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1930年代の名監督フランク・キャプラは、楽天主義の映画製作者でこれまでの集大成として1946年に「素晴らしき哉、人生」を公開した。それにあやかるような本作に思えてならない。
どちらもクリスマス・シーズンで主人公が悩める男。周囲の善意が天使になったりする。ここに広告会社を友人のホイット(エドワード・ノートン)と立ち上げて、今や“広告の哲学者”と言われるハワード・インレット(ウィル・スミス)がいる。
社員に向かって説くのは「君の“なぜ”への答えは何だ? なぜ会社にきた? 会社の来るのはつながるためだ。人生は“人”がすべて。広告は人に伝えることがすべてだ。いかにその商品やサービスが暮らしを豊かにするかを。ではどう伝える? 愛と時間と死、この三つが地球上のすべての人をつなげる要素だ。愛を渇望し、時間を惜しみ、死を恐れるからだ」
3年後、ハワードは5日かけた積み木をドミノ倒しで無残な残骸にしてしまう。主要ポストにあるクレア(ケイト・ウィンスレット)とサイモン(マイケル・ペーニャ)ともども広告の哲学者のハワードのゾンビのような姿に悩むホイットたち。
それは2年前愛娘オリヴィアを病気で亡くしたからだ。まだ立ち直れないでいる。相談ごとも生返事。有力な顧客はほとんどハワードが持ち込んだもの。業績も下降線。一株17ドルで買うと言う話が持ち上がる。
ひょんなことからホイットは、エイミー(キーラ・ナイトレイ)、ブリジット(ヘレン・ミレン)と知り合い彼女達が役者であることを知る。ホイットは一計を案じ、ハワードの言う愛、時間、死それぞれに扮してもらいハワードを正気に戻そうとする。
一方ハワードは、マデリン(ナオミ・ハリス)が主宰する親しい人を亡くした人たちの集まりのドアを叩いた。すべてが善意の世界。ハッピー・エンドに終わるが、全米での興行成績は思うように伸びなかった。全世界での収入で製作費を取り戻せた。
フランク・キャプラの「素晴らしき哉、人生」も失敗作だったらしい。ただ、こちらのほうはクリスマス・シーズンになるとリバイバル上映される筆頭らしい。
本作は、出演者がそうそうたる顔ぶれではあるが、感涙まで行かなかった。ドミノ倒しが暗喩として使われているのが印象的だった。さらにエンディング・ロールに重なるOnerepublicの曲「Let's Hurt Tonight」も“愛が苦痛なら今夜は苦しもう”と哲学的。とにかくその曲を聴きましょう。
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監督
デヴィッド・フランケル1959年4月ニューヨーク州ニューヨーク生まれ。
キャスト
ウィル・スミス1968年9月ペンシルヴェニア州フィラデルフィア生まれ。
エドワード・ノートン1969年8月マサチューセッツ州ボストン生まれ。
キーラ・ナイトレイ1985年3月イギリス、ミドルセックス生まれ。
マイケル・ペーニャ1976年1月イリノイ州シカゴ生まれ。
ナオミ・ハリス1976年9月イギリス、ロンドン生まれ。
ケイト・ウィンスレット1975年10月イギリス、イングランド、バークシャーレディング生まれ。
ヘレン・ミレン1945年7月イギリス、ロンドン生まれ。
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