映画と本と音楽と、猫が好き。駄作にも愛を。

『バルーンリレー』

2013年05月22日 | 映画(は行)
『バルーンリレー』
監督:藤村享平
出演:刈谷友衣子,大久保祥太郎,美波,古舘寛治,川島潤哉,
   木村了,鈴之助,内田春菊,松金よね子他

まもなく新作落ちしそうなレンタル作品。

ユナイテッド・シネマが主催する“シネマプロットコンペティション”。
小説やコミックが原作の映画は多けれど、オリジナルの劇場映画が減っている。
そんな状況を打破すべく、アイデアを募りますというのがこれらしい。
原稿用紙1枚でもOKというのがいいですね。

本作は2010年のテーマ部門賞の受賞作。
主役は『告白』(2010)にも出演していた刈谷友衣子ですが、記憶になし。
脇役陣が個性豊かで、古舘寛治や内田春菊、松金よね子のほか、
『乱暴と待機』(2010)が強烈だった美波など。

バスケ部に所属する女子中学生のこずえは、
ある日の帰り道、電線に引っかかった赤い風船を発見。
紐には小さな袋が括りつけられているようで気になる。
友人たちと電信柱にのぼろうとしたところ、
やはりバスケ部の同級生男子、菊池が通りかかる。

「取ってよ」と無理強いされた菊池は仕方なく電信柱によじのぼる。
ところが菊池は足を滑らせてこずえの上に転落。
下敷きになったこずえの左腕にひびが入ってしまう。
初めてスタメン出場できるはずだった週末の試合を見送ることになり、
家では優等生の姉に馬鹿にされておもしろくないこずえ。

いじけたまま登校した日、授業中にふと外を見るとあの風船が。
教室を飛び出したこずえと友人たちは河原で風船に追いつき、
袋の中を確かめると1枚のSDカードが入っていた。

再生してみると、そこには新郎新婦の姿が映っている。
ふたりは「風船を拾ってくれた人を私たちの挙式に招待したい」と。
こんなつまらないもののために骨折したのかと腹立たしくなるが、
「謝礼として3,000円の商品券を進呈します」とあるのを見て、
4人で出席すれば12,000円、ほしかったピンクのバッシュが手に入ると考える。

しかし、友人たちはどうして試合を休んでまで
見知らぬ人の結婚式に出席しなければいけないのかと言う。
しかも、謝礼はすべてこずえのバッシュ代に回すなんて。
つれない友人たちに、こずえは「もういい!一人で行く」。
そう言いながらも一人では行けず、菊池を誘うのだが……。

風船を持っていたせいで、怪しい取引相手と間違えられ、
その後はオッサン2人組に追いかけられるはめになります。
助けてくれたのは警官のコスプレが趣味の妙な男。
また、前夜に2人組が拉致した男が偶然にも新郎で、
結婚式に姿を見せない新郎の代わりに、
そのコスプレ男が新郎には自分がなると言い出して、もうワヤクチャ。

巻き込まれ型のはちゃめちゃ劇ですが、なにしろこずえが可愛くない。
いや、こずえの容姿はめちゃ可愛いのですが、ものすごくワガママ。
自分勝手にふるまう彼女に菊池が振り回されて気の毒なことこの上なし。
だけど、憎まれ口を叩き合いながらもいいコンビ。
したたかでなかなか頼りがいのあるこずえなのでした。

“シネマプロットコンペティション”は残念ながら現在休止中。
こういう企画で盛り上がるようになればいいですね。

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みんぱく映画会にて『ギターマダガスカル』上映のお知らせ

2013年05月21日 | 映画(か行)
5月25日(土)の午後、国立民族学博物館にて映画会がおこなわれます。
ちょこっとお知らせをば。

定期的におこなわれているみんぱく映画会は、
無料ということもあってか、毎回大盛況。
これまではすでに劇場公開されている作品がほとんどでしたが、
今回は劇場公開前の作品『ギターマダガスカル』です。
作品詳細はこちらをご覧くださいませ。↓
http://guitarmadagascar.com/story/

今週末の映画会についてはこちらを。↓
http://www.minpaku.ac.jp/museum/event/fs/movies130525

今週末にかぎらず、みんぱく映画会ではこんな作品を上映しています。↓
http://www.minpaku.ac.jp/museum/event/fs

特別展『マダガスカル 霧の森のくらし』は6月11日(火)まで開催中です。
機会がございましたらぜひどうぞ!

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『渋谷』

2013年05月20日 | 映画(さ行)
『渋谷』
監督:西谷真一
出演:綾野剛,佐津川愛美,松田美由紀,ARATA,石田えり他

2009年の作品で、公開は2010年のレンタル新作。
綾野剛が売れっ子になったからDVD化したのかどうかわかりませんが、
顔ぶれはかなり豪華です。
ちらりと顔を見せるのは、改名前のARATA大島優子斎藤工などなど。

原作は、作家であり写真家である藤原新也の同名ノンフィクション。
ノンフィクションのフィクション化という面白さに惹かれて観ました。

駆け出しのフリーカメラマンである水澤一成(綾野剛)は、
渋谷の少女たちを写真に撮っては記事を書くのが目下の仕事。
女編集長の栗山(石田えり)からは駄目だしを喰らいつづけて四苦八苦。

ある日、渋谷の街角で、母親とおぼしき女性(松田美由紀)に向かって
「死んでもいいじゃん!」と叫んで走り去る少女(佐津川愛美)を目撃。
事情を聞こうと追ったところ、彼女はファッションヘルスへ。
受付の男性(ARATA)に促され、ユリカという女性を指名したところ、
それがさっきの少女だった。

さっき見かけたときは厚く化粧をしていたのに、
ファッションヘルスでの彼女はすっぴん状態。
そのことも不思議に思い、追ってきたことを打ち明けて話を聞こうとするが、
彼女は少しも話そうとせず、水澤は退店せざるをえなくなる。
栗田に報告すると、狙いはいいが中途半端、引き続き取材しろと言われる。

帰宅して、写真モデルに応募してきた少女たちの履歴書に目を通すと、
写真欄に顔の絵を貼り付けただけの一通が。
どの欄も空白だったが、隅っこに「わたしをさがして」。
欄外に記されていた携帯番号に掛けてみるが、途中で切られてしまう。

ユリカへの取材に再挑戦する一方、
謎の履歴書の少女のことも気になり、コンタクトを試みる水澤だったが……。

全体的にちょっと薄っぺらい印象は否めませんが、
これがもとはノンフィクションなんだと思うと興味深いものがあります。
ポン引きの兄ちゃん役に斎藤工がやたらハマっていたのには笑いました。

ふだんは「渋谷」と聞いてもピンと来ないのですが、
去年、渋谷に行ったばかりだったため、知っている風景が嬉しくてニタニタ。
ヒューマントラストシネマ渋谷へ行くために、駅前の交番で道を尋ねた思い出も。
そのとき、私は「北ってこっちの方向で合ってます?」とお巡りさんに尋ねたのですが、
「北ぁ?北って、どこへ行きたいの?」と言われて面くらいました。
そうか、ここの人たちって、東西南北を考えて歩いているわけじゃないんだって。
本作を観て、そら北も南もなかろうとなんだか納得したのでした。

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『探偵はBARにいる2 ススキノ大交差点』

2013年05月18日 | 映画(た行)
『探偵はBARにいる2 ススキノ大交差点』
監督:橋本一
出演:大泉洋,松田龍平,尾野真千子,ゴリ,渡部篤郎,田口トモロヲ,
   篠井英介,波岡一喜,近藤公園,筒井真理子,松重豊他

めちゃ楽しかった『探偵はBARにいる』(2011)。
その続編ということで、前売り券を購入済み。
オマケのコースターとマドラーは大事に引き出しにしまいました。
きっと使うことはないでしょうねぇ。

札幌の大歓楽街ススキノ。
探偵の“俺”(大泉洋)がよく顔を出すショーパブの従業員、オカマのマサコちゃん(ゴリ)は、
マジックの達人でみんなの人気者。
その素人離れした腕前に、マジックコンテストへの出演を勧められる。

TV放映されると迷惑をかける人もいるからと躊躇うマサコちゃん。
しかし最終的には覚悟を決めて出演することに。
そして、みんなの予想どおり、みごと優勝する。

ところがその2日後、マサコちゃんが殺される。
犯人はすぐに捕まると思いきや、数カ月経っても捜査に進展なし。

このころ、マサコちゃんの死を悼みつつも、ある女に溺れていた探偵は、
女からこっぴどく振られてやっといつもの自分に戻る。
マサコちゃん殺しの犯人を挙げようとショーパブに協力を求めるが、
ママのフローラ(篠井英介)をはじめとして、なぜかみんな冷たい顔。

どうやらこの事件にはカリスマ政治家の橡脇(渡部篤郎)が関わっている様子。
首を突っ込まないほうがいいと、あちこちから忠告を受ける。

そんな折り、マサコちゃんが大ファンだったという美人ヴァイオリニスト、
河島弓子(尾野真千子)が探偵を訪ねてくる。
探偵は弓子の依頼としてマサコちゃん殺しを調べることに。
こうして相棒の高田(松田龍平)とともに真相究明に乗り出すのだが……。

監督は前作と同じ、それに『相棒シリーズ X DAY』の人でもあるそうで。
非常に楽しかった前作ですが、この続編は無理やりつくった感があり、
テンポいまいち、なんだかもっちゃりしています。
探偵が女に溺れる場面なんて、もろサービスショットで不要。
また、犯人が明らかになる場面は相当に不愉快です。

そんなわけでテンションはあまり上がりませんでしたが、
前作を観ていれば個性溢れる面々がそれなりに楽しませてくれます。
大泉洋と並んで主役級の松田龍平はもちろんのこと、
松重豊波岡一喜はどんな作品でも楽しませてくれる名脇役。
田口トモロヲは前作に比べて控えめながら、相変わらず可笑しい安藤玉恵
また、奈良出身の尾野真千子の関西弁には凄みじゅうぶんで、
なのにたまに崩れるのはなぜ?と思っていたら、ちゃんと納得のいく筋書きでした。

前作でも昭和を感じさせる歌が流れていましたが、
今回はムーンライダーズの1977年の『スカンピン』をエンディング曲に使用。
ちょっとイイ感じです。

野球ネタは交流戦開催中のいま、タイムリー。
さらなる続編は要りませんが、この探偵と高田のコンビはまた見てみたいような。

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『クエスチョン』

2013年05月16日 | 映画(か行)
『クエスチョン』(原題:Panic Botton)
監督:クリス・クロウ
出演:スカーレット・アリス・ジョンソン,ジャック・ゴードン,マイケル・ジブソン,エレン・リース他

2011年のイギリス作品。
日本では劇場未公開、GW中にDVDレンタル開始となったところです。
当たりのはずがないとは思いましたが、好きなジャンルですもの。
シチュエーションスリラーって、『ATM』同様、ハズレでも笑えるでしょ。

原題は“Panic Botton”。
DVDのジャケットによれば、キャッチコピーは「高度12,000m 史上最狂のクイズ・ショウへようこそ」。
インパクトとしては『ATM』のそれより小さくて、この時点ですでに多大なるハズレ感。
冒頭、「SNSにまつわる実話に基づいている」とテロップが出ますが、
観終わってみれば、どの辺りが実話なわけで?
ないない、絶対な~い!

世界中に会員を有するSNS(=Social Networking Service)、“オールトゥギャザー”。
その懸賞に応募したシングルマザーのジョーは、ニューヨーク旅行に当選。
幼い娘のソフィーを母親に預け、空港へと向かう。

あらすじの途中ですが、ここでまず笑ってしまいます。
「20分ルール」も何のその、開始からわずか1分30秒、
ジョーが出発したあとの家では、母親が何者かに射殺されます。

さて、空港で出会ったのは、同じニューヨーク旅行の当選者3人。
わりとイケメン、穏やかそうなマックス。
何かとエロ話を振りたがる、オッサンくさいデイヴ。
可愛く清楚な雰囲気のお嬢様、グウェン。
それぞれのプロフィールを見てだいたいのことは知っているつもりだが、
中にはマックスのようにプロフィールを非公開にしている場合も。
互いに軽く自己紹介して搭乗口へと向かう。

待機するプライベートジェットを見て4人は興奮。
いかつい風貌の女性係員に荷物を預けるさい、
機内では使用禁止だからと携帯を取り上げられる。
ソフィーに電話する約束だったジョーは納得できないが、
携帯を渡さなければ旅行に参加できないと言われれば致し方なし。

機内には乗務員もおらず、パイロットの挨拶もない。
4人だけということに疑念がよぎるが、シャンパンを開ければどうでもよくなる。

離陸後、モニターに映ったワニくんが、ゲームを開始すると言う。
各々に出題される質問に答えるだけだというのだが……。

さて、これも『ATM』同様、ネタバレ全開で。

質問というのが非常にプライベートなもので、人に知られたくないものばかり。
答えたくないから嘘をつく。ところがすべてワニくんにはバレていて不正解。
よって罰ゲームをしなくちゃいけなくなるというわけなのですが、
ものすごく恐ろしい罰なんです。
身内の誰かが拘束される画像が映し出され、目の前で殺されるっちゅう。

仕掛け人の狙いは“オールトゥギャザー”を潰すこと。
娘が自殺を示唆したさいに、“オールトゥギャザー”の会員たちが誰も止めなかったから。
ある者は笑い、ある者は黙って見ていただけ。それがジョーたち。
正解を出そうとも課題をクリアしようともジョーたちが許されることはなく、
どのみちプライベートジェットはオスロにある“オールトゥギャザー”本部に突っ込む運命。
終盤やっと姿を見せるパイロットも家族を拉致されていて、
オスロに向かわなければ家族を殺すと脅されています。

しかし、家族たちは実はすでに殺されていて、
プライベートジェットの荷物室には死体の山が。
そうとは気づかなかった4人は、なんとか家族だけは救おうと、
課題である殺し合いをするのですけれど。
誰も生き残らないのが凄いですねぇ。

ジョーの娘ソフィーは、仕掛け人のもとへ。
自殺した娘ルーシーの代わりに育てられるのでした。
そして仕掛け人の一人は空港のいかついおばちゃんというオチ。
犯人も動機も明らかな点では『ATM』よりはスッキリか。

おぞましい話でしょ?
なのにハラハラドキドキ感、まったく無し。この緊張感のなさは何故?
いや、マジで実話だったら怖いですけれども、ないっ!

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