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2023年02月28日 09時05分41秒 | 第三次大戦

【フランス便り】NPダイレクト・アクセス法案が可決

「コロナ終了!」の裏で改革、医師を通さず受診・一部処方可に
オピニオン 2023年2月19日 (日)配信奥田七峰子(日本医師会総合政策研究機構フランス駐在研究員)
 
全てのコロナ政策に終止符

 2月1日をもってフランス政府は、全てのコロナ政策に終止符を打ったと公式発表しました。陽性であっても隔離義務の放免、マスクなしに今や自由に外出しています。コンタクト・トレーシングのアプリもお役御免に。おのずと、濃厚接触者という概念も消失し、接触2日後の抗原・PCR検査義務もなくなりました。職場への病欠義務もなくなり出勤可となり、当然傷病手当も公的保険からカバーされなくなりました。診療報酬も一般の患者と同じ扱いとなります。

 まさに「コロナ終了!」と、大きく言われた感じです。

 2月1日午前0時0分0秒より、ウイルスがこの世の中から消滅したと考えることはできない筆者は、今も公共交通機関混雑時にはマスクをしていますが、完全に少数派になってしまいました。フランスの2月と言えば、春遠からじとは言えまだまだ寒さ厳しい日が続き、痰の絡んだをしている人も周囲にいっぱいいるのです。今冬は3年ぶりにインフルエンザが流行し、ウイルス干渉なのか、対照的にコロナの陽性率は下向して行きました。周りの目を気にすることなく春までは乗車時マスク着用を続けたいと思います。

 コロナ終了とは別に、フランスの医療界では大きな「改革」が起きています。

 連日、フランス国民が政府の年金改革に反対するストやデモに大いに荒れる裏で、比較的ひっそりとフランス議会で大きな法案が通過しました

2月14日、パリ市内をデモ行進する医療者(筆者撮影)

フランス医師会、初のデモ参加
 まず、1月19日下院で、ステファニー・リスト議員(病院勤務リウマチ専門医出身)が提唱する

「ナース・プラクティショナー(NP)へのダイレクトなアクセスを可能とする」法案が下院で可決しました。フランスでは既に症状の安定した慢性疾患者を対象に、医師の管理下でNPへの「予診」が認められており、同じく医師の管理下での制限された処方も認められていました。

 今回の法案はさらに進んで、患者が望めば医師の受診を経ず、ダイレクトに受診、制限はあるものの初回処方もできるようになり、医療費も保険でカバーされます。また、NPだけでなく、軽症疾患は薬剤師に受診および処方、肩こり腰痛捻挫などは理学療法士(PT)に、視力検査・眼鏡処方は眼鏡士、正常妊婦母子の周産期管理(処方含む)は助産師にワークシェアへ。その他、歯科衛生、発音矯正士と、パラメディカル職へのダイレクト・アクセスはこの後も続く方向にあると見られます。

 無論、どの場合にも、かかりつけ医が中心となって協働するいう基本に変わりはないと謳ってはいますが、当然ながら、医師ロビーは大反発。上院での審議が行われた2月14日、主要医師労組・インターン・老若男女医・そしてフランス医師会まで参加者5000人以上*のデモ行進が行われました。フランス医師会は、診療報酬や労働条件などの交渉の場には口を出さない権威の団体であり、デモに参加したのは、フランス史上初の出来事でした(*警察発表5000人、主催者発表1万人)。

 医師不足・偏在、休日診療の機能不全を看過できず、大規模なデモによる要求、ロビー活動にもかかわらず、下院ですんなり通過したダイレクト・アクセス法は、比較的保守派の多い上院でも否決されず成立してしまいました。残すところは、CMP(日本語に訳すとすれば、衆参両院代表合同議会)で微調整をするものの、骨子の部分は決定されました。慢性疾患患者以外、どこまでダイレクト・アクセスが可能になるかが、焦点になると想定されます。

 白衣を翻してパリの街をデモ行進する医師会の重鎮の姿に、前述のステファニー・リスト議員、アニエス・フィルマン・ルボド医療従事者地域オーガニゼーション担当大臣、フランソワ・ブラウン保健大臣らは、「非常に遺憾。しかし、全国で600万人の国民(そのうち、60万人が長期療養疾患患者)がかかりつけ医に受診できない現状は看過できない」と、医師不足と、自由開業による地域偏在、休日診療の機能不全が改善できない現在、やむを得ないとコメントしました。

 同時進行で全国疾病保険と組合代表の間で、診療報酬の交渉も行われています。一部の医師らは、保険医(セクター1、2)協定の破棄も辞さない姿勢を示しています(セクター3と言われる非保険医は、極めて稀ながら、フランスの医療制度の中に存在しています)。現行の診療報酬25ユーロから、2倍アップの50ユーロを要求していたジェネラリストは、要求とは別の回答を得た形となってしまいましたが、また全国疾病保険側も、休日診療・地域医療への参加などのいくつかの条件に医師側が応じるのであれば、年間3000ユーロの報酬と、1回の診察の診療報酬最大60ユーロまでも提示しています(かたくなに反対するのではなく、ぜひ日本の医師会主導の輪番制の休日診療を見倣っていただきたいものだと、フランス在住者としては思います)。

 2018年に法制化されたフランスのNPは、3年間の大学同等教育と4年間の看護実務経験の後 に2 年間の専門教育(合計7年間)を受けた看護師です。また、医師の中にも、チーム医療の中でNPとの協働を望む声も少なくありません。今回の大規模なデモに発展したのは、「ダイレクト・アクセスにより診断をNPがする」という点が多くの医師から嫌われています(ちなみに、患者も診断はまず医師にしてほしいと望んでいると思われます)。

 NP、薬剤師、助産師、PTの教育過程、臨床研修、できる行為、これら全て日本とは異なります。次号では、NPをはじめとするフランスのパラメディカル資格を詳しくご紹介させていただきます。

根拠法:2018年7月18日制定 国家免許NPに関する省令
NP看護師数(国家免許取得者数)
 2019年:63人
 2020年:260人
 2021年:1393人
政府目標:2022年3000人、2024年5000人に


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