『小さいおうち』
監督:山田洋次
出演:松たか子,黒木華,片岡孝太郎,吉岡秀隆,妻夫木聡,倍賞千恵子,橋爪功,
吉行和子,室井滋,中嶋朋子,小林稔侍,夏川結衣,木村文乃,米倉斉加年他
今週末封切りの作品。
タイから帰国した翌日、109シネマズ箕面にて試写会。
この日はダンナが仕事帰りに京都へ行くと言うので、ならばと私は試写会に。
試写会は、会場によってはゲンナリしてしまうことが多々ありますが、
劇場での試写会は気持ちもゆったり。
109シネマズ箕面は家からいちばん近い劇場にもかかわらず、
これまで試写会に応募したことはありませんでした。
当日の9:30から当選状を座席指定券と引き替えとのこと、
終業後に向かっても席があるのか不安でしたが、全然大丈夫。
原作は中島京子の直木賞受賞作。
“男はつらいよ”シリーズや『東京家族』(2012)の名匠・山田洋次監督、御年82歳。
なんと監督作82本目となる本作が、初の恋愛ものだそうです。
布宮タキ(倍賞千恵子)が亡くなる。
生涯独身で、親類の荒井康子(夏川結衣)が同居話を持ちかけても頑として聞かず、
ずっと一人暮らしをしていたタキ。
電話に出ないタキを心配した康子の弟・健史(妻夫木聡)がタキ宅を訪ねたところ、
力を込めてうずくまるような姿勢で亡くなっていたという。
荒井軍治(小林稔侍)ら親類一同で遺品整理をしていると、
健史に渡すようにと記されたノートが出てくる。
それはタキがいつからか書き留めはじめた自叙伝だった。
執筆中、たびたび健史がタキからノートを奪い取って読んでいた。
その時分を懐かしく思いながら、健史はページをめくるのだが……。
こうして、タキが亡くなってからの平成時代と、タキが健在だった平成時代と、
タキのノートに綴られた昭和時代、3つの時代の話が紡がれます。
山形で生まれたタキは、戦争が泥沼化する昭和初期、
東京のモダンな赤い三角屋根に暮らす平井一家へ女中奉公にやってきます。
この時代のタキ役には黒木華。
自叙伝中に「別嬪ではなかったから」という一文があるように、
確かに彼女の容貌は田舎くさいとも言えますが、
純朴で真面目な様子がとても可愛らしく、これ以上にないハマリ役。
平井家の美しい女主人・時子(松たか子)は、
夫・雅樹(片岡孝太郎)が連れてきた新入社員の板倉正治(吉岡秀隆)にゾッコン。
やがて禁断の恋に走ってしまう時子を間近で見つめ、
どうすればいいのか悩み苦しむタキの演技が素晴らしい。
けれども如何せん、松たか子と吉岡秀隆ではエロさに大きく欠け、秘めた情愛が上品すぎ。
松たか子が脱ぐわけもなく、ひたすら地味な印象でヒットは望みにくそう。
それでも、帯紐の向きだけで不倫を表現する演出には唸らされます。
純朴さや品がなくなったら、山田洋次監督ではなくなる気もしますし。
この監督の作品がいつもそうであることと言えば、日本語のこと。
ノートを読む形で入る倍賞千恵子のナレーションは、とにかく日本語が美しい。
平井家はどうなったのか。正治はその後どうしたのか。
タキが誠心誠意を尽くして看病した平井家の幼い息子・恭一は生きているのか。
そんな謎に満ちた部分が明かされるシーンは涙が止まらず。
墓場まで秘密を持って行ったタキ。
その心情を考えると、戦争さえなければと思わずにはいられません。
子どもの頃いちばん好きだった絵本『ちいさいおうち』、もう一度読みたくなりました。
監督:山田洋次
出演:松たか子,黒木華,片岡孝太郎,吉岡秀隆,妻夫木聡,倍賞千恵子,橋爪功,
吉行和子,室井滋,中嶋朋子,小林稔侍,夏川結衣,木村文乃,米倉斉加年他
今週末封切りの作品。
タイから帰国した翌日、109シネマズ箕面にて試写会。
この日はダンナが仕事帰りに京都へ行くと言うので、ならばと私は試写会に。
試写会は、会場によってはゲンナリしてしまうことが多々ありますが、
劇場での試写会は気持ちもゆったり。
109シネマズ箕面は家からいちばん近い劇場にもかかわらず、
これまで試写会に応募したことはありませんでした。
当日の9:30から当選状を座席指定券と引き替えとのこと、
終業後に向かっても席があるのか不安でしたが、全然大丈夫。
原作は中島京子の直木賞受賞作。
“男はつらいよ”シリーズや『東京家族』(2012)の名匠・山田洋次監督、御年82歳。
なんと監督作82本目となる本作が、初の恋愛ものだそうです。
布宮タキ(倍賞千恵子)が亡くなる。
生涯独身で、親類の荒井康子(夏川結衣)が同居話を持ちかけても頑として聞かず、
ずっと一人暮らしをしていたタキ。
電話に出ないタキを心配した康子の弟・健史(妻夫木聡)がタキ宅を訪ねたところ、
力を込めてうずくまるような姿勢で亡くなっていたという。
荒井軍治(小林稔侍)ら親類一同で遺品整理をしていると、
健史に渡すようにと記されたノートが出てくる。
それはタキがいつからか書き留めはじめた自叙伝だった。
執筆中、たびたび健史がタキからノートを奪い取って読んでいた。
その時分を懐かしく思いながら、健史はページをめくるのだが……。
こうして、タキが亡くなってからの平成時代と、タキが健在だった平成時代と、
タキのノートに綴られた昭和時代、3つの時代の話が紡がれます。
山形で生まれたタキは、戦争が泥沼化する昭和初期、
東京のモダンな赤い三角屋根に暮らす平井一家へ女中奉公にやってきます。
この時代のタキ役には黒木華。
自叙伝中に「別嬪ではなかったから」という一文があるように、
確かに彼女の容貌は田舎くさいとも言えますが、
純朴で真面目な様子がとても可愛らしく、これ以上にないハマリ役。
平井家の美しい女主人・時子(松たか子)は、
夫・雅樹(片岡孝太郎)が連れてきた新入社員の板倉正治(吉岡秀隆)にゾッコン。
やがて禁断の恋に走ってしまう時子を間近で見つめ、
どうすればいいのか悩み苦しむタキの演技が素晴らしい。
けれども如何せん、松たか子と吉岡秀隆ではエロさに大きく欠け、秘めた情愛が上品すぎ。
松たか子が脱ぐわけもなく、ひたすら地味な印象でヒットは望みにくそう。
それでも、帯紐の向きだけで不倫を表現する演出には唸らされます。
純朴さや品がなくなったら、山田洋次監督ではなくなる気もしますし。
この監督の作品がいつもそうであることと言えば、日本語のこと。
ノートを読む形で入る倍賞千恵子のナレーションは、とにかく日本語が美しい。
平井家はどうなったのか。正治はその後どうしたのか。
タキが誠心誠意を尽くして看病した平井家の幼い息子・恭一は生きているのか。
そんな謎に満ちた部分が明かされるシーンは涙が止まらず。
墓場まで秘密を持って行ったタキ。
その心情を考えると、戦争さえなければと思わずにはいられません。
子どもの頃いちばん好きだった絵本『ちいさいおうち』、もう一度読みたくなりました。