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チェット・ベイカー余話

2017-07-01 18:21:29 | 音楽

 アメリカ西海岸のジャズ、ウェストコースト・ジャズの代表的プレイヤー、チェット・ベイカーをイーサン・ホークが演じた映画「ブルーに生まれついて」をブログにしたが、今読んでいるマイクル・コナリーの「転落の街」にもチェット・ベイカーについての記述がある。

 彼のトランペットについて主人公のLA市警強盗殺人課未解決班刑事ハリー・ボッシュが感想を述べる。『CDチェンジャーが次のディスクに移行した。すぐにボッシュはチェット・ベイカーのトランペットだと分かった。曲はドイツからの輸入盤に入っている「ナイト・バード」だった。
 ボッシュはベイカーがその曲を1982年サンフランシスコのオファレル・ストリートにあるクラブで演奏するのを見た。ライブでベイカーを見たたった一度の機会だった。
 そのころのベイカーのカバーボーイ・ルックス(雑誌の表紙を飾れるような容姿)とウェストコースト流のクールさは、ドラッグと人生の疲れに吸い取られてしまっていたが、それでもまだベイカーはトランペットの音色をまるで闇夜に響く人の声のように奏でることができた』これは著者自身の体験だろう。

 マイクル・コナリーはジャズに薀蓄のある人でアマゾンのオリジナル作品「BOSCH」でも、ロサンゼルスの夜景が見渡せるリビングに流れるジャズも、劇中のホッとする点描になっている。マイクル・コナリーは、作中に登場するホテルやレストランなど実在するものを明示する。これは私の好むところ。日本人作家のA町やM大など曖昧な表現はない。

 ただ、この本にも出るがシャトー・マーモント・ホテルから男が飛び降りたという事件になっている。このホテルは実在し、これをホテル側は喜ぶのだろうか。私の推測は喜ぶと思う。事前に打診はあるだろうが、有名作家の劇中に出るんだから宣伝効果抜群ではないか。たとえ人が死んでいても。それは物語の中だというわけかもしれない。

 ボッシュは娘のマディと住んでいて、早朝からフェリーでカタリナ島へ行きアバロンにある「パンケーキ・コテージ」で朝食。ロサンゼルスの「デュパーズ」に匹敵すると思える唯一の店とイチオシの記述。この人の本を読んで観光もいいかもしれない。穴場も教えてくれるかも。

 タコスの屋台もある。「家に帰る途中でボッシュはイーストハリウッドに立ち寄り、ウェスタン・アヴェニューの(エルマタドール)トラックの後ろに車を停めた。ボッシュは、たっぷり牛肉(カルネ・アサダ)を詰めたタコス4個を持ち帰りようカップに入れさせ、小麦粉製トルティーヤをアルミホイルに包むよう頼んだ」

 これで場所も分かったし、売っている商品も分かった。後は現地で確かめるだけ。それではチェット・ベイカーの「ナイト・バード」を聴きましょう。かなり雰囲気はいいですよ。

         
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