オリヴィエ・アントオゥネスのアルバムは録音時期がひっくり返った「Introducing Olivier Antunes」と次のM&Iのアルバムが続けて出て、混乱したことを記憶していますが、そのオリヴィエも中堅のような落ち着きがでてきました。
前作とだいたい路線はおなじようですが、マシュマロの凝り性のところがこちらは凝縮度が上がった感じです。
http://blog.goo.ne.jp/monakasm/d/20071212
1曲目“Nature Boy”の少ない音でのメロディーは、リズムとハーモニーが一体となることで曲が出来あがったような、イェスパー・ボディルセンがリダーでステファーノ・ボラーニがピアノの名盤「Mi ritorni in mente」の各人のソロでぐいぐい引っ張る“Nature Boy”と対を成すような名演です。
3曲目“Alice In Wonderland”は名手が軽やかなリズムを取り、オリヴィエがストレートのメロディを弾くと、澄んだ水をどんどん加えても、その中で漂う絵の具の線は少しも滲んでいかないような世界が広がります。
4曲目はよりはっきりした軽やかなリズムにメロディをのせる上手さが光ります。
5曲目、幽玄なハーモニーのなかつづられる“The Peacocks”のなんと美しいバラッドのことか、生できいたらジンとくる思います。
続く“Dear Old Stockholm”がライブだったら、これと同じく続けて演奏して欲しいと思う変化で、探るようだった静のピアノフレーズに今度は生気とリズムが少し加わってJAZZの演奏変化の楽しさです。
続く7曲目の“My Foolish Heart”は聴くものにうったえかけるようなやさしさが加わって、JAZZって、とってもやさしい心を伝えるものなのだと感じさせる演奏です。
この5曲目から7曲目に続く曲のながれがライブハウスにいるような気持ちにさせてくれます。
の後の3曲もどれをとってもなかなか良い、文句をつける気はもうとうありませんが、1曲ぐらい激しくヒットしてもとおもいますが、これはアルバムコンセプトとオリヴィエらしいところで、これで良いとおもいます。
あえて言うならば、アルバムタイトルをよくある“Alice・・・”でなく“The Peacocks”にした方がもっとこのアルバムらしく思うのだけれど。
Alice In Wonderland / Olivier Antunes
Olivier Antunes(p)
Jesper Bodilsen(b)
Morten Lund(ds)
1.Nature Boy
2.I Could Write A Book
3.Alice In Wonderland
4.I Love You
5.The Peacocks
6.Dear Old Stockholm
7.My Foolish Heart
8.When Lights Are Low
9.Stolen Moment
10.All Of You