マネジャーの休日余暇(ブログ版)

奈良の伝統行事や民俗、風習を採訪し紹介してます。
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西佐味水野垣内のとんど

2014年06月25日 07時23分29秒 | 御所市へ
五條市の取材を終えて立ち寄った御所市西佐味の水野。

これまで山の神や弁天さんのイノコを取材した処である。

水野垣内では正月初めにシンギョもあれば、観音さんもある。

今ではたったの4軒で営む水野の行事の廻り当番がぜんぶやってきたという婦人。

とんどにはゴゼン(御膳)をおまして般若心経を唱えると話していた。

年寄り講中には寒さが堪える。寒くならないうちに行いたいと申し合わせて、この年は例年より1時間も繰り上げて始めた。

水野から見渡す東の山脈。

東吉野村・川上村・天川村辺りである。

連なる山脈は標高1700mから1900m級。

山間に積もった雪で神々しく見える。

水野の弁天さんを祀る向かい側にあるため池堤でとんどを組む講中。

「人手がなんせ少ないからたいへんですわ」と話しながら組んでいた。

当地在住の高鴨神社の宮司も講中の一人。

「支え棒を持ってきた」と云って倒れないように組む。



ゴゼンの御供はタイ一尾、コーヤドーフにブロッコリーだ。

ローソクに火を灯して一同が並んだ。



導師は宮司が勤めて、一同は大祓えの詞を唱和する。

そうして火を点けたとんど。

この年の恵方は東北東の方角やと云いながら、なぜか一言主神社のしおりを参照して「あっちや」と示した。

火を点ける人は特に決まっていないが、この年は長老が勤めた。



またたくまに・・・ではなく、なぜか広がらないとんどの火。

何本も重ねたしのべ竹を括ったのはフジツル。

これを10束ぐらいでとんど組みをされたのだが、湿っていたので広がらない。

その間には供えたお神酒をいただいて燃えるさまを見る講中たち。

もくもくと煙をあげたと思った瞬間に倒れた。



鏡のように池に映る姿を撮りたかったが、そうは上手くはいかない。

ほぼ同時間に始まった西佐味の中出垣内は「ここから下にある」と云っていたので急行したが、結局判らずであった。

隣村の大西・福西は二日前に行われた。

そこではお供えはなく、「ただ燃やすだけや」と話していた。

とんどは水野の他に国道沿いの鳥井戸や新五百家もあるらしい。

(H26. 1.14 EOS40D撮影)