「宮崎正弘の国際情勢解題」
令和三年(2021)7月1日(木曜日)弐
通巻第6969号
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米国「学生ローン」地獄が再浮上
民主党左派「1・5兆ドルを無償とせよ」。モラルハザードの声も
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トランプ前政権は累積する学生ローンの返済猶予を延長し、2020年前期に期限の来た分の返済を10月までとしたが、それも無理とわかり、2021年1月に返済期限の再延長措置を取った。
バイデンは、学生ローン債務者の負担軽減を狙って、2021年10月までの再再延長を決めた。各々1万ドル免除案も議会で議論されている。
いったい学生ローンの残高は幾らあるのか?
アメリカ人の4400万人が学生ローンを借りており、既に返済された額を含めてのトータルは1・56兆ドル。残高は2020年4月統計で1・2兆ドルとされた。返済期間の平均は19年という。
デフォルト率は33%、卒業しても満足な収入がないことが主因で、アメリカ経済の深刻な問題となっている。
というのも、学生ローンの債務残高はクレジットカードのそれが1・2兆ドル、自動車ローンの残高が1・1兆ドルだから、アメリカ経済にとっては、この学生ローンが最悪の債務問題なのである。
2021年10月に返済期限が来る学生ローン残高は30億ドル。或るアンケートに拠ると90%が返済は困難だと回答し、65%が「もう払えない」と悲鳴を挙げている実態が浮かんだ。
借金で授業料を払って、ようやく大学を出ても、よい就職口がなければ、ローン返済はママならず、ましてやマイホームも結婚も遠い目標となってしまう。
左派のリズ・ウォーレン議員などは「連邦政府は、1・5兆ドルの予算を組んで、全額を無償とせよ」と訴え、若者の支持を拡げている。
社会主義を標榜するサンダース議員も同じで学生ローンの免除、大学授業料の無償化が民主党左派の言い分となった。
ウォーレン、サンダース両議員は民主党内左派の有力議員でバイデン政権派の影響力が強い。
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