夜な夜なシネマ

映画と本と音楽と、猫が好き。駄作にも愛を。

『こんぷれっくす×コンプレックス』

2020年04月25日 | 映画(か行)
『こんぷれっくす×コンプレックス』
監督:ふくだみゆき
声の出演:林奏絵,上妻成吾,春名風花,山口遥,広江美奈他
 
劇場で観た作品については、昨日UPした『春を告げる町』で打ち止めです。
営業している劇場があるかぎり通うつもりでしたが、もうどこも開いてない。
私の行動範囲内の劇場がすべて休業という事実に
こんなにも自分が凹むとは想像もしていませんでした。
一日も早くコロナが収束してまた劇場にかよえる日を夢見ながら、
あまり利用したことのないAmazonプライムビデオで物色。
 
Amazonがいろいろと映画を薦めてくれるけれど、観たやつばっかりなんです。
そらそうだ、シネコンでは観るものがなくなるぐらい観ていたんだから。
そう思うと今の状況が余計に悲しくなっちゃって。
 
新作や最新作の映画の中には未見の作品がほとんどなし。
ならば旧作で観そこねていたものを探しましょう。
あまり前向きな気持ちになれないゆえ、まずは2017年のサクッと24分の作品を。
 
観はじめて気づく、これ、観たことあるでぇ。
そやわ、TSUTAYA DISCASで定額レンタル枚数を消化するために観たやつやわ。(^^;
2度目でしたが、わりと面白かったのでご紹介。
 
編集とプロデューサーを務めるのは『カメラを止めるな!』(2018)の上田慎一郎
そやそや、それでレンタルしたんやったわ〜。
 
中学2年生の小谷ゆいは、男子の脇毛が気になって仕方がない。
水泳の時間、まだ脇毛の生えていない男子が多いなか、
同級生の武尾マサトの隆々とした脇毛に目が釘付け。
 
ある日、前髪を切りすぎたゆいに武尾くんが「マチルダみたい」と声をかける。
マチルダ!?マチルダって何!?
ネットで検索したゆいは、ある映画に出てくるヒロインの名前だと知る。
さっそく父親を誘ってその映画を観るゆい。
 
これをきっかけにゆいと武尾くんは言葉を交わすようになるのだが……。
 
マチルダが出てくるのは何の映画かというと、
そこそこ映画好きの人ならすぐにわかるはず、『レオン』(1994)です。
あのとき13歳かそこらだったナタリー・ポートマンもアラフォー。
お母さん役を演じる女優となりました。
 
武尾くんは『レオン』のことも知っていたけれど、本来はカンフー好き。
彼と話したい一心でカンフー映画のビデオを借りるゆいは、
カンフー自体に興味は持てず、とにかく俳優の脇毛をチェック。
ブルース・リー何点、お父さん何点、先生何点などと脇毛に点をつけて
メモ帳に書いているところが可笑しい。当然、武尾くんの脇毛ダントツ(笑)。
 
武尾くんが脇毛を剃ってきたときの衝撃と言ったら。
それをきっかけにゆいは脇毛に対する思いを打ち明けますが、
ふたりで号泣するシーンは笑って感動(とまでは行かないか(^^;)。
 
ちょっと楽しい24分間。
プライム会員なら無料で観られますから、気が向いたらどうぞ。

  • X
  • Facebookでシェアする
  • はてなブックマークに追加する
  • LINEでシェアする

『春を告げる町』

2020年04月24日 | 映画(は行)
『春を告げる町』
監督:島田隆一
 
大阪と兵庫に緊急事態宣言が発令されるなか、
京都シネマで4本ハシゴの4本目。
次週には京都の劇場も自粛となったので、
本作を最後に劇場に行くことは叶っておりません。
だから、今のところ最後の劇場映画鑑賞。
 
東日本大震災で町民の避難を余儀なくされた福島県双葉郡広野町。
本格的に帰還した人びとの日々を記録したドキュメンタリー作品です。
 
2020年の東京オリンピックは「復興五輪」を掲げられ、
この広野町が聖火リレーの出発地点に選ばれました。
復興復興というけれど、そもそも復興って何なの?
そんな疑問を私たちにもぶつけています。
 
震災の日にこの世に生を受けた赤ちゃん。
町おこしには賛成派もいれば反対派もいる。
被災体験をモチーフにした演劇を手がける高校生たち。
 
コロナ騒動が起きなければ、聖火リレーも続いていたはずなのにと複雑な気持ち。
復興について改めてじっくり考えられる日が来ますようにと、
今は念じるしかありません。

  • X
  • Facebookでシェアする
  • はてなブックマークに追加する
  • LINEでシェアする

『最高の花婿』、2回目。

2020年04月23日 | 映画(さ行)
大阪と兵庫に緊急宣言事態宣言が発令され、劇場は軒並み休業中。
営業している京都シネマまで出かけて『もみの家』『淪落の人』を鑑賞したけれど、
ほかに上映中の作品で未見のものは、その後2時間15分空けなければ無し。
普段であれば、ココン烏丸の1階にある“オーバカナル”で1杯飲みながら
読書してその2時間15分を潰すところですが、オーバカナルも休業中。
 
う〜ん、どうしようと迷っていたら、
500円で観られる名画リレーという催しで上映中の作品が目に飛び込む。
おっ、これは4年前にシネ・リーブル梅田で観て、めっちゃ笑ったやつ。
『最高の花婿』をもう一度観ることにしました。
 
フランスのシノンに豪邸を構える夫婦には娘が4人。
長女、次女、三女がそれぞれにフランス人ではない男性と結婚し、
四女だけはフランス人と結婚してくれるものだと信じていたら、
なんと今度はアフリカ系黒人を連れてきた、というお話でした。
もうほんとに楽しくて大笑い、ちょっぴりじんわり、
ハートウォーミングとはこういう作品のことだなと思ったものでした。
 
本当はこの続編である『最高の花婿 アンコール』が先月末から公開の予定でしたが、
コロナ騒動のせいで公開延期に。
で、こうして名画リレーでかかっているというわけですね。
 
2回目もやっぱりすごく楽しい作品でした。
こんな映画を観ている間は、世間の暗い話を忘れられる。
劇場を出てから、がら空きの街並みを見て、客の少ない電車に乗ると、
一気に現実に引き戻されます。そのときの喪失感の大きさといったら。
 
劇場もどこも大変。
今さらですが、この日は京都シネマの会員になりました。
これまでは第七藝術劇場などの劇場間相互割引価格で観ていたのですけどね。
劇場もがんばれ!

  • X
  • Facebookでシェアする
  • はてなブックマークに追加する
  • LINEでシェアする

『淪落の人』

2020年04月22日 | 映画(ら行)
『淪落の人』(原題:淪落人)
監督:オリヴァー・チャン
出演:アンソニー・ウォン,クリセル・コンサンジ,サム・リー,セシリア・イップ,ヒミー・ウォン他
 
京都シネマで4本ハシゴの2本目。
大阪の劇場が休業中でなければ、きっとシネ・リーブル梅田で観ていたでしょう。
 
予告編を観たとき、『最強のふたり』(2011)の二番煎じを想像していました。
だって、身体に麻痺があって車椅子に乗る主人公が家政婦を雇うって、
男か女かの違いを除けば、まんまおんなじ気がしましたから。
そう思いつつもいい話だろうと思って観に行ったら、やっぱりいい話。
むしろ本作のほうがより共感できます。おなじアジアということなのかなぁ。
 
不運な事故に遭って半身不随となった男リョン・チョンウィン。
妻は息子を連れてリョンのもとを去り、再婚。
リョンはわずかな賠償金を頼りにつましい一人暮らし。
車椅子生活ではいろいろと不便があり、身の回りの世話をしてくれる人が必要で、
フィリピンから出稼ぎに来た家政婦エヴリンを雇う。
 
エヴリンは英語はできるが広東語はできない。
リョンは英語ができないから、意思の疎通を図るのも大変
しかし、看護師だったエヴリンは下の世話なども嫌がらない。
ほかに家政婦を探すのも面倒になり、エヴリンを雇い続けることにするのだが……。
 
『最強のふたり』の雇い人と雇われ人が同じ国の人間だったのに対し、
本作は香港とフィリピンというまるで違う国の人間。
エヴリンには夫がいて、その夫と別れるべく香港へやってきました。
フィリピンの婚姻事情については私は全然知りませんが、
離婚するのはたいそう難しいらしく、エヴリンも苦労しています。
 
フィリピンから香港へ出稼ぎに来ている女性たちはSNSを通じて繋がり、
情報を共有し合って、たまにストレスを発散すべく女子会なんかも。
道端に段ボールで囲ったスペースを作り、
そこでお菓子を食べながら話している姿は衝撃的でした。
家政婦として務めるときはバカのふりをしたほうがいいというアドバイスも受けます。
 
写真家になりたくて、大学にも合格していたのに、
夢を諦めざるをえなかったエヴリン。
その夢の実現になんとか協力したくてこっそり行動を開始するリョン。
彼が事故に遭った当時の同僚ファイ役をサム・リーが演じていて、非常によかった。
ファイが何故にこれほどまでリョンに手を貸すのかをエヴリンに問われたとき、
自分はよそからやってきて、広東語も下手で、
だけどリョンだけは優しかったと答えます。
国の事情を垣間見ることができて、いろいろと心に刺さりました。終盤は涙の嵐。
 
英訳タイトルは“Still Human”。
そう、どうなろうが、人は人。
車椅子に乗らなければ動けなくても、心持ちは運べる。
 
今のご時世でも、心持ちだけは運びたい、届けたいですね。

  • X
  • Facebookでシェアする
  • はてなブックマークに追加する
  • LINEでシェアする

『もみの家』

2020年04月21日 | 映画(ま行)
『もみの家』
監督:坂本欣弘
出演:南沙良,渡辺真起子,二階堂智,菅原大吉,佐々木すみ江,島丈明,
   上原一翔,二見悠,金澤美穂,中田青渚,中村蒼,田中美里,緒形直人他
 
この週、大阪と兵庫に緊急事態宣言が発令され、
大阪の劇場は全部、兵庫の劇場は数軒を残してほぼ全部、休業することになりました。
私の行動範囲内の劇場すべてが休業するなら映画に行くのはあきらめるけど、
京都まで行けば営業しているところがいっぱいある。
いくつかの選択肢の中から、いちばん行きやすい京都シネマへ。
 
大阪で普通に観られる状況であれば、パスしていたであろう作品です。
こういう言い方はいけないのでしょうが、予告編を観るかぎり、
ちょっと偽善を感じるうえに説教臭そう。説教臭いのは苦手ですから。
それと、『志乃ちゃんは自分の名前が言えない』(2017)が苦手だったので、
同じ女優が主演する作品にはあまり気乗りしなくて。
でもまぁ観てよかった。なんだかんだで泣いちゃったシーンも。
 
東京に暮らす16歳の高校生・本田彩花(南沙良)は不登校になって半年。
心配する両親(二階堂智渡辺真起子)に連れられて、
佐藤泰利(緒形直人)とその妻・恵(田中美里)が運営する田舎の自立支援施設へ。
 
“もみの家”と呼ばれるその施設には、なんらかの事情がある人々が入所している。
農作業を軸とした共同生活を受け入れられず、
早く帰りたいと両親に電話をかけて訴える彩花だったが、
学校に行けるまでは帰ってくることを認めないと言われ……。
 
最初は終始うつむいていて、誰とも目を合わせようとしなかった彩花。
嫌々ながらもみんなとの生活を続けるうちに顔が上がってきて、
笑顔を見せるようになると、こちらも嬉しくなります。
 
思ったほどは説教臭くなくてホッ(笑)。
沙良ちゃんも志乃ちゃん役のときよりず〜っと良かった。
 
何十年前ですかね、緒形直人がトレンディドラマに出ていたのって。
こんなおじさん役で出ていることに感慨をおぼえ、
ただただ歳を取ったなぁ、緒形直人も私もと思ってしまうのでした。
 
本作が遺作となった佐々木すみ江さん
あったかくて素敵なおばあちゃん役でした。
ご冥福をお祈り申し上げます。

  • X
  • Facebookでシェアする
  • はてなブックマークに追加する
  • LINEでシェアする