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苗栗県の大湖郷は台湾随一のイチゴの名産地。幹線道路沿いで営業している多くの観光農園は、通行客の目を惹くべく、大きな看板を出して己の存在をアピールしています。
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バス停にも大きなイチゴが飾られていました。とにかく街中イチゴだらけなんです。私が当地を訪問したのは3月の中旬でしたが、バス停真裏の畑では収穫期を迎えたイチゴが鈴なりでした。
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観光農園に集まるお客さんの目当てはイチゴ狩りをすること。どの畑でも皆さん夢中になってイチゴを摘んでいました。
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イチゴ狩りをしなくても、店頭に並んでいるイチゴを買うだけでも勿論OKです。箱には形の良い大粒のイチゴがギッシリ詰め込まれており、一箱200元ですから日本円に換算すると約600円ですね。ボリュームとしては日本のスーパーマーケットで売られているパックの倍はありますので、日本と比べると相当お買い得でした。実際に購入して食べてみますと、酸味が抑えられている代わりに甘さが強く、とっても美味しかったですよ。
さて私がこの大湖へやってきたのはイチゴが食べたかったからではなく、当然ながら温泉の存在が第一目的であります。街の郊外に人知れず湧き出る秘湯があるという情報を得ていたのです。しかしその温泉に関しては事前に得られる情報が非常に少なく、ググってみても検索されるのは苗栗県大湖郷公所のウェブサイト内にある簡単な記事か5年前に投稿された個人ブログくらいしか見当たりません。手がかりが非常に少なく、新しい情報も無いため、現在は閉鎖されている可能性もあります。このため、はじめから期待せずにダメ元で行ってみることにしました。
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大湖の街を抜けて幹線道路の台3線を少々南下すると、左手に大きなアーチの「大窩橋」という橋が目に入ってきますので、この橋で川の東岸へ渡って川沿いの路地を更に南下します。橋から数百メートルでちょっと気になる箇所に遭遇したので、車をとめて(上画像の地点)辺りを見回してみますと…
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イチゴ畑の前に「露天温泉区 100m」と記された小さな道標を発見しました。今回の目的地を見つけるための、唯一無二の目印がこの道標です。他に看板などはありません。
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道標に従って私有地に入ってゆくと、本当に100メートルほどでプールの廃墟みたいな構造物に出くわしました。これが今回の目的地「大窩温泉」であります。温泉というより溜め池か養魚場のような佇まいのこのコンクリの水槽にはぬるめの温泉が溜められているのですが、長い間放置されているのか周囲は雑草が生い茂っており、人が入浴して楽しめるような状況では無いほど荒れていました。でもこんな佇まいだからこそ、温泉ファンとしては是非とも入ってみたくなるものです。
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プールサイドには一応受付のような建物がありますが、中はガランとしていて人の気配が感じられません。自販機も設置されていますが、機械も商品見本も色褪せていて実際に稼働しているか不明です。でもその前のテーブルに置かれていたドライヤーはちゃんと使えました。ドライヤーが使えるってことは、こんな有様でも一応温泉として営業しているのか…。
受付と思しき建物には平屋の住居が棟続きになっているのでその民家を尋ねますと、一人のヨボヨボお爺さんが窓から顔を出してくれました。入浴が可能か訊いてみますと、何やらゴニョゴニョと喋ってから「五十塊」というワードを口にしたので、今でも50元で入浴可能であることが判明。私は大喜びで50元玉をお爺さんに手渡しました。
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プールサイドにはシャワールームやトイレが設置されているのですが、いずれも荒廃してほとんど廃墟と化していたので、周囲に誰も居ないことをその場で水着に着替えちゃいました。
お湯が張られたプールは結構大きなものなのですが、ぱっと見ただけではこれが温泉だなんて気づきませんよね。
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他にもプールはあるのですが、いずれも空っぽでした。郷公所の記事や個人ブログで紹介されていた画像は、おそらくこのプールを写したものなんでしょう。数年前までは多くのお客さんで賑わっていたようですが、今ではすっかり寂れてしまったんですね。周辺には新しくて快適な温泉施設が次々に誕生していますから、このようなプリミティブな造りの温泉は見捨てられてしまったのかもしれません。
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温泉が溜められている唯一のプールも、日除けの黒いネットがだらしなく垂れ下がっているため、とても営業中の施設とは思えません。放置されたまんまだから野湯みたいな衛生状態なのかな…。そう覚悟しながら恐る恐る入ってみますと、案の定、底はヌルヌルして滑りやすかったのですが、意外にもゴミや落ち葉・沈殿物などは無かったので、固形物を取り除く程度の最低限のメンテナンスは行われているようでした。お湯の温度は37.5℃。この日は好天に恵まれてちょっと汗ばむような陽気でしたので、むしろこのくらいの湯加減が気持ち良く感じられました。
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プールには2本の太くて黒いホースが突っ込まれており、湯面の上まであげてみるとホースの口からはかなりの量のお湯が吐出されていました。意外にも湯量は豊富であり、このおかげでプールのお湯の鮮度はなかなか良好です。お湯は無色透明で、湯口ではタマゴ味およびタマゴ臭が感じられ、非鉄系の金気味やほろ苦みも確認できました。なお湯口では41.1℃でした。
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こんな原始的な温泉ですから、必然的に湯使いは完全かけ流し。湯面に突き出たパイプより惜しげも無く排水されていきます。
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特筆すべきは夥しい泡付きです。ものの1~2分で全身が泡だらけになっちゃいました。拭っても拭っても、泡はしつこく肌を覆います。この泡付きとお湯に溶けている重曹のおかげで、ツルツルスベスベとした浴感がとても強く、また湯上りの爽快感も素晴らしいものがありました。
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あまりのお湯の良さと、周囲の長閑すぎる環境にすっかり惚れてしまい。ついつい自己撮りしてしまいました。不感温度帯の湯加減と爽快な浴感のため、何時間でも浸かっていられます。お湯の質は非常に良質なんですけど、あまり一般の方にはおすすめできない状態であるのが残念です。まさに知る人ぞ知る秘湯ですね。泉質重視のマニアックな方は是非どうぞ。私個人としては大満足でした。
泉質名不明
まず台鉄・苗栗駅から新竹客運バスで大湖へ。さらに大湖から新竹客運の卓蘭(景文経由)行バス(5663番)に乗車して「老糖廠」バス停下車、徒歩約300m(ただし大湖から先は本数僅少な上に運行時間に偏りがあるのでバス利用は非常に不便)
苗栗県大湖郷大寮村大窩山口大窩農路 地図
営業時間不明
50元
ドライヤーあり
水着着用
私の好み:★★★