NHKプレミアム・シアター 2022/4/21
映画は冒頭にヒッチコック監督本人が登場し
「私は、アルフレッド・ヒッチコック。今まで多くのサスペンス映画をお送りしてきた。
だが、今回は少し違う。異は事実にあり。これは、実際に会った物語である。
私が今までに作ったどの恐怖映画より-- 奇なる事実があるのだ」と解説する。
ヒッチコック監督作品には後にも先にも無いことだ。
【監督】アルフレッド・ヒッチコック
【原案・脚本】マックスウェル・アンダーソン
【脚本】アンガス・マクファィル
【撮影】ロバート・パークス
【音楽】バーナード・ハーマン
【出演】マニー(本人):ヘンリー・フォンダ
ローズ(妻):ベラ・マイルズ
フランク・オコナー(弁護士):アンソニー・クエイル
製作国 アメリカ
製作年 1956
原題:THE WRONG MAN
【あらすじ】
ミュージシャンのマニーは,ある日突然、強盗犯として警察に連行される。
全く身に覚えのないマニーだったが、状況は不利になるばかり。
さらに妻のローズは、恐怖と絶望によって次 第に精神を病んでしまう。
犯罪者に間違えられた男の悲劇をリアルに描いている。
ニューヨークのクラブで働くミュージシャンののマーニーは、貧しいながらも平穏な毎日を送っていた。
家に帰ると愛妻ローズは治療費が嵩んでしまったと心配している。
マーニーは妻のための歯の治療費を借りようとローズの保険証書を持って保険会社のオフィスを訪れる。
しかし、そのオフィスに2度も強盗に入った男にマーニーがそっくりだったため、警察に連行されてしまう。
目撃者たちによる目視確認が行われる。
さらに、犯人の残したメモと似た筆跡が行われる。これらは容疑者として認めざるを得ないことになる。
マーニーは強盗容疑で留置所送りになる。
義弟の尽力によって巨額の保釈金が払われ、マーニーは自宅に戻る。
紹介された弁護士 オコナーによって事件当日のアリバイを証明してくれる証人を探すがすでに亡くなっていたりして確実な証人を探せない。
マンハッタンなどのロケ地を廻り、2人の夫婦はなんとか証人を探そうとするが果たせない。
ローズ「何をしようと、不利に運ぶだけよ。いくら無実でも、彼らはあなたを犯人だと。
全て彼らの手中にあって逃げられない。」妻ローズは、精神を病み 入院することになった。
裁判所ではマーニーが犯人だとする証言が相次ぐ。
ついには弁護士オコナーは陪審員に問題があるとして裁判を一からやり直すと言い出す始末。判事もそれを認める。
【感想】本当に、自分が強盗犯として間違えられ。不利な状況下で罪が確定されていってしまうという事態が
起きるのを考えると、本当に恐ろしい。
「冤罪(えんざい)」は古くて新しい問題であるが、この映画が作られた当時は科学捜査も進んでおらず、
悲劇は他でも起こったと考えられる。
やはり、科学捜査を始めとする地道で精査な捜査を積み上げていくことが肝要ではないか。 DNA鑑定は現在大きな
武器となっているが、当初は僅かとはいえ、誤りもあったと聞く。
AIを活用する方法も行われ始めたようだが、真理を追究する捜査をますます進めて欲しい。
最後の最後で映画はほっとする解決を迎える。
それは、マーニーとそっくりな真犯人が同様な強盗事件を起こし、店長に
取り押さえられ、これまでマーニーが犯人だと言っていた多くの目撃者がこの男が真犯人だ認め、解決する。
マーニーは喜び入院中のローズに報告するが病は癒えず、退院したのは2年後だったという。
その後一家はフロリダで幸せに暮らしていることが紹介される。
(了)