マネジャーの休日余暇(ブログ版)

奈良の伝統行事や民俗、風習を採訪し紹介してます。
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北庄春日社のトウガイ

2015年09月25日 07時57分14秒 | 斑鳩町へ
一年前、簾型の注連縄が掛けられていると写真家のNさんに教えてもらった斑鳩町北庄。

その年の正月明けに所在も注連縄も現認していた。

どのような手法で作り、掛けているのか。

それを知りたくて出かけた北庄。

春日社の年中行事を祭行されている元宮座・十人衆。



最長老の一老と二老の二人が本殿前で作っていた注連縄は「トウガイ」と呼んでいた。

足・膝に傷みをもつ一老は椅子に腰かけてモチワラを二老に手渡す。

本数は適当だ。



葉付きの笹竹に一握りのワラ束を竹に沿って折り曲げてぐるっと捻って竹に添える。

次のひと束をそこに重ねて同じようにする。

それを繰り返して先っぽを尻尾のように結う。

支えていた左右の竹は門松の竹である。

不要な竹枝はノコギリを入れて伐りとる。

門松の土台に砂を盛る。

太めのメン松を土台に埋め込む。

芽吹いた梅の木や赤実がついたナンテンも挿して竹に括る。

ハボタンを添えてできあがる。



いつも二人でこうしていると云う「トウガイ」注連縄掛け。

境内を清掃して終えた。

午後には山へ出かけてウラジロを採取してくるそうだ。

ダイダイもご近所でもらってくると話していた。

春日社に安政二年(1855)に建之された狛犬がある。

社の創建はそれより古く平安期まで遡るらしい。

改築の際に発見された棟木に書いてあった年代より室町前期(1450年)と判っているようだ。

一老のMさんが書き記された『春日神社と氏子のあゆみ』によれば、明治以前までは当社に観音仏や阿弥陀仏を安置するお堂があったという。

地区の北の山麓に小字観音堂の呼び名がある地がある。

春日社はかつて小字観音堂に建っていたそうだ。

当地に仙光寺がある。

その寺には藤原初期に造立された十一面観音仏が安置してあるらしい。

廃寺になった際に遷されたのであろう。

春日社は昭和35年に改修された。

そのときに発見された棟木に「宝徳二年(1450)建之」があることから室町前期と確定されたのだ。

昨年の1月6日に訪れた春日社に「六日座 春日講」の文字を書いてあった書が貼られていた。

1月6日に行われる正月六日座のことである。

「春日講」とは一老から十老までの十人衆。

衆中の名称は「春日講」ではなく「元宮座」が正式名称であると一老・二老は話す。

(H26.12.30 EOS40D撮影)


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2 コメント

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同型の注連縄を拝見したい (田中眞人)
2016-07-13 10:07:36
こちらこそ、お礼を述べるべき、綾村大嵐さんのコメントに感動しております。
私は奈良のことしか知らないので、関東(神奈川県)に同様の形の注連縄が・・しかも、お家に飾っているとのこと。初めて知って、「民俗」の在り方は幅が広いし、奥深いと思いました。
機会あれば飾った注連縄の写真を拝見したいものです。
ありがとうございました。
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はじめまして (綾村大嵐)
2016-07-12 13:11:58
初めまして。突然のコメント失礼致します。

別のことで検索をかけていて、お写真がヒットし、神奈川県在住の我が家で作っているお飾りとよく似ていたので余りにも驚きました。

すだれ型の注連飾りですが、神奈川では「組垂」と呼んで、正月に神棚へ飾ります。
竹はもっと細いものを使用し、編み目ももっと細かく(藁1束の本数3~4本ずつ)しますが、作り方は全く一緒です。
関東地方ではかなり広範囲で同様の注連飾りが分布していると聞いていましたが、奈良県に類例があるとは知りませんでした。
非常に勉強になりました。ありがとうございました。
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