都市と楽しみ

都市計画と経済学を京都で考えています。楽しみは食べ歩き、テニス、庭園、絵画作成・鑑賞、オーディオと自転車

百貨店の未来(伊藤元重):20年前の著作だが、予測は外れた

2019-04-12 02:13:30 | マクロ経済

 20年前(1998年)の著作だが、2000年頃を思い出す。金融機関(山一証券、生保など)の破綻が相次いだ時期で、ITバブルの前夜だ。

 「百貨店らしさ」とは「差別化」とある、逆もまた真なり。百貨を扱えるのか(電気、家具は専門店化で流出)。

百貨店と商店街の間隙をぬって大型スーパーなどチェイン店が競合というのも大店法の時代(2000年廃止 https://ja.wikipedia.org/wiki/%E5%A4%A7%E8%A6%8F%E6%A8%A1%E5%B0%8F%E5%A3%B2%E5%BA%97%E8%88%97%E6%B3%95 )から大規模小売店舗立地法( https://ja.wikipedia.org/wiki/%E5%A4%A7%E8%A6%8F%E6%A8%A1%E5%B0%8F%E5%A3%B2%E5%BA%97%E8%88%97%E7%AB%8B%E5%9C%B0%E6%B3%95 )に転換し、郊外SCが林立し始める時期だ

知見は:

・百貨店は「変化を演出」する小売業:消化仕入れでメーカーが在庫を地方やバーゲンに回す。

・消化仕入れで低いマージンと百貨店側の高い人件費と施設コスト

・消化仕入れによる百貨店人材の商品・販売知識の育成の遅れ:ノードストロムは売上で店員の賃金が決まるという出来高制でサービス品質を維持

・顧客の分析と顔を合わせるビジネス(外商)

・アメリカは都市の居住地近くで、ディベロッパーがSC開発(百貨店もアンカーに)、百貨店毎に特定ターゲットに絞り込み:企業が多くなり百貨店業界の統合、但しアメリカの動向で、ドイツでは日本型に近い

・SPAの台頭:GAP、The Limited (懐かしい。。。)

変化の要点

①立地構造変化→ターミナルと郊外→ターミナル特化になった

②安定的利益構造→自前化の検討→不動産業になった例も

③技術革新の取り込み→あまりない

④他の業態に打ち勝つ、魅力ある「百貨店らしさ」の編集→ライフスタイル、感性→当時の流行り言葉

⑤新しい時代の顧客サービス→従業員のやりがいと経営→リストラのみ進行した

 時代を振り返るのに良い著作だが、百貨店は縮小均衡してしまった、または床貸しの不動産になってしまったというのが感想だ

コメント
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