マウンドで投球するピッチャーがジャケットのザ・グレート・ジャズ・トリオの「At The Village Vangurd」が出たときの評判は、トニー・ウイリアムスとロン・カーターのリズム隊のためか、凄い評判で余りそっち方面を聞かなかった当時にLPをかって今でも持っています。
1977年だから35年まえのこと、でもそれでは大ファンでということにはならずにいました。
ハンク・ジョーンズのピアノに聞きほれたのは実は、チャーリー・ヘイデンとのデュオ1995年「STEAL AWAY」でした。
音楽のジャンルの枠などない、黒人スピリチュアルのソング集で、今でも周期的にトレーに載るアルバムで、先日もある方に推薦したばかりです。
ハンク・ジョーンズが亡くなる3ヶ月前に、同じコンセプト、同じ組み合わせでアルバムを作ったヘイデンには良くやってくれたと感謝したい、15年を間に挟んだ二つのアルバムを聞くことができました。
前作は良く知っているゴスペル・ソング中心でそのアルバム「STEAL AWAY」は“我 導きによりて”という題で随分前に記事にしました。
今度のアルバム「Come Sundy」も“ Down By the Riverside”“ Going Home”など良くしった曲が収録されています。
人生とその常に横にある音楽への深い愛情が、ジャンルを関係なく伝わってくる演奏で、どちらもベースはかわらない、ですから曲の紹介は特に必要と思いません。
演奏者の心に触れたいと思う方にはとても良いアルバムです。
ただ2枚のアルバムがあるのでどうしても違いを探してしまう、それで亡くなったということもあるので、それから導かれるのかもしれませんが、感じた違い勝手に書きます。
まず15年たったハンクの状態は快調とは思えず、少しもたついたりしていますが、それはたいしたマイナス・ポイントではありません。
今作のほうが、明るい軽やかな感じです。前作が、黒人の歴史と出来事に対し、祈りを捧げる様に演奏されていました。
アメリカに生きた人々全体の底流に対しての捧げる歌のように受け取れました。
比較して今度のアルバムを聞いてみると、今作は自分のための弾いているような、ハンクが古里にいる自分を思っている感じを受けるのです。
演奏することをハンク自身が一番楽しんでいるようで、そこがとても嬉しく思います。
古い野辺に遊ぶ子供のような姿に戻っていって亡くなっていくのかとそんな連想があるのでしょう。
最初浮かんだ題は“野辺に帰る”でしたが、野辺という言葉には直接、埋葬所、火葬場の意味があり、送らなければいいかとも思いましたが、変えました。
2枚とも、とても素敵なアルバムですが、どちらかを推薦しろと言われたら、より普遍的な表現の前作のまず聞いて欲しいと思います。
Charlie Haden Hank Jones
Charlie Haden - bass
Hank Jones - piano
Recorded:February, 2010
1. 主よ、わが手を取り給え
Take My Hand, Precious Lord (Thomas A. Dorsey)
2. ともに喜びすごせ
God Rest Ye Merry, Gentlemen(Traditional)
3. ダウン・バイ・ザ・リヴァーサイド
Down By The Riverside (Traditional)
4. 家路
Going Home (Traditional)
5. ああうれし、我が身も
Blessed Assurance (Fanny Crosby-Van Alstyne/Phoebe P. Knapp)
6. 天なる神には
It Came Upon A Midnight Clear (Edmund H. Sears/Richard S. Willis)
7. 春の朝 夏の真昼
Bringing In The Sheaves (Knowles Shaw/George A. Minor)
8. 深い河
Deep River (Traditional)
9. オールド・タイム・レリジョン
Give Me That Old Time Religion (Traditional)
10. しずけき祈りの
Sweet Hour of Prayer (William W. Walford/William B. Bradbury)
11. 古い十字架
The Old Rugged Cross (Rev. Geo. Bennard)
12. あなたも見ていたのか
Were You There When They Crucified My Lord? (Traditional)
13. 主よみもとに近づかん
Nearer My God To Thee (Sarah Flower Adams)
14. カム・サンデイ
Come Sunday (Duke Ellington)