頭の片側がズキズキ…片頭痛の新薬、続々と登場 痛み予防する効果

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片頭痛を抑える注射薬が、この春以降、相次いで登場しています。片頭痛の原因とされる物質の働きを妨げるもので、従来の治療がうまくいかなかった患者に対しても症状の改善が期待されています。(影本菜穂子)
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読売新聞社
片頭痛は月に1、2回以上、頭の片側がズキズキと痛む発作が起きる状態を指します。痛みは数時間から3日間続き、吐き気を伴う場合や、光や音に過敏になることもあります。仕事や学業への影響も少なくありません。国内では、片頭痛がある人は約840万人と推計されています。20~40歳代が目立ち、女性が男性の4倍に上ります。 片頭痛は、脳内の三叉(さんさ)神経から出る「CGRP」という物質が血管に取り込まれることで起こると考えられています。天気の変化やストレス、飲酒などの刺激でCGRPは過剰に放出され、血管が広がり炎症を引き起こすとされています。 片頭痛が起きた時の治療薬には、痛み止めの薬や、血管の炎症を抑える「トリプタン」があります。それでも改善しなかったり発作の回数が多かったりする場合には、てんかんなど別の病気の飲み薬を予防薬として使います。 今年4月以降に実用化された三つの新たな注射薬は、いずれも頭痛を予防する効果があります。「エムガルティ」と「アジョビ」はCGRPの働きをブロックし、「アイモビーグ」は、CGRPが血管表面の受容体と結合するのを妨げます。
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読売新聞社
神奈川県内に住む団体職員の女性(48)は20歳代から片頭痛を抱え、月に15日程度、頭痛に悩まされてきました。朝方に痛みで目覚めてから、わずかな光が目に突き刺さるように感じるため、暗い部屋でじっとやり過ごしていました。 女性は今年5月から富士通クリニック(川崎市)に月1回通い、エムガルティの治療を受けています。頭痛は月5日前後にまで減り、痛みも軽くなりました。トリプタンを飲む頻度も月2、3回にとどまっています。「片頭痛が不安で、仕事やプライベートな予定を入れるのもためらっていました。今は気になりません」と喜びます。 ただし、エムガルティを含めた三つの新薬の薬価は、いずれも1本あたり4万円を超えます。女性の治療費(3割負担)は月約1万4000円といい、「長期間治療を続けると、経済的な負担が心配です」と話しています。 主治医の五十嵐久佳さんは「注射を一度中止しても、一定期間は症状が落ち着いたまま過ごせる場合があります。患者さんと相談しながら、薬を使い続けるかどうかを決めます」と説明します。 厚生労働省は、これらの新薬を適正に使用するための指針を定めています。対象は、従来の治療で十分な効果が得られなかった患者などに限定されています。投与できる医師も、5年以上の頭痛の診療経験がある専門医としています。 独協医大副学長の平田幸一さん(脳神経内科)は「今までの治療薬とは一線を画する効果がありますが、症状が改善しない場合もあります。どのような患者に効くのか今後の検証が必要です」と話しています