二草庵摘録

本のレビューと散歩写真を中心に掲載しています。二草庵とは、わが茅屋のこと。最近は詩(ポエム)もアップしています。

あじさい色の鎌倉(ポエムNo.2-57)

2015年05月28日 | 俳句・短歌・詩集
色が弱っていくな。
色 いろいろな色いろ。
しかし・・・
しかし 終わりのはじまりがはじまったが
衰亡までまだずいぶん時間がある。
数百年 数千年 という時間の単位かも知れぬ。
褪せていく日常 褪せていくキアゲハや文学碑や寺社仏閣。

色 色のいろいろ。
オレンジ色がグレープフルーツのつもりではしゃいでいる。
黒が二千年まえの隕石のように沈んでいる。
おれはおれの色を神仏に問いかける。
しと しと しと ぴちゃ ぴちゃ ぴちゃと
あいにくの雨が頼朝の肺腑を濡らす ぬらす。
暑く昏い くらい西の空のへりが巨大なレンズとなって輝く。

陽のうすい奥州へ北陸へ
また四国から九州へ
軍馬がいななき いななき
いくさがくり返えされようとしている。
いざ鎌倉だと触れ回る者。
陣太鼓が鳴っている 鳴っている。
窓ぎわのみどりに頼朝の出陣をひかえた武者姿が映り。

関東の中心は江戸
・・・ではなくて
鎌倉にある ことを関東のいなか武者どもは知っている。
観光客などやってくるはずのない裏通り。
風光は ・・・いつしか風光の色は褪せ
ああ つらいなあつらい。
中世から現代へと水音はこの国の闇をきり

いまをきり裂く。
ごほんごほんと咳き込む武者がある。
あじさい色の夢 あじさい色の歴史の 足音
・・・が聞こえる。
くわんとうにきみは生まれ そこで育ちそこにいる。
将門のくにの子孫としてきみがあじさいを見ている。
あじさいがきみを

見ている。

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