(年4化5化するヤマトシジミ、遺伝子の交換をしている。2012年8月)
1 遺伝子
だれもが持っている小さな
小さな秘密 遺伝子という秘密。
・・・最後の解答
すべてがそこに書き込まれているって
ほんとうだろうか。
だれも見たことのない 秘密。
シャガールのニワトリ
シャガールの馬。
その隣りを遺伝子がふわふわ飛んでいく
ピエロそっくりの服を着て。
おーい きみはなんの遺伝子?
2 クロアゲハ
地の神の使いとでもいうように
一頭のクロアゲハが舞い降りる。
素朴きわまる自然主義者。
彼女は真っ黒い ゴージャスなドレスをまとって
どこかからどこかへいく途中なのだ。
ほんの数瞬ぼくの人生とクロスし
神に約束された茫漠たる未来へと去っていく。
クロアゲハがそこにいた時間
彼女が去ったあとの時間。
つぎに遇うまで何年の歳月を要するのだろう。
学ばなければ 永遠を。
3 遠い明日
弦楽四重奏曲の中にしばらくたたずんでいたら
ずぶ濡れになった。
激しい豪雨があった というみたいに。
しずくをしたたらせながら
きみはその音楽から出て
入館料のいらない枯枝の美術館や
傷つきやすい人たちがつくる堤防や
過去からの漂流物でうまった墓地の
そのかたわらを通りすぎる。
弦楽四重奏曲のしずくは
いつまでも乾かない。
明日って なぜこんなに遠いのだろう。
4 まっ白い乗車券
「このバスはどこへゆくバスですか」
と隣にすわった 頑固そうなおやじがいう。
さっきからポテトチップスを一袋食べて
手持ちぶさたなのだ。
立っていって 窓から外の景色を眺める。
それにもあきてしまって
つぎに文庫本を取りだして読みはじめた。
横で野球帽をかぶった男の子がスマホ画面と首っぴき。
バスはカーヴを曲がる。
未舗装の道路をガタコンガタコン走る。
見慣れた景色はどこまでもつづく。
大部分の乗客は居眠りしている。
「どこへも着きませんな いっこうに」
おやじがあきれたように話かけてくる。
「ゆきさきが決まっていないバスなんです。
乗車券がまっ白でしょう」
1 遺伝子
だれもが持っている小さな
小さな秘密 遺伝子という秘密。
・・・最後の解答
すべてがそこに書き込まれているって
ほんとうだろうか。
だれも見たことのない 秘密。
シャガールのニワトリ
シャガールの馬。
その隣りを遺伝子がふわふわ飛んでいく
ピエロそっくりの服を着て。
おーい きみはなんの遺伝子?
2 クロアゲハ
地の神の使いとでもいうように
一頭のクロアゲハが舞い降りる。
素朴きわまる自然主義者。
彼女は真っ黒い ゴージャスなドレスをまとって
どこかからどこかへいく途中なのだ。
ほんの数瞬ぼくの人生とクロスし
神に約束された茫漠たる未来へと去っていく。
クロアゲハがそこにいた時間
彼女が去ったあとの時間。
つぎに遇うまで何年の歳月を要するのだろう。
学ばなければ 永遠を。
3 遠い明日
弦楽四重奏曲の中にしばらくたたずんでいたら
ずぶ濡れになった。
激しい豪雨があった というみたいに。
しずくをしたたらせながら
きみはその音楽から出て
入館料のいらない枯枝の美術館や
傷つきやすい人たちがつくる堤防や
過去からの漂流物でうまった墓地の
そのかたわらを通りすぎる。
弦楽四重奏曲のしずくは
いつまでも乾かない。
明日って なぜこんなに遠いのだろう。
4 まっ白い乗車券
「このバスはどこへゆくバスですか」
と隣にすわった 頑固そうなおやじがいう。
さっきからポテトチップスを一袋食べて
手持ちぶさたなのだ。
立っていって 窓から外の景色を眺める。
それにもあきてしまって
つぎに文庫本を取りだして読みはじめた。
横で野球帽をかぶった男の子がスマホ画面と首っぴき。
バスはカーヴを曲がる。
未舗装の道路をガタコンガタコン走る。
見慣れた景色はどこまでもつづく。
大部分の乗客は居眠りしている。
「どこへも着きませんな いっこうに」
おやじがあきれたように話かけてくる。
「ゆきさきが決まっていないバスなんです。
乗車券がまっ白でしょう」