二草庵摘録

本のレビューと散歩写真を中心に掲載しています。二草庵とは、わが茅屋のこと。最近は詩(ポエム)もアップしています。

記憶(ポエムNO.2-12)

2013年06月04日 | 俳句・短歌・詩集

それは一瞬の出来事。
なにか見えない気配がすっと近づいてきて
ぼくのこころのどこかを叩いて通りすぎた。
ん?
なんだろう とぼくはあたりを見回す。

季節の移ろいの真っただ中に身を置いて
色のひとつ足りない虹や
耳だけやけに大きな猫や
石の中にとじこめられた古代人の眼や
・・・。

どこにもいかずにここにいる。
六月のこころは
なじみ深い風景のかたわらに置かれたガラス瓶なのだ。
きっとそうだ。
いろいろなものが映り込む。

知らずしらず いろいろなものがその瓶の底に溜まる。
溜まる・・・。
そこから自由になろうとして ぼくは身動きし
歩きまわったりする。
手には大抵 カメラがある。

ここがぼくの領土だなんて
いったいだれが決めたのだろう。
街角のアジサイのように変化しつづける記憶が悩ましい。
その先端部に 真っ白い灯台のようにぼくの一日が聳えている。
必要なものはなーんにもない。

そしてすべてが必要なのだ。
・・・きっと。いや
違うかな?
ぼくは気をとりなおし 慎重にかまえて
必要なものと そうでないものを区分けしていく。

コメント    この記事についてブログを書く
  • X
  • Facebookでシェアする
  • はてなブックマークに追加する
  • LINEでシェアする
« アルバム「郷土遊覧記番外編... | トップ | 「名機の条件」について »
最新の画像もっと見る

コメントを投稿

ブログ作成者から承認されるまでコメントは反映されません。

俳句・短歌・詩集」カテゴリの最新記事