宜蘭県の内陸部に湧く野湯の排骨渓温泉。なんだか美味しそうな名前の温泉ですね。川からスペアリブ(排骨)がドンブラコッコと流れてくるのでしょうか。
宜蘭から幹線道路の台7号を蘭陽渓に沿ってひたすら西進してゆくと、途中で中央山脈を越す北横公路の分岐点にでくわします。真っ直ぐ進めば台7甲線の南山・太平山・梨山方面、右折すると台7号・北横公路の復興・大渓・桃園方面となるのですが、ここをまず右折して北横公路に入り、300メートルほど坂を登ると、路肩に86.5km地点キロポストが立っており、そこから左へ路地が分かれていますので、この路地へ入って行きます(上画像の地点)。
路地を数百メートル走ると吊り橋が見えてきますので、橋の下に駐車します。普通車だったら3~4台は余裕でとめられるスペースがありますよ。
吊り橋の名前は「林森吊橋」というんですね。主塔には原住民のものと思しき打楽器と温泉マークが描かれており、この先に温泉があることを暗示しているようでした。この吊り橋で川の対岸(右岸)へ渡ります。
この橋を利用する人はどのくらいいるのかわかりませんが、かなり頑丈な造りでして、橋の真ん中あたりを歩いてもあまり揺れませんでした。吊り橋のすぐ右下にはコンクリの車道もあり、この日のように川の水位が低ければ、川の水は道の下を潜って流れるので、吊り橋を歩いて渡らず車でそのままここを通ってしまってもOKです。増水するとこの道は水没しちゃいますけどね。
吊り橋の歩道とコンクリ舗装の車道はやがて合流し、川に沿って上流方向へと進んでゆきます。やがて左手に、「一逸精舎」と書かれた扁額がかかってる黄色い外壁で赤い屋根の派手な建物が目に入ってきました。この他にも付近には1~2軒の民家が建っており、先程の吊り橋はこうした僅かな民家の住民のために架けられたものと思われます。
この倉庫の前あたりで舗装は終わります。鬱蒼とした緑の中を貫く未舗装路を進みます。
吊り橋から徒歩6分で、ハックルベリー・フィンがひょこっと顔を出しそうな雰囲気の「護渓瞭望亭」という小屋にたどり着きました。ここで車道はおしまいです。小屋の前から川原へ下りる歩道へ進みます。なお小屋の前はかなりぬかるんでいるため、普通車ですと泥濘にハマってしまうかもしれません。もし車で川を渡って来た場合は、ここより手前の路肩に駐車しておいたほうが良いかと思います。
小屋から1分も歩かないうちに河原へ出ました。川原には標識も何も無いので道に迷いそうになりましたが、ここは対岸へ黒いホースが渡っている上流側(画像左(上))ではなく、下流側(画像右(下))に向かって河原を歩くのが正解です。ちょっと高い岩の上に立って下流の方を眺めると、先の方でテントの残骸のようなものが河原に被さっているのが見えるのですが、それが今回の目的地の目印です。
川原(右岸)を歩き始めると、すぐにひとつの湯溜まりを発見しました。まぎれもない排骨渓温泉の源泉のひとつであり、温度計は36.8℃を示していましたが、あまりに小さすぎて足湯するのが精いっぱいですので、別の湯溜まりを見つけるべく、更に下流へと向かいます。
この湯溜まりのすぐ下流側には錆びきった鉄の波板が川原に埋もれているのですが、ここから先の右岸側は崖になっていて歩けるような場所がないので、波板付近で一旦左岸へ渡渉しましょう。岩の上をジャンプすれば濡れずに渡渉できます。
左岸を川下へ向かって歩いていると、先ほど川原に出たところで見つけたテントの残骸が対岸にあるのですが、この辺りは渡渉にしくいので逸る気持ちを抑えて一旦ここを通り過ぎ、更に下流の渡りやすい岩が転がっている箇所で渡渉して右岸に戻って、テントの方へと戻ります。するとその右岸の川原には複数の湯溜まりが私を待っていてくれました。どうやら排骨渓温泉の本丸にたどり着いたようです。吊り橋からここまでは徒歩15分でした。
川原にはヒューム管が埋められているのですが、これは温泉をどこかへ引くための源泉井なのかもしれませんね。崖には目隠しのテントが張られており、この向こう側が更衣スペースとなっているようです(不気味なので私は使いませんでしたが)。
湯溜まりはいくつかあるのですが、その中で最も入浴に適しているのがこの湯溜まりでした。渓流と一体化している素晴らしいロケーションですね。やや浅いのですが、軽く寝そべれば肩までしっかり浸かれました。
42.1℃と湯加減も最高。入って下さいと言わんばかりの温度であります。なにも手を加えないでこの湯加減なのですから、これを天の恵みと言わずして何と申しましょうか!
湯溜まりの底からはブクブクと上がってくる気泡とともに綺麗に澄み切ったお湯が絶え間なく足元湧出しており、実際に入浴するとお尻でその勢いが感じられるほどでした。
お湯は無色澄明で金気の味と匂いが弱く感じられます。
足元のみならず川原に点在する小さな源泉群からもお湯が流れ込んできます。こうして複数の源泉から供給されているため、結果としてここへ注ぎ込まれる温泉の量はかなり多く、湯溜まりとはいえお湯はどんどん川へ排出されており、その流動性の高さゆえに鮮度は抜群です。また野湯ですから足を踏み入れるとその刹那は泥などが舞い上がってお湯がどうしても濁ってしまいますが、常にお湯が流れているため、そんな濁りもあっという間に消えてしまい、澄み切った状態で湯浴みが楽しめました。沈殿物やゴミなども無く、野湯にありがちなヌルヌルやドロドロとも無縁です。
ロケーションは最高ですし、湯加減も鮮度も透明感も素晴らしい。まさに極上の天然露天風呂です。
あまりに天晴な温泉だったので、興奮して2枚も自己撮りしてしまいました。
さて温泉までの道のりを概念図にまとめました。本文中にもあるように、駐車箇所である吊り橋から私が入浴した温泉まで徒歩15分で到達できます。大抵の野湯は険しい道程を歩かないと辿りつけませんが、ここでしたら子供でも容易に行けるでしょう。しかもそこで湧くお湯は最高のコンディションなのですから、文句のつけようがありません。おすすめです。
※路線バス利用の場合は、宜蘭や羅東から國光客運の南山村行(1745番)・太平山行(1750番・週末のみ運行)・梨山行(1751番)、あるいは羅東から同じく國光客運の梨山行(1764番)に乗って百韜橋バス停下車。バス停は台7号と北横公路との丁字路付近にあるので、そこから当記事の内容に従って歩けば約2kmで到達できるかと思います。
宜蘭県大同郷排骨渓 地図(航空写真に切り替えたほうがわかりやすいです)
野湯につき24時間入浴可能
無料
私の好み:★★★
宜蘭から幹線道路の台7号を蘭陽渓に沿ってひたすら西進してゆくと、途中で中央山脈を越す北横公路の分岐点にでくわします。真っ直ぐ進めば台7甲線の南山・太平山・梨山方面、右折すると台7号・北横公路の復興・大渓・桃園方面となるのですが、ここをまず右折して北横公路に入り、300メートルほど坂を登ると、路肩に86.5km地点キロポストが立っており、そこから左へ路地が分かれていますので、この路地へ入って行きます(上画像の地点)。
路地を数百メートル走ると吊り橋が見えてきますので、橋の下に駐車します。普通車だったら3~4台は余裕でとめられるスペースがありますよ。
吊り橋の名前は「林森吊橋」というんですね。主塔には原住民のものと思しき打楽器と温泉マークが描かれており、この先に温泉があることを暗示しているようでした。この吊り橋で川の対岸(右岸)へ渡ります。
この橋を利用する人はどのくらいいるのかわかりませんが、かなり頑丈な造りでして、橋の真ん中あたりを歩いてもあまり揺れませんでした。吊り橋のすぐ右下にはコンクリの車道もあり、この日のように川の水位が低ければ、川の水は道の下を潜って流れるので、吊り橋を歩いて渡らず車でそのままここを通ってしまってもOKです。増水するとこの道は水没しちゃいますけどね。
吊り橋の歩道とコンクリ舗装の車道はやがて合流し、川に沿って上流方向へと進んでゆきます。やがて左手に、「一逸精舎」と書かれた扁額がかかってる黄色い外壁で赤い屋根の派手な建物が目に入ってきました。この他にも付近には1~2軒の民家が建っており、先程の吊り橋はこうした僅かな民家の住民のために架けられたものと思われます。
この倉庫の前あたりで舗装は終わります。鬱蒼とした緑の中を貫く未舗装路を進みます。
吊り橋から徒歩6分で、ハックルベリー・フィンがひょこっと顔を出しそうな雰囲気の「護渓瞭望亭」という小屋にたどり着きました。ここで車道はおしまいです。小屋の前から川原へ下りる歩道へ進みます。なお小屋の前はかなりぬかるんでいるため、普通車ですと泥濘にハマってしまうかもしれません。もし車で川を渡って来た場合は、ここより手前の路肩に駐車しておいたほうが良いかと思います。
小屋から1分も歩かないうちに河原へ出ました。川原には標識も何も無いので道に迷いそうになりましたが、ここは対岸へ黒いホースが渡っている上流側(画像左(上))ではなく、下流側(画像右(下))に向かって河原を歩くのが正解です。ちょっと高い岩の上に立って下流の方を眺めると、先の方でテントの残骸のようなものが河原に被さっているのが見えるのですが、それが今回の目的地の目印です。
川原(右岸)を歩き始めると、すぐにひとつの湯溜まりを発見しました。まぎれもない排骨渓温泉の源泉のひとつであり、温度計は36.8℃を示していましたが、あまりに小さすぎて足湯するのが精いっぱいですので、別の湯溜まりを見つけるべく、更に下流へと向かいます。
この湯溜まりのすぐ下流側には錆びきった鉄の波板が川原に埋もれているのですが、ここから先の右岸側は崖になっていて歩けるような場所がないので、波板付近で一旦左岸へ渡渉しましょう。岩の上をジャンプすれば濡れずに渡渉できます。
左岸を川下へ向かって歩いていると、先ほど川原に出たところで見つけたテントの残骸が対岸にあるのですが、この辺りは渡渉にしくいので逸る気持ちを抑えて一旦ここを通り過ぎ、更に下流の渡りやすい岩が転がっている箇所で渡渉して右岸に戻って、テントの方へと戻ります。するとその右岸の川原には複数の湯溜まりが私を待っていてくれました。どうやら排骨渓温泉の本丸にたどり着いたようです。吊り橋からここまでは徒歩15分でした。
川原にはヒューム管が埋められているのですが、これは温泉をどこかへ引くための源泉井なのかもしれませんね。崖には目隠しのテントが張られており、この向こう側が更衣スペースとなっているようです(不気味なので私は使いませんでしたが)。
湯溜まりはいくつかあるのですが、その中で最も入浴に適しているのがこの湯溜まりでした。渓流と一体化している素晴らしいロケーションですね。やや浅いのですが、軽く寝そべれば肩までしっかり浸かれました。
42.1℃と湯加減も最高。入って下さいと言わんばかりの温度であります。なにも手を加えないでこの湯加減なのですから、これを天の恵みと言わずして何と申しましょうか!
湯溜まりの底からはブクブクと上がってくる気泡とともに綺麗に澄み切ったお湯が絶え間なく足元湧出しており、実際に入浴するとお尻でその勢いが感じられるほどでした。
お湯は無色澄明で金気の味と匂いが弱く感じられます。
足元のみならず川原に点在する小さな源泉群からもお湯が流れ込んできます。こうして複数の源泉から供給されているため、結果としてここへ注ぎ込まれる温泉の量はかなり多く、湯溜まりとはいえお湯はどんどん川へ排出されており、その流動性の高さゆえに鮮度は抜群です。また野湯ですから足を踏み入れるとその刹那は泥などが舞い上がってお湯がどうしても濁ってしまいますが、常にお湯が流れているため、そんな濁りもあっという間に消えてしまい、澄み切った状態で湯浴みが楽しめました。沈殿物やゴミなども無く、野湯にありがちなヌルヌルやドロドロとも無縁です。
ロケーションは最高ですし、湯加減も鮮度も透明感も素晴らしい。まさに極上の天然露天風呂です。
あまりに天晴な温泉だったので、興奮して2枚も自己撮りしてしまいました。
さて温泉までの道のりを概念図にまとめました。本文中にもあるように、駐車箇所である吊り橋から私が入浴した温泉まで徒歩15分で到達できます。大抵の野湯は険しい道程を歩かないと辿りつけませんが、ここでしたら子供でも容易に行けるでしょう。しかもそこで湧くお湯は最高のコンディションなのですから、文句のつけようがありません。おすすめです。
※路線バス利用の場合は、宜蘭や羅東から國光客運の南山村行(1745番)・太平山行(1750番・週末のみ運行)・梨山行(1751番)、あるいは羅東から同じく國光客運の梨山行(1764番)に乗って百韜橋バス停下車。バス停は台7号と北横公路との丁字路付近にあるので、そこから当記事の内容に従って歩けば約2kmで到達できるかと思います。
宜蘭県大同郷排骨渓 地図(航空写真に切り替えたほうがわかりやすいです)
野湯につき24時間入浴可能
無料
私の好み:★★★