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日本学術会議が中国と交わした“覚書”の闇。日本が工作に弱い理由
中国が外国人研究者を集める「千人計画」への協力を疑われるもこれを否定、さらに改めて軍事目的のための科学研究を行わない旨を強く主張した日本学術会議。しかしその姿勢がかえって中国を利することにつながる可能性はないのでしょうか。今回のメルマガ『黄文雄の「日本人に教えたい本当の歴史、中国・韓国の真実」』では、中国が各国に対して仕掛けている「三戦」なる工作活動を、台湾出身の評論家・黄文雄さんが詳細に紹介。さらに、中国科学技術協会と学術会議が交わした「覚書」の闇についても言及し、日本の学者ほど「三戦」工作を仕掛けやすい相手はいないからこそ学術会議に対して「中国の軍事研究を行うべきだ」と記しています。
※本記事は有料メルマガ『黄文雄の「日本人に教えたい本当の歴史、中国・韓国の真実」』2020年10月28日号の一部抜粋です。ご興味をお持ちの方はぜひこの機会に初月無料のお試し購読をどうぞ。
プロフィール:黄文雄(こう・ぶんゆう)
1938年、台湾生まれ。1964年来日。早稲田大学商学部卒業、明治大学大学院修士課程修了。『中国の没落』(台湾・前衛出版社)が大反響を呼び、評論家活動へ。著書に17万部のベストセラーとなった『日本人はなぜ中国人、韓国人とこれほどまで違うのか』(徳間書店)など多数。
日本学術会議こそ中国の「三戦」を研究せよ。中国と交わした「覚書」の闇
日本学術会議が中国の「千人計画」との協力を否定し、また、加藤勝信官房長官が「同会議として多国間、2国間の枠組みを通じた学術交流を行っているが、中国の『千人計画』を支援する学術交流事業を行っているとは承知していない」と述べたことをもってして、「日本学術会議が千人計画に協力したというのはデマだ」という話が出てきています。
たしかに、日本学術会議が組織として公に千人計画に協力した事実はありません。そのような協定も結ばれていません。
先日のメルマガ(「中国を擁護か。『千人計画はデマ』というデマを流す日本学術会議」)で引用した甘利明氏のブログですが、「日本学術会議は防衛省予算を使った研究開発には参加を禁じていますが、中国の『外国人研究者ヘッドハンティングプラン』である『千人計画』には積極的に協力しています」という文言を、甘利氏は「『千人計画』には間接的に協力しているように映ります」と修正しました。
前述したように、日本学術会議が千人計画に公式に協力したことを示す文書などはありません。そのために、表現を変えたものと思われます。
とはいえ、先日のメルマガでも書きましたが、欧米で逮捕された学者たちは、千人計画に協力して報酬を得ていたことを隠していたことで、逮捕されていたわけで、たとえ千人計画に携わっている学者がいても、そのことを公表すること自体がほとんどありえないことでしょう。また、本人はそうとは知らずに、中国に取り込まれ、中国の軍事技術に貢献しているケースもあります。
そもそも、中国は2018年9月から「千人計画」という言葉の使用を実質的に禁じています。そのため、百度、搜狗といった中国の検索エンジンや微博といったブログで使用できなくなっています。
千人計画は「海外高層次人才引進計画」が正式名称ですが、アメリカでこの計画に参加したアメリカ人や中国人の学者が逮捕されたことで、中国ではこの計画の存在を隠す動きが強まりました。だからといって、千人計画がなくなったわけではありません。
2019年11月19日には、アメリカ上院小委員会で、いくつかの連邦研究機関の代表者が、それぞれの機関で「中国の千人計画に関与している学者がいることが確認された」と述べています。
また、この上院小委員会が発表した報告書では、中国が、アメリカで研究している研究者を募集することにより、アメリカの研究資金を利用してその軍事力と経済力を強化している、と警告しています。アメリカの研究が軍事力強化に使われていることが、はっきりと明記されているのです。