【ニューヨーク=金子靖志】国連総会(193か国)は10日、国連へのパレスチナ正式加盟を支持する決議案を賛成多数で採択した。ただ、加盟には安全保障理事会の勧告が必要で、拒否権を持つ米国が反対しているため実現の可能性は低い。
採決前に演説したイスラエルのギラド・エルダン国連大使は決議案に反発し、賛成票を投じる国に対して「破壊的な投票によって国連憲章がどうなるか、これを見ればわかる」と述べ、小型のシュレッダーを取り出して国連憲章と書かれた紙を細断した。「こういうことだ。あなたたちが国連憲章をズタズタにしている。恥を知れ」と声を上げ、壇上を離れた。会場からはどよめきが起きた。
採決では日本など143か国が賛成し、全体の7割超を占めた。反対は米国やイスラエルなど9か国のみで、両国の孤立が際立った。
安保理で4月にパレスチナの加盟を勧告する決議案が米国の反対で否決されたことを受け、アラブ諸国が総会決議案を提出し、70か国超が共同提案国となった。