マネジャーの休日余暇(ブログ版)

奈良の伝統行事や民俗、風習を採訪し紹介してます。
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小夫の田植えハナカズラ

2010年06月24日 08時40分10秒 | 桜井市へ
小夫は上の郷、天神社の2月御田祭行事でたばったハナカズラ。

豊穣を祈願するおんだ祭で供えられたハナカズラをもらって帰る。

それは田植え始めをするときに田んぼに挿す。

本来は苗代を作ったときに水口に挿していたのだが、苗をJAから購入するようになって育苗をしなくなったから田植え始めに供えるようになった。

そのころは水口の両脇に2本の松苗を挿していた。

ヤッコメ(若しくはキリコやアラレ)を田に撒いた。

「ヤッコメくれな どんがめはめるぞ」といって子どもが囃したてた。

ヤッコメやキリコ(水口に供える米で作ったお菓子)は子どもがもらうもの。

松苗挿せばやってきてもらっていった。

村中の苗代を狙っていたそうだ。

今の子はまったく気にすらかけたことがないとYさんの奥さんが話す。

どんがめとは石のことで、ヤッコメ(焼きコメ)がもらわれんかったら石を投げるぞという囃子だ。

田んぼはパイロット事業で開拓整備された。

田園が広がる田んぼの端から6列に苗を植える。

2段目も同じように6列だ。

それが田植え初めの儀式で、そのときにハナカズラを畦に挿す。



五穀豊穣のハナカズラは数カ所の田んぼで見られた。

Yさんが育てる稲の品種はヒトメボレ。

奈良の特産稲だ。

3反半の田んぼには苗箱を78ケース用意した。



手植えした苗は田植え初めの儀式だけで、そのあとは肥料を積んだ田植え機がせわしく動く。

村の田植えがすべて終わると天神社で奉告祭が営まれる。

無事に田植えが終了しましたと氏神さんに報告するのである。

(H22. 5. 8 EOS40D撮影)