
がん細胞を焼きつくせ ~ がん研究者のがん闘病記 ~
佐藤 徳光 著
連休中だけれど、休み前に図書館で見つけた本を一寸勉強してみることにしました。
2009年3月出版された、佐藤 徳光という細胞学、薬理学、比較内分泌学、生化学、実験動物学など生命・医科学分野の研究者が書いた闘病記です。
闘病記も、それもがんにかんするものを結構よんでいますし、体験記なども気にしています。
ところが、特にがんに関しては、その内容が、内容自体の宣伝みたいなものが多く、選択をきちんとしなくてはとおもいながら、それをとおりこして正しい内容のものを選ぶことが億劫になるような状態でした。
図書館で見つけたこの本、筆者の学歴、研究内容、罹患の内容と状況を読むととてもまじめな、いつわりない表現を感じました。
ということで、お休みなのに、内容を少し読み込むことにしました。記述は原本の引用をしている部分がおおいのでつながりは悪いですが趣旨を読み取りください。(続もおなじです。)
1 大腸ガンの発見施術からわずか5ヶ月で肝臓転移、5ヶの(本当は6ヶ)ガンが見つかって、何もしなければ、半年から1年の余命、ステージ の厳しい状態です。
大腸ガンの手術から腸閉塞にくるしめられた(腸閉塞私も2度も経験して、もう絶対したくない)体をもう切り取りたくない。
東大病院のラジオ波焼灼療法の治療を選択。
現代医療の現実を冷静に捉え、抗ガン剤の副作用からその使用をのぞまないながら、東大の主治医の括弧たる指示に従わざるえなかったり、抗ガン剤の効果が確認したくって、一個ガンを残しておけばよかったかなどと考える研究者の思考がおもしろい。
又抗ガン剤でのガン縮小で3cmになったら外科手術をする根拠をいぶかったり、闘病記としての私部分の記述など著者の、冷静な人柄と人間性がうかがえるのである。
記述のなかで医師がガンと闘う姿勢を評価しつつ、抗ガン剤への期待のかけ過ぎと副作用に対しての反応の鈍さを指摘していることも信頼でき、民間療法にたいしての記述も冷静であり信用できた。
一般に大腸ガンはステージⅢ~Ⅳという段階の、腸管壁が侵された状態で見つかる場合が多い。
この際何もせずに放置すれば、5年生存率が7%を超えることはないという。筆者のⅢa~bはかなり激しい状況で、このような患者を緩和ケアで対応したとすると生存期間(中央値)は26.6ヶ月であると報告がある。
そしてイリノテカン(フォルフィリに含まれる1成分)を単独問投与した場合、それは33.8ヶ月になったという。
一方、ロイコボリン+5-FUを投与した場合の生存期間(中央値)が27ヶ月にたいしてロイコボリン+5-FU+イリノテカン投与群のそれは33.6ヶ月という報告もあった。
ということはデータでは緩和ケアで2年3ヶ月化学療法併用で2年10ヶ月の平均余命となるのである。
わかりやすいように年譜にまとめてみました。
年譜
2006/4/2 目まいにより検査
2006/5/9 S字結腸20cm切除 ステージⅢa~Ⅲb
2006/6/19 退院 腸閉塞を併発
2006/10/4 CTIで肝臓転移発見 2cmが1ヶ、1cmが4ヶ(後でもう1ヶ)
2006/11/14 治療法模索のすえ東大病院のラジオ波焼灼療法の可能性検査
2006/11/30 ラジオ波焼灼治療を実施
2007/1/11 抗ガン剤投与開始 2週間に1度の薬物療法 副作用激しい
2007/11/15 化学療法15回 2ヶの未治療ガン発覚
2007/12/7 2回目のラジオ波焼灼治療実施
2008/5/7 抗ガン剤の副作用激しい
2008/12/ 再発
2009/1/8 入院 2回にわたりラジオ波焼灼治療
2009/4/15 抗ガン剤治療中にて本は終了
再発がおこりラジオ波焼灼治療後の化学療法でこの本は終わっていて、かなり厳しい状況のようで、その後どうなったのかとしらべたら、2010年には「がんよ 驕るなかれ」考古堂、2011年に「がんよ さらば」考古堂と以後の記録が出版されているのが和がった。
「がんよ さらば」の方の目次をみると
1章 がんの本章
2章 正常細胞との比較
3章 発ガンのメカニズム
4章 がんの三大治療法
5章 その他のがん治療法
6章 がんの民間療法
7章 今後の課題
8章 私の病状報告
となっていた。とても冷静に自分のことも、また研究者の目でがん治療のことも記述されているので、図書館にはないけれど、ネットで注文しました。