マネジャーの休日余暇(ブログ版)

奈良の伝統行事や民俗、風習を採訪し紹介してます。
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北野の植え初め

2010年06月25日 08時23分45秒 | 山添村へ
2月25日に北野天神社で祭礼された祈年祭。

年預(ねんにょ)さんが作られた「ミトマツリ」のオソナエは田んぼの守り神にしている。

田植え始めを「植えはじめ(初め)」といって畔にフキの葉を並べてそこに洗い米を数粒置く。

これをオセンマイと呼んでいる。

フキの葉はお皿のようだ。

最初に植えた苗の横にカヤを挿す。

苗は横一列で、それぞれカヤを挿して12本。

一年の月の数だというが閏年も同じく12本挿す。

田植えを終えたら「植えぞめ(初め)」といって祈年祭のときに配られたサカキの「ミトマツリ」のお札を畔に挿す。

昔はキナコを振ったオニギリを入れたフキダワラを置いていた。

稲苗がすくすくと育つように田んぼを守ってくださいと祈る。

ほとんどの農家が人に頼んで田植えをしている北野の里。

JAから苗を買うようになったI家では今でも植えぞめ(初め)をしている。

今年は天候不順だった。

2月は初夏の陽気かと思える日々があった。

そのままだったら稲も育ちが良く、農作業が忙しくなるだろうと思っていたIさん。

3月に入ると冷え込む日々が続いて4月もそうだった。

例年なら5月3日に田植え初めの「植え初め(うえぞめ)」をしている。

4月25日には霜が降りた。

屋根には霜柱が立った。

これでは苗が育たんようになるといって、北野では植え初めの実施日を見送っていた。

昔は4月15、16日ごろが朝からシシマイだった。

午後はモミオトシをした。

そのときがナワシロマツリと言ってミトマツリのサカキを挿していた。

JAから苗を買うようになったので植え初めのときに挿している。

6月10日過ぎはウエオワリ(植え終わり)をする。

そのころの食べ物がホガシワ。

丸ごとのソラマメと一緒に炊いたご飯をホオ(朴)の葉っぱに包む。

それを供えて田んぼで食べた。

農作業の休憩時間は「お茶せなあかん」のでホガシワ弁当を持っていって食べていた。

休憩時間は朝と昼の間のキンズイの時間。

塩味が利いた豆ご飯は田植えが終わったところで食べていた。

そのころはオツゲ(ウツギが訛った)の白い花が咲く頃。田んぼにその花も挿していた。

ウエオワリはウエシマイ(植え終い)とも呼んでいる。

その後になるが12日、13日は寒い日が続いた。

田植えの苗に影響があったのだろうか。

5月12日は北野の九十八夜。

自然のヤマツツジが満開になったら神野山に登っていた。

お弁当を持って頂上まで歩いたという。

汗が吹き出すぐらいだったという。

重箱に寿司を詰めたお弁当はツツジの根本で広げた。

家の庭ではキリシマツツジやサツキが咲いている。

5月25、26日のころはお茶摘みが始まる。

新芽を摘み取った一ヶ月後は番茶摘みになるようだ。

(H22. 5. 8 EOS40D撮影)