明後日の6月13日、イタリアのプーリアでG7サミットが始まる。
出所:Uniting to Combat size
ホワイトハウスの声明によると、 「G7の指導者たちは、ウクライナへの揺るぎない支持を含む、最も差し迫った、世界的な問題について議論する」とのことだ。
そこで、今日はこの声明の本当の意味を解説しよう。
米国が可決した4つの重要な法律
4月、米国議会は国家安全保障に関連する4つの重要な法律を可決した。
そのうち3つの法案は、ウクライナ、イスラエル、台湾への支援を提供するもの。これは、世界でも注目を集めた。
1つ注目を浴びなかったのは、REPO法案と呼ばれるものであった。
これは、「米国の管轄下にあるロシアの資産」、例えば、米国債を含む、すべての資産を米大統領に没収させる権限を与えた法案であった。
REPO法の影響は、米国の管轄下にあるロシアの資産が、約100億ドルに限られるため、限定的だと侮られている。
しかし、この法案は、NATO同盟国がヨーロッパで行なう予定の、はるかに大規模な没収へのきっかけとなるかもしれない。
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史上最大の窃盗
米国の目標は、G7サミットで、他のG7メンバーがロシア資産を没収することへ賛同するよう仕向けることである。
しかし、欧州が米国に同調してロシア資産を盗むならば…
・シーメンス(ドイツの電機メーカー) ・トタル(フランスの石油化学企業) ・BP(イギリスのエネルギー企業)など、
ロシアは、これら大手ヨーロッパ企業への数十億ドルの投資を取り止め、報復するだろう。
よって、没収されるヨーロッパの資産価値は、ロシアが所有する米国債の価値を上回ることになる。
実際、バイデン氏がロシア資産の没収を認める法律に署名した直後、ロシアの裁判所は、J.P.モルガンから4億4,000万ドルを没収する命令を下した。
出所:Bloomberg size
この国際金融システムへの影響は甚大であり、米国にとって非常に不利となるだろう。
そして、この理不尽な窃盗計画には、いくつかのパターンが考えられている。
1つ目の計画では、利息(約60億ドル)を盗み、元本は凍結するが没収しないというもの。
別の計画では、ロシアの資産を担保にしてウクライナにローンを組み、ウクライナがデフォルトした際には、ロシア資産の担保を没収するというもの。
さらに別の計画では、ロシア資産に100%の税を課し、税の回収という名目で資産を没収するというものだ。
全てが窃盗行為と同じであり、まさに米国は羊の皮をかぶった狼のようである。
即時の影響として、「米国債市場への信頼低下」と、世界各国の外貨準備金における、「米国債を保有することからの逃避」が挙げられる。
中国、日本、台湾、サウジアラビア、ブラジルなど、主要な米国債保有者は、徐々に準備金を移していくだろう。
その逃避先は、凍結や没収されない資産、例えば金(ゴールド)となる。
「黄金投資」へのチャンスは溢れんばかり
今回のロシア資産の窃盗は、BRICS+メンバーが国際取引に使用するための「代替通貨」。ゴールドにリンクした国際通貨の作成を後押しするだろう。
もちろん、数年という短期で米国債が使われなくなることはない。
この取り組みが完了するには数年かかるだろう。だが、こうした米国の理不尽な法の支配が、その取り組みを加速させる。
皮肉なことに、ロシア資産が盗難されるという話だけで、金価格は数か月で1オンスあたり600ドル上昇した。
ロシアは現在、約3,000トンの金を保有。これは、西側の制裁やREPO法では手をつけられない。
また、金価格の上昇によって、ロシアの準備金は500億ドル増加した。
まさに、ロシアの金融ゲームの巧妙さと、米国の愚かさを示す証拠である。
もし、米国とNATO同盟国が協力して西側にあるロシア資産の100%を盗むなら…まさに、それは史上最大の窃盗である。
そのため、今回のG7サミットは国際金融システムにとって大災害となる可能性がある。
しかし、私たち個人投資家にとっては、同時にチャンスも生まれるかもしれない。
金(および金鉱株)は、6月13日に向けて影響を受け続けるだろう。
この物語はまだ始まったばかりである。
〜編集部より〜
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