歴史の巨大な流れと変遷には個人は逆らえぬ
寡頭政治は次世代の世界戦国時代への入り口
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日本人は知らない…アメリカの巨大テック企業が「トランプ政権にひざまずいた」本当の理由
リベラルを仰天させたオリガーキー政権
第47代トランプ大統領の就任式には、シリコンバレーのトップであるテック・ビリオネアの面々がずらりと並んだ。 【写真】「日本のどこがダメなのか?」に対する中国ネット民の驚きの回答 巨万の富をトランプ再選に注ぎ込んだイーロン・マスクと、マーク・ザッカーバーグ(メタCEO)、ジェフ・ベゾス(アマゾン創業者)という地球上で最も富裕な3人に加え、グーグルCEOのスンダー・ピチャイ、アップルCEOのティム・クックの姿もあった。 まさに、トランプが就任スピーチで語った「アメリカ黄金時代」を世界に誇示するかのような光景でもあった。
リベラルたちはこれが、オリガーキー(寡頭政治:少数の超富裕層による独裁、ロシアのオリガルヒと同義)を可視化したものと強く批判したが、同時に心の底から裏切られた気持ちにもなっていた。 なぜならシリコンバレーといえば長年リベラルの牙城だったからだ。特にアメリカのテック産業の土台を築いたアップルのスティーブ・ジョブス、マイクロ・ソフトのビル・ゲイツを2大巨頭として、シリコンバレーの起業家たちは、ビジネスはもとより社会貢献にも大きな力を注ぐなど、人間的にもリスペクトされる存在だった。 さらに、ジェフ・ベゾスやマーク・ザッカーバーグは、トランプとはソリが合わないことで知られてきた。
8年前の第一次トランプ政権誕生の時も、彼らの態度は冷淡なものだった。それがまるでてのひらを返したかのように、あたかも長年の親友のようにふるまっているのだ。 その姿を見て「まるでマフィアの大ボスにひざまずく子分たちのようだ」と揶揄する人も少なくない。 いったいシリコンバレーに何が起きたのだろうか? その背景には、有り余る金とテクノロジーの未来を手中におさめた超富裕層たちが抱く、底なしの野望がある。
テック業界の巨大化と「民主党嫌悪」
まず今のシリコンバレーは、かつて若い天才エンジニアたちが切磋琢磨し、次々にイノベーションを生み出して出していた頃のシリコンバレーではない。 日本ではGAFAMという言い方をするが、グーグル、アマゾン、フェイスブック、アップル、マイクロソフトという5社が世界を牛耳っている。 そこに、彼らが手にしたうなるほどのお金とパワーを「自分たちも手に入れる」とばかりに、ヘッジファンドで儲けた超富裕インベスターらが参入した。その結果イーロン・マスクというスーパーパワーも生まれた。
ここまで巨大化すると必ず出てくるのは「独占」の疑いだ。 バイデン政権はこうした巨大テック企業に対する規制強化を強く押し進めた。例えば司法省は2024年、グーグルに対するオンライン検索の独占禁止法違反訴訟で勝訴している。司法省は同様に独占の疑いで、アップルやアマゾン、メタも立て続けに提訴している。 こうした規制は消費者を守るために必要だが、巨大テック企業にとっては世界、特に中国に対する競争力を弱める足枷となる。そのためもともと規制を課すことが多い民主党政権に対し、いよいよもって反感を感じるようにもなっていた。民主党とは逆に規制緩和がモットーで、さらに企業減税を推進する共和党トランプ政権に期待を抱くようになったのは当然だろう。