魚と肉類の比率は、3:1で120歳まで元気
////////////////////////////////////////////////////////////////////////
全身がんの医者が始めた「死ぬ準備」 60歳を過ぎたら「逝き方」考えて 「夫源病」提唱者が新著
夫の言動が原因で妻が心身に不調をきたす「夫源病(ふげんびょう)」の提唱者で、大阪大学招へい教授の石蔵文信(いしくらふみのぶ)さん(66)=大阪市=が、がんを患い、著書「逝きかた上手 全身がんの医者が始めた『死ぬ準備』」(幻冬舎)を出版した。オンライン取材に応じた石蔵さんは「死は負けではない。大事なのは生き方であり、逝き方。60歳を過ぎたら考え始めてほしい」と話した。(中島摩子)
循環器・心療内科医で、中高年のメンタルケアに取り組み、同市内のクリニックで男性更年期障害の患者らを診察している石蔵さん。2011年に名付けた「夫源病」は医学的な病名ではないが、全国的な注目を集め、テレビ出演や講演依頼が相次いだ。兵庫県内でも各地で講演。夫婦の危機を回避するには男性の食の自立が重要と説き、料理本「60歳からの超入門書 男のええ加減料理」(講談社)も出版した。
■まずは生前整理を
全国を飛び回っていた石蔵さんだが、19年ごろから体調が芳しくなく、翌年2月に前立腺がんが見つかった。詳しい検査で、全身の骨に転移していることが判明。手術や放射線療法は不可能といい、注射と薬の服用によるホルモン療法などに取り組み、論文の情報を基に「自分の寿命は3年か5年ぐらいかな」と考えてきたという。
同時に「いつ状態が悪化しても良いような生き方をしたい」と思い、まずは「終活」として持ち物の生前整理に力を入れた。「趣味が多い」ゆえ、後に遺品整理で家族が困らないよう、鉄道模型や家庭菜園のプランター、本、つり道具などは捨てたり、片付けたりしたという。
また、終末期の医療を巡っては、人工呼吸器や胃ろうなどについて「何もしないでほしい」と家族に伝えている。最期は病院ではなく、在宅での療養を望んでいるという。
闘病生活では薬の副作用で体調を崩し、入院していた時期もあったが、がん判明から約2年半が経過した現在は病状は落ち着き、テニスやゴルフ、木彫りなどに取り組みつつ、クリニックで週に数回の診察を続ける。
■バトンタッチの意識
石蔵さんが改めて考えているのは「バトンタッチしていくんだ、という意識を持って生きていくのが大事」ということだという。子どもや孫、学生たちに、命や学び、思いをつなぎ、形ある大切なものはそれを愛してくれる人の元へ-というふうに。
加えて「自分なりの死生観を持つことが大事」と力を込める。高齢者の生き方や逝き方については「個人の考え方もさまざまで正解もない」とした上で、「考えることを先延ばしせず、悔いのない最期のために、元気なうちから死と向き合ってほしい」とメッセージを送っている。
著書は、第1章「全身がんを生きる」、第2章「死の準備、はじめませんか」、第3章「人生100年は、幸か不幸か?」からなり、211ページ。B6変型判、1320円。幻冬舎(営業)TEL03・5411・6222