二草庵摘録

本のレビューと散歩写真を中心に掲載しています。二草庵とは、わが茅屋のこと。最近は詩(ポエム)もアップしています。

隣りにだれか(ポエムNO.2-56)

2015年05月26日 | 俳句・短歌・詩集
苦いビールがなぜうまいのかというと
その「苦い」がいいのだ。
ホップが口の中ではじけ
気分転換がはかれる。
議論したり 咳込んだりしたあとで口をすすぐみたいに
ビールを飲む。
そんな夜が何日もつづいたな あのころ。

淋しさの岬 そのはるか彼方に夕陽が沈んでいくのを見ている。
隣りにいるはずの人はいつのまにか消えて
振り返るとぼくの長い影が
小説的なフィクションに寄りかかった旧い街角のほうへのびて
・・・のびて。
最果てとは「いまいる場所」のことだろうか?
ぼくは怪しむ。

ああ ああ
と声に出して 中年のへんなおじさんが独り言をいっている。
それはかつてぼくの友人だった人。
結婚歴はなく ひとりで歩いて
・・・歩いて
ここまでやってきた。
そして忍び寄る老年に直面している。

撮影ででかけたある街角 たまたま立ち止まった
この平成のあっけらかんとした街角から
淋しさの岬 そのはるか彼方に夕陽が沈んでいくのを見ている。
隣りにだれかいて欲しい?
いて欲しくない?
そう訊かれてぼくは
さっきから考え込んでいるのだ。

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