wowow 2020.4.30
賭けたもの、それは恋人の貞操!男女の心の奥底を描くモーツァルトの名作をフェリム・マクダーモットがちょっと奇抜な新演出をしている。
1950年代のニューヨーク近郊リゾート地コニーアイランドに置き換えた現代風のポップな新演出である。舞台も他にコニーアイランド内のモーテル、スカイラインの客室など。
恋人の貞操を信じる青年たちに差し出された危険な賭け!純情な士官たちは老獪な哲学者に勝てるのか?変装して互いの恋人を口説くゲームの結末はいかに?男女の機微をピュアにして精巧な音楽で描き尽くすモーツァルトの名作。
ブロードウェイの大スターK・オハラのモーテルの小間使い役は、注目のキャスト。
A・マジェスキー、S・マルフィらフレッシュな顔ぶれも、若者たちの恋の冒険にぴったり。
モーテルのメイドのデスピーナはブロードウェイの大スター、ケリー・オハラが演じる。このドラマの脇役の筈が、歌唱力・演技力で主役といっても良いほどに活躍。
老哲学者の筈のドン・アルフォンソも若々しくてエネルギッシュ、大道芸人達を引き連れて「恋人の貞操を崩すための悪だくみ」をデスピーナと共に進める。
今回の演出では、この二人が物語をすすめる強力な布陣となっている。
フィオルディリージ(左)とドラペッラ(右)は、普段着で登場。
フェルランド(左)とグリエルモも革ジャンとジーンズのリラックス姿
指揮:デイヴィッド・ロバートソン
演出:フェリム・マクダーモット
出演:ケリー・オハラ・・・デスビーナ
アマンダ・マジェスキー・・・フィオルディリージ
セレーナ・マルフィ・・・ドラペッラ
ベン・ブリス・・・フェルランド
アダム・プラヘトカ・・・グリエルモ
クリストファー・モルトマン・・・ドン・アルフォンソ
上映時間:3時間38分
MET上演日:2018年3月31日言語:イタリア語
3時間38分 MET上演日:2018年3月31日
言語:イタリア語
● この演出の見せ場は、本物の大道芸人が登場すること。見せ場の一つになっている。
火吹き師の演技
軽業師
蛇使い師
剣飲み師
● 遊園地内の施設もおおいに利用されることになる。
コーヒー茶碗の回転台
観覧車
「恋人同士を交換した結婚式」が進められることになるが・・・・。
(感想)
フェリム・マクダーモットの演出は、コニーアイランドの施設や人物を思いきって利用したストーリーを展開している。
まさに、アメリカ人が親しみを感じやすい舞台を作り上げたと言えよう。
「初心者に分かりやすいというオペラ」との解説もあったが、その通りかも知れない。METのカーテンコールでの観客の喚声も高かったように思えた。
「コジ・ファン・トゥッテ」は、アリア、二重唱、各種重唱と名曲に事欠かない。ケリーオハラを始めとする”6人の主役”は生き生きと演技し熱唱していた。
さすがMET だけあって若手とは言え、それぞれの実力は十分であったといえる。
その中で、特にドラペッラ役のセレーナ・マルフィ(Ms)は豊かな才能を感じさせてくれた。
ただ、モーツァルトの作曲した当時の18世紀末、貴族社会の優雅さを求めることが出来無い、のは見る人によっては寂しさを感じてしまうのではないか。
「コジ・ファン・トウッテ」(1)は
めいすいの写真日記 モーツァルト作曲 MET「コジ・ファン・トウッテ」(1)
を参照してください。