
日本で最初のファンだと自負している(デヴュー作がパリででた1週間後にアルバムを手にいれている)エミール・パリシャンの新しいアルバムがACTから近々でるけれど、それを拾いにいったら、こんなアルバムがあったのでこちらももちろん拾ってきました。今年のろくおんだからまだ新譜としてみて良いでしょう。
リーダーのベーシストStéphane Kereckiはこのアルバムでもピアノを弾いているJohn Taylorとのデュオアルバム「PATIENCE」でおぼえているけれど、そこにソプラノ・サックスのテクニシャンパリシャンが加わって、なんとフランスの映画の潮流だったヌーヴェルヴァーグの作品の音楽集を作っている。
の映画音楽といえばゴダールだけの作品をあつめたSTEPHANE OLIVAの「VAGUEMENT GODARD」があったけれど、これも同じながれなのでしょう。
1950年代末から60年代中盤まで、フランスの若い監督達による、ロケ撮影中心、同時録音、即興演出などの手法的な共通性のある一連作品の流れは、1970年にパリで生まれたStéphane Kereckiにとって、それはフランスの誇りであり、遅れて来た世代にとって振り返りがしたくなるのでしょうか。

1「ピアニストを撃て」 フランソワ・トリュフォー 1960
2「軽蔑」 ジャン・リュック・ゴダール 1963
3「気狂ピエロ」 ジャン・リュック・ゴダール 1965
4「ロシュフォールの恋人たち」 ジャック・ドミュ 1967
5「大人はわかってくれない」 フランソワ・トリフォー 1959
6「死刑台のエレベーター」 ルイ・マル 1958
7「アルファヴィル」 ジャン・リュック・ゴダール 1965
8「気狂ピエロ」 ジャン・リュック・ゴダール 1965
9「黒衣の花嫁」 フランソワ・トリュフォー 1968
10「ローラ」 ジャック・ドミュ 1961
11「勝手にしやがれ」 ジャン・リュック・ゴダール 1960
11曲10作品についてちょうどヌーヴェルヴァーグの最後頃に自分でたくさん映画を見るようになった、なんとか追いついている世代にとっては一寸こころくすぐられるアルバムになるのです。
作品は3つぐらい見ていないようにおもいます。そして音楽は死刑台のエレベーター以外はまるでわすれている。見ていない「ローラ」のメロディをしっているのはヴェートーベンの交響曲7番からの曲だったからでした。いやロシュフォールもミッシェル・ルグランで覚えていた。
1曲目「ピアニストを撃て」だからピアニストは参加していない。パリシャンが哀愁あるいつもの音色でストレートに吹いています。
3曲目ここでパリシャンがアドリブをいれて、やっぱりパリシャンはアドリブを吹いてくれなくちゃという感じです。
ヌーヴェルヴァーグは結構小難しい映画が多くて、音楽もあわせて思索的なところが強いけれど、6曲目「死刑台のエレベーター」はサスペンスだから、ハードな演奏になってカッコイイ。
カルテットに女性ヴォーカルがげすとで、4曲目と8曲目で歌っているけれど、ロシュフォールの原盤はだれがうたっていたんだっけ。
9曲目の「黒衣の花嫁」で何時も抑え気味なリーダーのステファンがハードなベース・ソロをとってこれは良い。
基本ヌーヴェルヴァーグへのオマージュがテーマなので、ハードなインプロはすくなめで、パリシャン好きには一寸さびしいけれど、この人うまいからいろいろ声がかかるのだろう。自身のアルバムがすぐでるからそちらで満足するとして、こちらはやはりフランス、ヌーヴェルヴァーグを思い出すことが一番みたいです。
ところで思い出すと言って、ブルジット・バルドーかジャンヌ・モローかアンナ・カリーナかそれともカトリーヌ・ドヌーブか、私としてはやっぱりアンナ・カリーナかな。
最後に呟きみたいになっちゃうけれど最近見た「クロワッサンで朝食を」のジャンヌ・モローは良かったですよ。
NOUVELLE VARUE / STEPHANE KERECKI
Stéphane Kerecki, contrebasse
Jeanne Added, chant
Emile Parisien, saxophones
John Taylor, piano
Fabrice Moreau, batterie
01 Tirez sur le pianiste
02 Le mépris
03 Pierrot le fou
04 Les demoiselles de...
05 Les quatre cents coups
06 Ascenseur pour l'échafaud
07 Alphaville
08 Pierrot le fou
09 La mariée était en noir
10 Lola
11 A bout de souffle